多血症と脳梗塞の関連:最新知見と臨床応用

スライド

https://claude.ai/public/artifacts/e71e1659-f1af-4dc4-8ae4-cec5db0828ba

音声概要

多血症脳梗塞0917.mp3 - Google ドライブ

確認クイズ

polycythemia_stroke_quiz.jsx | Claude | Claude

 

太っていて、いびきをかいて寝ている睡眠時無呼吸がありそうな男性。

概要

多血症(赤血球増加症)は、血液中の赤血球数やヘモグロビン濃度が高値となる病態であり、血液が粘稠(ねんちゅう)となって血栓傾向をもたらしうる[1]。その結果、心筋梗塞や脳梗塞など動脈血栓イベントのリスクが増加することが知られている[2]

多血症には、造血幹細胞のクローン増殖による真性多血症(polycythemia vera; PV)と、低酸素血症や過剰なエリスロポエチン(EPO)産生などによる二次性多血症(続発性多血症)とがある。PVは原因不明の骨髄増殖性腫瘍でJAK2遺伝子変異が95%以上の症例に認められ[3]、赤血球のみならず白血球・血小板も増加しうる。

📋 重要ポイント
PVでは脳梗塞を含む血栓症が主要な合併症であり、報告によれば発症時に20%前後の患者が血栓症で初発し、そのうち約70%はTIAや脳梗塞であるともいわれる[3]。実際、あるレビューではPV症例の最大16.2%が虚血性脳卒中を初発症状とし、脳卒中がPV関連死の8.8%を占めるとの報告もある[4]

もっとも、血液疾患が脳梗塞の原因となる頻度は全体の1%程度と稀であり[4]、主たる原因は動脈硬化や心源性塞栓である。しかし若年者脳梗塞では血液凝固異常や骨髄増殖性疾患の関与も鑑別に挙がるため、臨床医は多血症と脳梗塞の関連に注意を払う必要がある[5]

一方、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など慢性低酸素を伴う状態では二次性多血症が生じ、これも脳梗塞の危険因子となりうる。特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では睡眠中の低酸素ストレスから心血管系リスクが高まり、未治療OSA患者では脳梗塞発症リスクが健常者の2~4倍に達するとの報告がある[6]

以上のように、真性多血症および二次性多血症はいずれも脳梗塞との関連があり、その診療において最新知見の理解と臨床応用が重要である。

疫学

真性多血症(PV)は希少疾患で、年間発症率は人口10万あたり0.1~2人程度と推定される[7]。日本人においても有病率は100万人に数人と極めてまれで、中高年(50~70歳代)に好発する[8]。男女比はおおむね1.2~1.5:1で男性に多い。

PV患者の脳梗塞合併率は、発症時~経過中合わせて20~30%に達するとされ[9]、特に高齢(>60歳)や既往に血栓症ありの患者でリスクが高い[10]

一方、二次性多血症の疫学は原因疾患に依存する。慢性閉塞性肺疾患や先天性心疾患など慢性低酸素状態に伴う多血症が比較的多く報告されるが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)も重要な原因である[11][12]

📋 OSA関連疫学データ
OSAの有病率自体は中年男性の数%以上と高く(米国では中等症以上のOSAが成人男性の約24%、女性の9%との報告[13])、その一部で赤血球増加が起こる。実際、OSA患者の中で多血症の合併する割合は報告により様々だが概ね数%程度(2~8%)とされ、低酸素の強い重症OSAほど頻度が高い[14]

逆に原因不明の赤血球増加症患者を詳細に検査すると高率にOSAが潜在していたとの報告もあり[14]、未診断SASが多血症患者の背景に存在するケースは臨床で留意すべきである。

また、OSAの背景として肥満が大きな役割を果たす。OSA患者の約70%以上に肥満が認められ、特に肥満低換気症候群(OHS)の合併例では日中も高二酸化炭素血症を伴うため慢性的な低酸素刺激が強く、赤血球増加が起こりやすい[15]

ある検討では、二次性多血症患者の75%が肥満(BMI≥30)であったのに対しPV患者では17%に過ぎなかったとの報告もあり[16][17]、肥満を背景としたOSAによる多血症が臨床上しばしば見られることが示唆される。

