重度心身障害者医療費助成制度(マル福制度)とは

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重度心身障害者医療費助成制度(マル福制度)とは

重度の身体障がいや知的障がいなどをお持ちの方が医療機関で診療を受ける際、健康保険適用分の自己負担額を公的に助成する制度です1。自治体によっては、この制度を通称「マル福」と呼びます(「福祉医療」の「福」を〇で囲んだ略称)1。制度の目的は、障がいのある方やそのご家族の医療費負担を軽減し、安心して必要な医療を受けられるよう支援することにあります1。なお、「マル福」という名称は地域で広く使われており、茨城県では子ども・妊産婦・ひとり親家庭・重度障害者向けの医療費助成全体を指す愛称として定着しています2

対象者の要件(誰が利用できる?)

この助成制度を利用できるのは、重度の心身障がいがある方です。具体的な対象基準は自治体ごとに定められていますが、一般的には次のような条件を満たす方が含まれます34

  • 身体障害者手帳をお持ちの方(等級が1級または2級の重度の障がいがある方が典型です[5]。自治体によっては3級でも内部障害※など特定の場合に対象になることがあります[5])。
  • 知的障害のある方(療育手帳の判定が最重度・重度に相当する方が該当します[6]。地域によっては中度程度でも他の障がいと重複する場合に対象になるケースがあります)。
  • 精神障害のある方(精神障害者保健福祉手帳1級所持者など。自治体によっては2級でも他の障がいと重複する場合に含めるところもあります[7])。
  • 上記のほか、特別児童扶養手当1級の支給対象となっている重度障害児や、障害年金1級を受給中の方なども対象に含まれます[8]
📋 内部障害について
※内部障害…心臓や腎臓、呼吸器など内臓機能の障がい。自治体によっては身体障害者手帳3級でも内部障害がある場合は対象になることがあります[5]
所得制限について

所得制限について: 原則として本制度を利用するには収入が一定以下である必要があります[9]。対象者本人だけでなく配偶者や扶養義務者(主に同居のご家族)の所得も含め判定され、基準額を超えると助成を受けられません[9]。ただし所得制限の基準は自治体によって異なり、一部の市町村では独自に所得制限を設けていない場合もあります10

申請方法と必要書類(どうやって手続きする?)

申請先

原則としてお住いの市区町村役所の窓口(保険年金課や福祉担当課など)で申請手続きを行います11。制度の実施主体は各市町村であり、まずはお住まいの自治体窓口に問い合わせるとよいでしょう12

申請のタイミング

障がい者手帳を新たに取得したとき、他の自治体から転入してきたとき、お子さんが障がい児として対象になるときなどに申請します。助成の開始日は申請した月の初日からとする自治体が多いため、該当したら早めの手続きをおすすめします13

必要書類

申請時には以下のような書類を提出します14

  • 申請書(自治体所定の「福祉医療費受給者証交付申請書」等。窓口に備え付け、または自治体HPからダウンロードできます15
  • 健康保険証(加入している医療保険の保険証。マイナンバーカードに保険証機能を搭載している場合は不要とされる場合もあります16
  • 障がい者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の該当するもの17
  • 所得確認書類(市町村で前年所得が確認できない場合に提出。例えば転入者は前住所地発行の「住民税課税(非課税)証明書」などが求められます18
申請手続きの詳細と更新について

自治体によっては郵送申請やオンライン申請に対応している場合もあります11。例えば滋賀県大津市では郵送や電子申請も可能です11。申請書類が揃っていれば、窓口申請では即日交付されるケースもあります[19]。申請後、「医療費受給者証」または「福祉医療費受給券」と呼ばれる受給資格証が交付されます。これは医療機関で提示することで助成を受けるための証明証で、自治体によってピンク色の紙券などで発行されます[20]

更新手続き: 受給者証には有効期限がありますが、多くの自治体では毎年定期的に資格を更新します。例えば茨城県土浦市では毎年6月末に資格と所得の確認を行い、自動更新された新しい受給者証を郵送しています21。滋賀県大津市でも毎年7月末に更新があり、所得審査のうえ新しい受給券が交付されます[22]23。更新に際して納税申告や障がい者手帳の更新を済ませておくことが重要です23

医療機関を受診するときのポイント(医療費請求・自己負担・レセプト)

