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片頭痛予防薬プレゼンテーション | Claude | Claude
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作者コメント
CGRP製剤を使う前に、従来薬の予防治療をしますが、その知識を再度整理してみました。自分はてんかん患者さんで片頭痛を合併している方をよくみますが、その場合は、VPA、LEV、TPMなどが良い選択肢になるのだと改めて思いました。

📚 目次
1. はじめに Level A
片頭痛は反復性の神経疾患であり、予防的治療(プロフィラキシス)は発作頻度や重症度を減らし、患者のQOL(生活の質)を大きく改善し得ます。
• 月2回以上の片頭痛発作
• 月3回以上の生活に支障をきたす頭痛発作
• 急性期治療薬の効果が不十分または副作用が強い場合
予防薬によって頭痛回数の減少だけでなく頭痛強度や持続時間の短縮、急性期治療薬への反応性改善、生活機能の向上など多面的な効果が期待できます。
本記事では、CGRP関連製剤以外の片頭痛予防薬について、日本および海外の最新ガイドラインを踏まえ、それぞれの使い分け(適応患者の特徴)と科学的エビデンスを詳説します。
2. 非CGRP関連の主要な片頭痛予防薬
CGRP関連の新規薬登場以前から、片頭痛予防には他疾患向けに開発された薬が数多く用いられてきました。日本の『頭痛の診療ガイドライン2021』では、抗てんかん薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗うつ薬など従来からの予防薬に加えて新規CGRP関連薬を含む予防薬が推奨されています。
2.1 抗てんかん薬:バルプロ酸(VPA) Group 1
バルプロ酸(バルプロ酸ナトリウム:商品名デパケン®等)は、てんかん治療薬ですが片頭痛予防に古くから用いられ、有効性に関するエビデンスが豊富です。
• 日本の頭痛ガイドライン:Group1(有効)
• 推奨用量:400~600 mg/日
• メタ分析結果:反応率のオッズ比4.02 (95%CI: 2.17–7.44)
• 約50%以上の患者で頻度半減を達成
バルプロ酸の詳細なエビデンス
複数のRCTでプラセボに対する有効性が示されており、メタ分析では反応率(頭痛発作頻度50%以上減少)が有意に向上しました。バルプロ酸投与群の約50%以上が頻度半減を達成し、他の予防薬と比較しても有効性は同等であることが報告されています。
バルプロ酸は比較的良好な忍容性を示し、他の予防薬との安全性の差も認められなかったとのメタ解析結果もあります。
催奇形性のリスクが高いため、妊娠可能年齢の女性には原則避けるべき薬剤です。体重増加や傾眠などの副作用にも注意が必要です。
適応患者:てんかん合併例、双極性障害を持つ患者、小児片頭痛(一部で使用)
2.2 β遮断薬:プロプラノロール Group 1
プロプラノロール(インデラル®等)は、片頭痛予防薬の第一選択として世界的に広く使われている非選択的β遮断薬です。
• 推奨量:20~60 mg/日
• メタ解析結果:月間頭痛日数を平均1.27日減少
• 50%以上の頻度減少達成:リスク比1.65(絶対差+17.9%)
• 高い確証度エビデンス
他のβ遮断薬について
メトプロロール(選択的β₁遮断薬)もエビデンスが豊富で、国際的ガイドラインでプロプラノロールと並ぶ第一選択薬です。日本では片頭痛適応はありませんが、気管支喘息や糖尿病などで非選択的β遮断薬が使えない場合に検討する価値があります。
その他、ナドロール、ピンドロール、チモロールなども一定の予防効果が報告されています。
適応患者:高血圧や頻脈傾向のある片頭痛患者、発作時の動悸や不安感が強いタイプ
• 気管支喘息やCOPDには禁忌
• 糖尿病では低血糖をマスクする恐れ
• リザトリプタン(マクサルト®)との併用禁忌
• 副作用:徐脈、低血圧、倦怠感、抑うつ傾向、勃起不全
2.3 Ca拮抗薬:ロメリジン Group 2