病態

真性多血症(PV)の病態生理の中心は、造血幹細胞の腫瘍性増殖による赤血球質量の増加である。ほとんど全例でみられるJAK2 V617F変異は細胞内のシグナル伝達を恒常的に活性化し、赤血球のみならず白血球や血小板も増加させる[18]。この高粘稠状態が脳梗塞発症の病態的基盤となる。

増加した血球により血液粘稠度が上昇すると、血流が遅延し血管内皮への血球接触が増加して血栓形成が促進され、脳梗塞を含む血栓症の発生率が高まる[19][20]。特にヘマトクリット(Hct)が45%を超えると粘稠度は急激に上昇し、脳血流量の低下が生じることが報告されている[21]

📋 PV患者の血栓リスク因子
PV患者では赤血球増加に加え血小板機能異常(PVではしばしば巨大血小板やリステチンコファクター低下がみられる)や白血球増多に伴う炎症・血管内皮障害も血栓傾向に寄与する。実際、JAK2変異は白血球の血管壁への接着や血小板の活性化を促し、動静脈系の血栓を引き起こす要因となる[22][23]

これら複合的な因子により、PVでは脳梗塞を含む動脈血栓症リスクが著しく上昇する。

二次性多血症の病態では、赤血球増加はあくまで低酸素や腫瘍性EPO産生など外的要因への生理的反応である。なかでも慢性低酸素によるEPO増加が典型であり、肺疾患や喫煙、高地居住、また睡眠時無呼吸症候群(SAS)が該当する[24][25]

慢性的な低酸素負荷は腎臓からのEPO分泌を亢進させ、骨髄での赤血球新生が促進される[26]。とくに閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では夜間に低酸素と高炭酸ガス血症が反復するため、腎EPO産生の慢性的な刺激となり持続的な赤血球増加を来しうる[27][28]

OSAの複合的病態メカニズム

加えてOSAでは、無呼吸により陰圧負荷がかかることで心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が過剰分泌され、夜間多尿と脱水を招いて相対的多血症(血液濃縮)を引き起こすこともある[29]。このようにOSAでは低酸素による絶対的赤血球増加と脱水による血液濃縮の双方で血液粘稠度が上昇しうる。

さらにOSA患者には高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性など動脈硬化を促進する併存症も多く[30][31]、これらが相まって脳梗塞発症の下地となる。実際、OSA患者では動脈硬化の進展や血管内皮機能障害がみられ、血栓症や心血管イベントのリスクが増大する[32]

特に肥満を伴うOSA(OHSでは日中も低酸素が持続)は著明な赤血球増加症を呈することがあり[33]、血液が泥状に「どろどろ」とした状態となって脳梗塞の直接的な誘因ともなる[1]

以上より、PVでは腫瘍性増殖による汎血球増加と高粘稠度が、二次性多血症では低酸素・肥満を背景としたEPO亢進と血液濃縮が、それぞれ脳梗塞発症の病態基盤となっている。

診断

真性多血症(PV)の診断基準

真性多血症(PV)の診断基準としてWorld Health Organization (WHO)の2016年基準が広く用いられる[34]

📋 WHO 2016年 PV診断基準(主要項目)
  1. ヘモグロビン濃度 >16.5 g/dL(男性)または >16.0 g/dL(女性)、もしくは ヘマトクリット >49%(男性)または >48%(女性)
  2. 骨髄生検での汎血球系の増殖性過形成(赤血球系優位)
  3. JAK2 V617Fまたは exon12変異の陽性
これら3項目すべてを満たすか、骨髄生検を除く前二項目と血清エリスロポエチン(EPO)値低下を満たす場合にPVと診断される[34]

典型例では赤血球増加に加えてEPOが低値となることがPVの手がかりであり、実際本症ではEPOが正常~低下を示す例が大半(ある報告ではPV患者の77%がEPO基準値未満)である[35][36]

⚠️ 診断上の注意
もっとも、脳梗塞発症時に初めてPVが明らかになるケースでは、急性期の脱水や血液検査データの変動によりヘモグロビン/Hct値が診断閾値に達しない「隠れ多血症」のことがあり注意が必要である[37]。したがって原因不明の若年者脳梗塞や血栓症では、たとえ赤血球値が基準上限~軽度高値程度でもJAK2変異検査骨髄検査を考慮しPVを除外すべきである。