受給者証の提示

対象となる方が医療機関や調剤薬局を利用する際は、受付で健康保険証とともに福祉医療費受給者証(マル福券)を提示してください[24]。これにより、窓口で支払う医療費の自己負担分が助成されます。医療機関側では、公費負担医療として扱い、患者さんから徴収しなかった自己負担分を自治体に請求する仕組みです。診療報酬明細書(レセプト)上で所定の公費負担番号を記載し、自治体へ医療費の請求を行います。患者さんにとっては窓口負担が実質無料または定額になり、残りは医療機関から自治体に請求される形となります[24]

患者の自己負担額

重度心身障害者医療費助成制度では、健康保険で通常発生する自己負担分(1割~3割相当額)が公費で賄われます。自治体によって若干異なりますが、多くの地域では対象者の窓口自己負担はゼロです[25](入院時の食事代や差額ベッド代など保険適用外の費用は本人負担になります[25])。一部の自治体では定額の自己負担金を設定している場合もあります。例えば滋賀県では、受給者のうち世帯に住民税課税者がいる場合、外来1回500円・入院1日1000円(1か月14日分上限)の自己負担が必要ですが、世帯全員が非課税なら自己負担なしといった仕組みになっています26。このように自己負担金の有無や額は自治体により制度運用上異なるため、交付された受給者証の注意書きを確認しましょう。

医療機関での請求事務と特殊な場合の対応

医療機関での請求事務: 医療機関側から見ると、公費負担分を含めてレセプト請求するケース(現物給付方式)と、患者に一旦負担金を支払ってもらい後から償還払いを行うケースがあります。多くの自治体では現物給付(窓口無料化)方式を採用しており、患者さんが受給者証を提示すれば、その場で自己負担額の支払いは不要です[24]。医療機関は患者さんから徴収しなかった自己負担相当額を、自治体に対して請求することになります。レセプトには公費負担医療として所定の記載を行い、国保連合会等を通じて自治体から医療機関へ支払われます。

受給者証が使えない場合: 受給者証を提示し忘れた場合や、他県の医療機関を受診した場合には、その場では通常通り自己負担分を支払う必要があります[27]。例えば滋賀県の受給者証は県外では原則使用できません[27]。後日、領収書を添えて自治体窓口で申請すれば支払った自己負担分の払い戻し(償還払い)を受けることができます[28]。払い戻し申請の方法も各自治体の窓口やホームページで案内されています。

レセプト上の扱い: 医療機関では、公費負担医療が適用される場合レセプトにその旨を記載します。重度心身障害者医療費助成制度の場合も、公費負担者番号や受給者番号を記載し請求します。患者負担がゼロの場合でもレセプト提出は必要なので注意が必要です[24]。ただし患者自己負担が発生しない場合、医療費の一部負担金欄は0円となり、医療機関には自治体からその部分が支払われる仕組みです29

滋賀県における運用と特徴(対象範囲・助成内容・申請手続き)

重度心身障害者医療費助成制度の基本的な枠組みは全国共通ですが、自治体ごとに細かな違いや独自の拡充があります。ここでは滋賀県での運用上の特徴を取り上げます。

対象者の範囲

滋賀県では制度の対象となる障がいの範囲を比較的広く設定しています。例えば身体障害者手帳は1級~3級の方が対象で、知的障害についても最重度のA判定だけでなく中度(B判定の一部)まで含まれます30精神障害者保健福祉手帳も1級所持者が対象(65歳以上の「重度障害老人」では2級も対象)となっています3031。全国的に見ると、従来は身体3級や知的B判定が対象外の地域もありましたが、滋賀県では2024年4月の制度改正に伴いこれらも包含する形で対象拡大しています。

助成内容(自己負担)

滋賀県では受給者の所得区分に応じて自己負担額の扱いを分けています。受給者本人・配偶者・扶養義務者全員が住民税非課税である世帯の場合、窓口負担は無料(0円)です26。一方、世帯内に住民税課税者がいる場合は一定の自己負担が発生します。滋賀県内の標準的な自己負担額は外来1件につき500円(院外処方の薬局は無料)、入院1日につき1000円(1か月14,000円上限)と定められています32。この方式により、収入がある程度ある世帯でも制度の恩恵を一部受けられるよう配慮されています(完全な所得オーバーの場合は対象外)。他地域では重度障害者の医療費は全額公費負担で自己負担なしとする代わりに、所得制限で厳格に線引きする例もあります[25]。滋賀県の方式は「広く浅く」助成する特徴があると言えるでしょう。

