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胃ろう(PEG)モバイルスライドプレゼンテーション | Claude | Claude
音声概要
胃瘻0814merged_audio.mp3 - Google ドライブ

📚 目次
胃ろう(PEG)とは
お腹の皮ふから胃に、小さな管(チューブ)をつけて、水分・栄養・薬を入れる方法です。口や鼻を通さないので、鼻の違和感や口まわりのトラブルが少ないのが特長です。
胃ろうの主なメリット(実感しやすい順)
- 鼻・のどがラク 経鼻胃管のような「鼻に管が通る不快感」「鼻のただれ」「せき込み時の違和感」がありません。会話・口腔ケア・嚥下リハを続けやすく、においを感じる力も保ちやすいです。
- 栄養や薬を"確実"に入れられる 胃ろうは外れにくく、長期の栄養投与に安定しています。経鼻胃管よりも投与の失敗(抜ける、詰まる等)が少ないことが研究で示されています1。
- 短時間で注入しやすい 管が太めのため、粘度のある栄養剤(バッグタイプ等)も使いやすく、注入時間を短縮できます。造設後の早めの注入再開も安全に行えるとする研究もあります(施設の方針により開始時期は調整)2。
- 服薬の確実性 砕いてよい薬に限られますが、水でよく溶かして前後にフラッシュ(水で押し流す)すれば、詰まりを防ぎつつ安定して投与できます("腸溶・徐放"など砕けない薬は必ず薬剤師に確認)。
- 自己抜去のリスクを減らしやすい ボタン型にしたり、つなぎ服で管を守ったりすると、無意識の自己抜去を減らせます。夜間の安心感にもつながります。
- 在宅・施設生活との両立 見た目は衣服で隠れることが多く、入浴・外出も可能(創部が落ち着いたら)。デイケアやショートステイでも扱いに慣れた施設が増えており、利用調整が進めやすいことが少なくありません。
- "口から食べる楽しみ"を残しやすい 嚥下評価(むせやすさの検査)で安全が確認できれば、少量を口から楽しみつつ、足りない分を胃ろうで補う併用ができます。嚥下機能の評価はレントゲン嚥下検査(VFSS)等で行います3。
胃ろうと経鼻胃管(鼻からの管)の要点比較
| 項目 | 胃ろう(PEG) | 経鼻胃管 |
|---|---|---|
| つけ心地 | 鼻・のどの不快感なし | 鼻・のどの違和感あり |
| 見た目 | 服の下に隠しやすい | 顔に管が出る |
| 安定性(長期) | 外れにくく安定(失敗・再留置が少ない)[4] | 抜け・詰まりが起きやすい |
| 投与時間 | 太い管で短時間投与しやすい | 細い管で時間がかかりやすい |
| 口腔ケア・嚥下リハ | 行いやすい | 妨げになることあり |
| 自己抜去 | 工夫次第で下げやすい | 無意識に抜きやすい |
| 合併症 | 皮ふの感染・漏れ等(後述) | 鼻出血・副鼻腔炎など |
| 誤嚥性肺炎 | どちらでもゼロにはならない(つぎの章) | 同左 |
⚠️ 重要
胃ろうにしても"唾液や逆流の誤嚥"は起こり得ます。誤嚥性肺炎はチューブの種類に関わらず起こり得るため、口腔ケア・体位・リハなど総合的対策が必要です[5]。