二次性多血症の鑑別診断

二次性多血症が疑われる場合、その鑑別診断として低酸素血症の有無エリスロポエチン(EPO)過剰の二点に着目する。

まず動脈血酸素飽和度(SaO₂)やPaO₂を測定し、低酸素があれば肺疾患(COPDや間質性肺炎など)・睡眠時無呼吸・先天性心疾患の右左シャントなどを考える[38][39]。低酸素を伴わない場合は、腎細胞癌などの腫瘍性EPO産生、エリスロポエチン製剤の使用、テストステロン過剰などが鑑別に上がる[40]

血液検査では血清EPO値の測定が有用で、EPO高値なら腫瘍性産生や低酸素による二次性多血症を強く示唆する(EPO正常でも二次性の否定はできないが、EPO低値ならほぼPVである)[41]

鑑別診断の詳細アプローチ

鑑別診断を進める上では喫煙歴(一酸化炭素中毒による多血症)、服薬歴(EPO製剤やアナボリックステロイドの使用)も確認する。また身体診察で脾腫の有無は重要で、脾腫を伴えばPVなど骨髄系疾患を示唆する。一方、肥満や顔面紅潮、多血質な外観は二次性・真性を問わず多血症に共通しうる所見である。

腫瘍性多血症を疑う場合は腹部超音波やCTで腎腫瘍の有無を検索し、必要に応じて血清エリスロポエチン関連因子産生腫瘍(肝細胞癌、子宮筋腫、褐色細胞腫など)のスクリーニングを行う[42]

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の評価

特に見落としやすいのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の評価である。肥満傾向でいびきや日中の傾眠が見られる脳梗塞患者では、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)による二次性多血症が背景に潜んでいないか注意を要する[43]

OSAを疑った場合は、専門医による一晩の終夜ポリソムノグラフィ検査(PSG)もしくは簡易モニター検査を行い無呼吸低呼吸指数(AHI)を測定する。AHIとは1時間あたりの無呼吸(10秒以上の気流停止)+低呼吸(酸素飽和度低下を伴う気流低下)の発生回数であり、その値によりOSAの重症度を分類する(AHI <5:正常、5~15:軽症、15~30:中等症、≧30:重症[44]

一般にAHI≧5でOSAと診断され、AHIが高いほど合併症リスクも高まる[45]。OSA疑い例では耳鼻科的評価(気道形態の評価)も行い、必要に応じて終夜睡眠ポリグラフ検査による確定診断をつける。

📋 臨床判断のポイント
実臨床では、「原因不明の多血症+肥満+いびき」という患者に遭遇した場合、積極的にSAS検査を行うことが推奨される[46]。こうした鑑別のアプローチにより、PVと二次性多血症を的確に診断しうる。

治療

真性多血症(PV)の治療

真性多血症(PV)の治療は、脳梗塞など血栓症の一次予防・二次予防が最大の目的となる[47]

第一に瀉血療法(定期的な静脈採血による血液容量調整)が基本で、目標ヘマトクリット値を45%未満に維持する[48]。無治療のPVでは高Hctに伴う脳梗塞・心筋梗塞リスクが高いが、瀉血によりHct<45%を保てば主要血栓イベント発生率が有意に低下することが大規模試験で示されている[49]

第二に低用量アスピリン(100mg/日)の内服が推奨される。EUのPV患者コホート研究ではアスピリン少量投与により血栓症の予防効果と安全性が確認されており、禁忌がなければ全例で考慮される[50]。アスピリンはPV患者で亢進している好中球と血小板の相互作用を阻害し、血栓形成を抑制すると考えられている[51]

📋 リスク層別化治療
リスク層別化も治療戦略に重要で、一般に60歳超または血栓症既往のあるPVは高リスクとみなされる[52]。高リスク群では瀉血+アスピリンに加えてサイトレダクション療法を併用する。

第一選択薬は経口抗がん剤のヒドロキシウレア(HU)で、骨髄抑制により赤血球や血小板数を低下させる[53]。高齢者や大量瀉血が困難な心機能障害患者でもHU併用により良好な血液コントロールが期待できる。

ただしHU長期使用は汎血球減少や皮膚潰瘍、副次的な白血病発症リスク上昇が報告されており[54]、若年患者では避けることも多い。これに対しインターフェロンα(IFNα)製剤は骨髄増殖性腫瘍に対する効果が近年見直されており、特に長時間作用型のロペグインターフェロンα2b(商品名ベスレミ)はPVに対しHUに替わる新たな選択肢となっている[55]