ロメリジン塩酸塩(商品名ミグシス®)は、日本で開発された片頭痛予防薬で、Ca²⁺拮抗薬に分類されます。
• 日本人を対象とした臨床試験で有効性を確認
• 8週間後に約64%の患者で片頭痛発作頻度・程度の軽減
• 副作用発現率はプラセボと同程度
• 推奨グレードB(片頭痛予防の第一選択薬として勧められる)
Ca拮抗薬のエビデンス詳細
Ca拮抗薬全般では45件以上の片頭痛予防試験報告があり、中でもフルナリジン(日本未発売)は≥6本のRCTとメタ解析で明確に有効性が証明されています。
ロメリジンについては日本からの報告が中心で、プラセボ対照二重盲検RCT1件で有効性が示されました。錐体外路症状(パーキンソニズム)や抑うつなどフルナリジンで問題となった有害事象はロメリジン群では認められず、安全性プロファイルの良好さが示唆されています。
適応患者:副作用に敏感な患者、高齢者、軽度~中等度の高血圧を伴う患者
• 妊娠中の使用は禁忌
• 眠気や倦怠感が出ることがある
• まれに肝機能値上昇
• 効果発現に1か月以上要する場合がある
2.4 ARB・ACE阻害薬:カンデサルタンなど Level B
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)も片頭痛予防に有効な場合があります。その代表がカンデサルタン(ARB、商品名ブロプレス®等)です。
• プロプラノロールとの直接比較試験で同等の効果
• 16mgのカンデサルタン ≒ 160mgのプロプラノロール
• 50%以上レスポンダー率:43%(プラセボ群23%)
• カナダ頭痛学会:「エビデンス中程度・推奨は強い」
• 米国AAN:「可能性あり(Possibly effective)」
ACE阻害薬について
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)も一部で有効性が示唆されています。リシノプリルについてはプラセボ対照クロスオーバー試験で頭痛日数減少効果が報告され、AANではカンデサルタン同様に「可能性あり」とされています。
適応患者:高血圧を合併する片頭痛患者、β遮断薬が合わない患者、肥満傾向の患者
• 過度の血圧低下とそれに伴うめまい・倦怠感
• 妊娠中の使用は避ける(ARB/ACEは妊婦禁忌)
• 国内では片頭痛への保険適用なし(適応外使用)
2.5 抗うつ薬:アミトリプチリン Group 1
三環系抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール®等)は、片頭痛予防に古くから用いられる薬剤です。
• AHS/AAN:「有効性は高く(Level B: Probably Effective)」
• 日本のガイドライン2021:Group1(有効)
• 推奨量:10~60 mg/日
• 反応率:約64% vs プラセボ40%
• メタ解析:50%以上の頻度減少確率が有意に高い(RR≈1.6)
他の抗うつ薬について
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は片頭痛予防効果が明確でないため通常推奨されません。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のベンラファキシンは小規模ながら有効性を示す試験があります。37.5 mgから開始し75~150 mg/日で用いる方法で、アミトリプチリンが使えない場合や不安障害を強く伴う場合に考慮されます。
適応患者:片頭痛とともに不眠やうつ傾向を抱える患者、抑うつ障害を合併する患者、睡眠障害がある患者、緊張型頭痛を併発する患者
• 抗コリン作用:口渇、便秘、尿閉など
• 抗ヒスタミン作用:眠気・体重増加
• 高齢者では認知機能への影響や排尿障害に注意
• 対策:就寝前にまとめて投与、ノルトリプチリンへの切替え検討
主要予防薬の比較表
| 薬剤(分類) | エビデンス・推奨【ガイドライン】 | 適した患者・状況 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| バルプロ酸 (抗てんかん薬) |