胃ろうにしても"唾液や逆流の誤嚥"は起こり得ます。誤嚥性肺炎はチューブの種類に関わらず起こり得るため、口腔ケア・体位・リハなど総合的対策が必要です[5]。
デメリット・注意点(合併症を含む)
- 皮ふトラブル:創部の感染、滲出液(浸出)、肉芽(赤い盛り上がり)、漏れ、痛み。報告によって差はありますが、創部感染は数%~20%台、漏れは~約7%、自己抜去~約13%とされます(施設・患者背景で異なります)[6]。
- 消化器症状:吐き気・下痢・胃もたれなど。注入速度・濃度・量の見直しで改善することが多いです。
- 手技に伴うリスク:鎮静・出血・穿孔などはまれですがゼロではありません。抗血小板薬・抗凝固薬は事前調整が必要です(学会ガイドラインでも扱いが示されています)[7]。
- 誤嚥性肺炎はゼロにならない:胃ろうは"食べ物が気管に入る"ことを完全に防ぐ装置ではないため、口腔分泌物や逆流の誤嚥は残ります。ベッド角度(30~45°)・口腔ケア・嚥下評価が重要です[8]。
- 定期交換・日々の管理が必要:ボタンやチューブの定期交換、毎日の洗浄・固定・皮ふ観察が要ります(在宅医・訪問看護・家族で分担)。
- 病状によっては利益が乏しい:下記の「向かないケース」を参照。
向いている/向かないケース(目安)
向いていることが多い
- 意識ははっきりしているが、のみ込み(嚥下)が長期にむずかしい場合
例)脳卒中後で2~3週間の経鼻栄養でも改善が乏しいとき、頭頸部がん治療中など。 - 生命予後が数か月~年単位で、栄養・水分の安定投与が生活の質(疲れにくさ・活動性)に直結する病状。
- リハビリを続けたい、外出・通所を続けたいなど、生活の目標が明確な場合。
📋 重要ポイント
脳卒中の急性期(最初の2~3週間)は、まず経鼻栄養で様子を見ることが推奨されます。大規模試験(FOOD)では、早期PEGは機能予後が悪化する傾向が示され、生存率の明確な改善もなしとされました[9][10]。
脳卒中の急性期(最初の2~3週間)は、まず経鼻栄養で様子を見ることが推奨されます。大規模試験(FOOD)では、早期PEGは機能予後が悪化する傾向が示され、生存率の明確な改善もなしとされました[9][10]。
向かないことが多い
- 進行期の重度認知症で、むせや体重減少が進んだ段階
→ 延命や肺炎予防・褥瘡改善などの明確な利点は乏しく、"ゆっくり手で食べるケア(ハンドフィーディング)"が推奨されます[11][12]。 - ご本人の希望が"治療よりも安らぎ"にある終末期
→ 口の湿し(口腔ケア)・苦痛の緩和を優先します。 - 全身状態が不安定で、手技の安全性が確保できないとき。
よくある誤解とその答え方(ご家族との話し合いに)
- Q:胃ろうにしたら"口からは一切食べられない"の?
A:いいえ。 嚥下検査で安全が確認できれば、少量を口から楽しむことは可能です。足りない分は胃ろうで補う併用が現実的です[13]。 - Q:胃ろうは"延命だけ"のため?
A:いいえ。 脱水・低栄養を防ぐ、服薬を安定させる、リハや外出を支えるなど、生活の質に直結する面が多くあります。ただし、重度認知症では利益が乏しいとする指針があります[14]。 - Q:胃ろうなら"肺炎にならない"?