申請手続きの特徴と比較表

申請手続きの特徴: 滋賀県内の各市町では申請しやすい環境づくりにも取り組んでいます。例えば大津市では郵送やオンラインでの申請受付を行っており、窓口に行かず手続きを完了することも可能です11。また滋賀県では制度区分として65歳以上の障害者を「重度障害老人」として区分し、75歳到達時に後期高齢者医療へ移行する際は市町から案内が届き手続きが行われます33。受給者証の更新も毎年行われ、先述のように7月下旬に新しい受給券が自宅に郵送されるため、利用者は期限を意識せず継続利用できます23。申請時や届出事項(住所変更・世帯変更等)の案内も自治体HPで丁寧に周知されています。全体として、滋賀県では利用者が手続きを行いやすく、医療機関側も事務処理しやすいよう制度運用が整えられている点が特徴です。

項目 全国的な概要 滋賀県での運用
対象者(障がい種別) 各自治体で定めるが、身体障害1・2級、重度の知的障害、精神障害1級などが中心34
※地域により身体3級や知的中度は対象外の場合あり
身体障害者手帳1~3級、療育手帳A1~B1判定(重度~中度)、精神障害者手帳1級など広く対象に含む30
※特別児童扶養手当1級・2級該当児童や障害年金1級受給者も対象30
所得制限 あり(扶養人数ごとに所得上限額を設定。例:扶養なし本人年収約520.9万円以下等)[9]
基準超過時は対象外となる。
※自治体によっては独自拡充で所得制限を撤廃する場合もあり10
あり(基準額は概ね全国基準に準拠)。
さらに滋賀県では世帯の課税状況に応じて自己負担額を設定し、非課税世帯は自己負担なし、課税世帯は定額負担あり26(基準超過の場合は対象外)。
自己負担(窓口負担) 0円が基本。重度障害者の医療費は公費で全額助成され、多くの地域で窓口負担なし[25]
(入院時食事代等の保険外費用は本人負担)
0円または定額負担。滋賀県では世帯非課税なら0円、課税世帯は外来500円/回・入院1000円/日の負担32
(保険適用外費用〈食事代・差額ベッド代等〉は本人負担)
申請方法 市区町村役所の窓口で申請書提出。必要書類は保険証、障がい者手帳、所得証明等14
初回申請後、毎年更新(多くは自動更新で新証送付)[22]
窓口・郵送・電子申請いずれも可能(自治体により対応)11
大津市などではオンライン申請受付あり。毎年7月末に新しい受給券を郵送23
医療機関での対応 医療機関窓口に受給者証を提示すると自己負担額が免除され、公費負担として処理[24]
県外受診や証提示忘れ時は一旦自己負担し、後日償還払い請求[27]
滋賀県でも対応は同様。県内医療機関では受給券提示で定額負担以外は無料に21
県外受診時や未提示時は一旦立替払いし、後日市町に払い戻し申請を行う21

※表中の全国的な概要は標準的な例を示したもので、実際は各都道府県・市町村により運用が異なります。滋賀県内でも市町ごとに細部は異なる可能性があり、詳細は各市町窓口の案内をご確認ください34

おわりに

重度心身障害者医療費助成制度(マル福制度)は、重い障がいのある方々の医療アクセスを支える大切な制度です。専門用語をできるだけ避け平易に説明しましたが、不明な点があればお住まいの自治体窓口や相談支援員、医療ソーシャルワーカーに相談してみてください。患者さんにとっては経済的な安心を得られる制度であり、医療従事者にとっても適切に制度を案内・活用することで患者負担の軽減に寄与できます。制度のしくみや手続きを正しく理解し、必要な方が漏れなく支援を受けられるよう、本記事がお役に立てば幸いです。

参考資料・出典

総引用箇所数: 34箇所 | 参考文献数: 7件

重度心身障害者医療費助成制度に関する各自治体の公式サイト等を参照しました。制度の詳細は自治体ごとに異なるため、最新情報は必ずお住まいの市町村の窓口や公式ホームページでご確認ください。

1 3 4 26 11 21 30 重度心身障害者の医療福祉費支給制度(マル福)|土浦市公式ホームページ
https://www.city.tsuchiura.lg.jp/kurashi-tetsuzuki/kokuho-nenkin/marufuku/kakushu-marufuku/page016850.html
2 医療福祉費支給制度(マル福)|日立市公式ウェブサイト
https://www.city.hitachi.lg.jp/fukushi_kenko/hojokin_joseikin/1009459.html
12 34 重度心身障害者医療費助成制度 - 埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0702/jyuudo.html
13 30 31 守山市の福祉医療費助成制度(マルフク)全般|滋賀県守山市公式ウェブサイト
https://www.city.moriyama.lg.jp/kenkoufukushi/kenkouiryou/1002470/1002538.html
29 医療扶助のオンライン資格確認 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25108.html
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