有効性エビデンス高く第一選択。プラセボ対照RCT多数;メタ解析で反応率向上 | てんかん合併例、双極性障害合併例など。他剤無効の重症例 | 催奇形性(若年女性は避ける)。体重増加、傾眠、肝機能障害に注意 |
| プロプラノロール (β遮断薬) |
エビデンス確立された第一選択。複数RCTとメタ解析で有効(頭痛日数-1.3日/月) | 高血圧・頻脈・不安傾向のある患者。若年〜中年の成人 | 喘息・徐脈は禁忌。倦怠感・抑うつに注意。リザトリプタン禁忌 |
| ロメリジン (Ca拮抗薬) |
国内エビデンス有(64%で頻度減少)。有効性中程度で第一選択候補 | 副作用に敏感な患者、高齢者。軽〜中等度の片頭痛患者 | 妊婦禁忌。眠気・倦怠感まれ。効果発現に1か月以上要する |
| カンデサルタン (ARB) |
エビデンス中等度(RCTでプラセボ・プロプラノロールと比較し有効)。海外で第二選択 | 高血圧を伴う患者、肥満傾向の患者。β遮断薬不耐容例 | 低血圧に注意。妊婦禁忌。国内では適応外(高血圧治療として使用可) |
| アミトリプチリン (三環系抗うつ薬) |
エビデンス中等度(古典的RCTいくつかで有効)。AHS/AANで有望(Level B) | 不眠・うつ傾向のある患者。緊張型頭痛合併例 | 眠気・口渇・便秘など副作用多い。高齢者は認知機能低下に注意 |
3. 保険適応外で使用される片頭痛治療薬とエビデンス
日本において片頭痛の保険適応がないものの、臨床現場でしばしば使用される薬剤があります。医師の裁量で適応外処方されるこれらの薬剤は、主に海外エビデンスに基づき効果が期待されるケースに用いられます。
3.1 トピラマート(トピラマックス®) 適応外
トピラマートは抗てんかん薬で、海外ではプロプラノロールに並ぶ第一選択の片頭痛予防薬です。米国FDAも片頭痛予防適応を承認しており、多くのガイドラインで推奨されています。
• 日本のガイドライン2021:Group1(有効)だが保険適用外
• RCT:投与群の約45~50%が頭痛頻度半減を達成
• プラセボ群(約20~25%)に比べ有意に優れる
• カナダ頭痛学会:エビデンスの質「高」・推奨「強い」
• 目標投与量:100 mg/日(50 mg程度でも効果が得られる場合あり)
トピラマートの副作用と対策
副作用による内服中止率が高いことが知られています。典型的な副作用には以下があります:
- 認知機能障害(どもりや集中力低下)
- 感覚異常
- 食欲低下による体重減少
CGRP抗体との直接比較試験(HER-MES試験)ではトピラマート群の中止率が約39%と高く、有効性評価にも影響しました。副作用は用量依存的であり、ゆっくり漸増し副作用出現時に減量する工夫で、多くの患者に有効な範囲で使用可能です。
適応患者:肥満傾向のある片頭痛患者(減量効果がプラスに働く)、てんかんやムズムズ脚症候群などを合併する患者
• 認知機能障害のため、日中高度な集中力を要する職業の人には不向きの場合がある
• 日本では片頭痛への正式適応がない(適応外処方または自費処方)
• 患者への十分な説明と同意が必要
3.2 レベチラセタム(イーケプラ®) 適応外
レベチラセタムも抗てんかん薬で、近年片頭痛予防効果が検討されている薬剤です。
• 2013年のインドからのRCT:レベチラセタム1000 mg/日投与群で頭痛発作頻度が有意に減少
• 50%以上頻度減少の達成率が64%(プラセボ群は22%)
• 頭痛の重症度指標や急性期薬使用量も有意に改善
• 2017年のネットワーク解析で有効薬の一つとしてリストアップ
使用状況:トピラマートなど他の標準予防薬が無効だった場合に試みられることがある程度です。特にバルプロ酸が使えない妊娠可能な女性や、体重増加を避けたい患者でトピラマートも副作用で難しい場合などに候補となりえます。
副作用:比較的少なく(眠気、易刺激性、めまい等)、肝代謝をあまり介さず薬物相互作用が少ない点も利点です。
3.3 メトクロプラミド(プリンペラン®) 急性期
メトクロプラミドは消化管運動促進・制吐薬で、本来は片頭痛予防薬ではありません。しかし急性期治療において重要な役割を果たします。