A:いいえ。 唾液や逆流は気管に入ることがあり、口腔ケア・体位・リハが重要です[15]。
造設後の生活イメージ(安心のコツ)
- 注入のコツ:最初はゆっくり少量から。吐き気や下痢があれば速度・濃度を調整。造設後早期の注入は、施設基準に従って安全に[16]。
- 創部ケア:毎日の観察・洗浄・乾燥・固定。赤み・痛み・におい・にじみは早めに相談。
- 薬:砕ける薬か要確認(薬剤師)。前後に水でフラッシュ。
- 入浴・外出:創部が落ち着けば可能。ボタン型だと衣類で隠しやすい。
- 自己抜去予防:ボタン型・つなぎ服・チューブ固定で工夫。
- 支援:訪問看護・在宅医・栄養士・ケアマネと連携。デイケア/ショートステイとも事前に情報共有。
ACP(人生会議)での話し合いの進め方(実例)
ACPの具体的な進め方
- いま何が一番大事か(例:むせが減って外出したい/家で過ごしたい など)
- 嚥下評価を受ける(VFSS等で安全に食べられる範囲を確認)。
- 治療選択肢を並べて比較(経鼻栄養を一定期間試す → 胃ろうへ移行、胃ろう併用で経口少量、経口のみで量は控えめ など)。
- 一定期間の"試行"と"見直し"(例えば2~3週間の経鼻で見通しを再評価 → 長期が必要なら胃ろうを検討)。脳卒中ではこの流れが機能予後の観点で理にかなうとするエビデンスがあります。
- 合併症や中止の条件も先に確認(感染が続く、強い苦痛がある、目標が変わった 等)。
- 意思表示の残し方:ご本人の言葉で文書化("〇〇なら胃ろうを選ぶ/選ばない")。
伝え方の例(ご本人)
- 「今は体力を保ちたいので、胃ろうを前向きに考えます。口から少しだけ味わうことも続けたいです。」
- 「重い認知症になったら、胃ろうは選びません。口の湿しや苦痛の緩和を優先してください。」
まとめ(要点)
📋 要点整理
- 胃ろうは"延命だけの医療"ではありません。 鼻・のどがラク、確実で短時間の投与、服薬の安定、在宅・通所のしやすさなど、生活を支える具体的メリットが多数あります。長期の栄養管理を安定して行いたい方に向きます。
一方、皮ふ感染・漏れ・自己抜去などの合併症や、誤嚥性肺炎がゼロにならないという限界も忘れてはいけません。
重度認知症の進行期では、利益が乏しく、介護者がスプーンなどで直接口に食べ物を運び、食事を介助するハンドフィーディングが推奨されます。脳卒中の急性期はまず経鼻で2~3週間を目安に評価し、その後に胃ろうを検討するのが基本です。
- 胃ろうは"延命だけの医療"ではありません。 鼻・のどがラク、確実で短時間の投与、服薬の安定、在宅・通所のしやすさなど、生活を支える具体的メリットが多数あります。長期の栄養管理を安定して行いたい方に向きます。
一方、皮ふ感染・漏れ・自己抜去などの合併症や、誤嚥性肺炎がゼロにならないという限界も忘れてはいけません。
重度認知症の進行期では、利益が乏しく、介護者がスプーンなどで直接口に食べ物を運び、食事を介助するハンドフィーディングが推奨されます。脳卒中の急性期はまず経鼻で2~3週間を目安に評価し、その後に胃ろうを検討するのが基本です。
❓ よくある質問(FAQ)
Q. 経鼻胃管(マーゲンチューブ)と比較したPEGの最大のメリットは?
A. 咽頭・食道の機械的刺激がなく嚥下訓練を阻害しないこと、自己抜去や誤嚥性肺炎の発生率が有意に低いこと、介護者の注入負担が軽いことです。
Q. 一度胃ろうを作ったら一生外せませんか?
A. 誤嚥や嚥下障害がリハビリテーションにより回復し、十分な経口摂取が可能となれば、PEGカテーテルを抜去して瘻孔を自然閉鎖(または縫合閉鎖)させることが可能です。
📚 参考文献・主要エビデンス
- 一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 (JSPEN). 経皮内視鏡下胃瘻造設術(PEG)適応と管理指針(静脈経腸栄養ガイドライン第3版). [DOI/Link]
- Gomes CA Jr, et al. Percutaneous endoscopic gastrostomy versus nasogastric tube feeding for adults with swallowing disturbances. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(5):CD008096. [DOI/Link / PubMed: 26001077]
- 厚生労働省. 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(平成30年3月改訂). [DOI/Link]
👨⚕️ 記事監修・文責
今村久司(京都大学医学部卒・医学博士/脳神経内科専門医・指導医/総合内科専門医・指導医/てんかん学会専門医・指導医)