• 急性期治療におけるメタ解析:プラセボと比較して有意な頭痛疼痛軽減(オッズ比≈2.8)
• 各種鎮痛薬との比較試験でも、多くのケースで痛み・吐き気のコントロールに優れる
• 救急外来では「非オピオイドで安全かつ効果的な急性期治療薬」として第一次選択に推奨
日本での使用実態
メトクロプラミドは片頭痛発作時の補助療法として以下の方法で使われます:
- 点滴静注でNSAIDsやステロイドと併用
- 経口トリプタンと一緒に内服して吸収を助ける目的
- 月経関連片頭痛で消化器症状が強い患者に発作前から内服
難治性片頭痛発作で来院した患者にメトクロプラミド+鎮痛薬の点滴を行うと著効する例も経験されており、現場では重宝されています。
• 基本的には急性期の頓用薬と位置づけ
• 長期連用は遅発性ジスキネジアなどのリスク
• 副作用:一過性の眠気やアカシジア(静座不能症、不穏感)
• 日本では「片頭痛発作時の悪心・嘔吐」に対する保険適用はないが、制吐目的で処方可能
3.4 その他の適応外薬剤
ボツリヌス毒素A型製剤
ボツリヌス毒素A型製剤(ボトックス®など)は慢性片頭痛(15日以上/月の頭痛)に対する効果が大規模試験(PREEMPT試験)で証明されています。
• 米国FDAや欧州EMAで慢性片頭痛に承認
• 頭痛日数をプラセボ比で有意に減少(ベースライン比-8.4日/月 vs プラセボ-6.6日)
• 50%以上の頭痛日数減少達成:47% vs プラセボ35%
• 副作用:局所の筋力低下や頸部痛が一時的
注意点:日本では慢性片頭痛への保険適用がなく、自費診療で行う必要があります。費用負担が大きい点が課題です。
他の抗てんかん薬
ガバペンチンやプレガバリンは鎮痛補助薬として知られますが、片頭痛予防効果については明確なエビデンスがありません。ラモトリギンは前兆のある片頭痛患者で試みられることがありますが、臨床試験では有効性を証明できていません。
これらは基本的に他の目的(てんかんや不安障害など)の治療薬として処方しつつ、片頭痛に対する副次的効果を期待する形になります。
漢方薬
一部の漢方処方も適応外ながら使用されています:
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう):月経関連片頭痛や冷えを伴う片頭痛
- 五苓散(ごれいさん):むくみ・めまいを伴う片頭痛発作
エビデンスは主に症例報告ベースですが、患者の体質に合わせ補助的に用いられることがあります。
ビタミン・サプリメント
マグネシウム製剤やビタミンB₂(リボフラビン)は海外ガイドラインで片頭痛予防に有用との記載があります。
- マグネシウム:筋収縮や神経興奮を抑える作用から片頭痛頻度を減らす可能性
- リボフラビン:高用量摂取(400 mg/日)で小規模試験で有効性報告
エビデンスの質が十分でなく、ガイドラインでも補助的な位置づけです。副作用も少ないため希望する患者には導入してもよいでしょう。
4. おわりに
CGRP関連薬が登場した現在でも、従来からの片頭痛予防薬は費用対効果や長期的安全性の面で重要な選択肢です。
• 高血圧のある中年男性:プロプラノロールかカンデサルタン
• うつ傾向の若年女性:アミトリプチリン
• 肥満傾向の頻回発作例:トピラマート
• 副作用に敏感な患者:ロメリジン
• 妊娠可能年齢の女性:バルプロ酸は避ける
実臨床では、患者一人ひとりの合併症・ライフスタイル・嗜好を考慮し、上述した各薬剤を適材適所で使い分けることが求められます。
• 予防薬は効果発現までに1~2か月以上を要する
• 十分な期間継続して評価することが重要
• 効果不十分なら他剤への変更や併用を検討
• 近年ではCGRP関連薬の併用も選択肢となる
本稿で述べたエビデンスとガイドライン知見を参考に、非CGRP関連薬を適切に活用することで、片頭痛患者の長期管理に大きく寄与できるでしょう。
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参考文献
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