IFNαは血球数を正常化させるだけでなくJAK2変異アレル負荷を減少させうることが示されており[56]、若年PV患者での分子遺伝学的寛解も期待される。

一方、HUやIFNでコントロール不良または副作用で使用困難な症例にはJAK2阻害薬の適応がある。ルキソリチニブ(ruxolitinib)は経口のJAK1/2阻害剤で、本来は骨髄線維症治療薬だがPVに対しても有効性が認められている[57]

新規治療薬と将来展望

ルキソリチニブは血球数や脾腫の著明な改善効果があり、難治性掻痒感などPVの症状緩和にも有用である。第二世代の選択的JAK2阻害薬(フェドラチニブなど)も開発が進んでいるが、安全性の検証が進行中である[58]

なお、PV患者が脳梗塞を発症した急性期には、上記治療に加えて抗血栓療法(アスピリンや抗凝固薬)の検討が必要である。原因病態が動脈血栓である場合、他の動脈硬化性脳梗塞と同様に抗血小板薬が用いられるが、心房細動など心原性要因があれば抗凝固療法を行う。

🚨 急性期対応
いずれにせよ急性期から速やかに瀉血によりHctを目標値まで減らすことが再発予防上重要で、必要に応じて交換輸血的に輸液を併用しながら迅速な瀉血を図る(Hct急下降に伴う循環不全に注意)。このようにPVでは、長期的な血栓予防と急性期脳梗塞への対応の双方で、血液内科と脳神経内科の連携した治療が不可欠である。

二次性多血症の治療

二次性多血症の治療では、原因疾患に対する対処が基本となる。低酸素が原因の場合は低酸素の是正が最優先であり、具体的には肺疾患による慢性呼吸不全や高度肥満による低換気に対しては在宅酸素療法(HOT)やNPPV(非侵襲的陽圧換気)の導入を検討する。

酸素投与により動脈血酸素飽和度を>90%に維持することでEPO産生刺激を減弱させ、赤血球値はゆるやかに正常化していく。

また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因の場合は、その治療が赤血球増加の是正につながる。閉塞性OSAの第一選択治療持続陽圧呼吸(CPAP)療法であり、専用マスクで夜間気道に陽圧空気を送り込むことで無呼吸低呼吸を消失させる[59]

📋 CPAP療法の効果
CPAP導入により夜間低酸素血症が解消されると、腎EPO産生が正常化して赤血球過剰産生が抑制される。実際、CPAP治療によってOSA患者のヘマトクリット値が有意に低下し、多血症が改善したとの報告が複数あり[60][61]、OSAによる多血症においてCPAPは根本的治療となる。

またCPAPにより夜間低酸素の改善とともに血圧や不整脈のコントロールも向上し、脳梗塞など心血管イベントの二次予防にも有益であると考えられる[62]

加えて体重減量も極めて重要である。肥満はOSAの最大の危険因子であり、減量によりAHI(無呼吸低呼吸指数)が大幅に改善することが知られている[63]。実際、体重10%減少でAHIが約26%減少するとの報告もあり[64]、減量はOSAそのものと多血症の両方を根本的に改善しうる。

「減量+CPAP」のアプローチはOSA患者の予後を飛躍的に改善するため、肥満OSAによる多血症では栄養指導や運動療法も並行して行う。

その他の原因に対する治療

その他、原因の除去という観点では、喫煙者では禁煙により一酸化炭素誘発の赤血球増加が是正される。また腎腫瘍や子宮筋腫などEPO産生腫瘍が原因の場合は、その外科的切除が根本療法となる。

二次性多血症では基本的に原因治療が優先されるが、脳梗塞既往例で赤血球増加が高度な場合には、原因治療に加えて瀉血や抗血小板薬投与を暫定的に行い、血栓予防を図ることも考慮される。

予後

多血症患者における脳梗塞の再発リスクは、その原因や治療介入の有無により大きく左右される。

真性多血症(PV)の予後

真性多血症(PV)では、治療しなければ血栓症再発率が極めて高く、1950年代の報告では未治療PV患者の約半数が18ヶ月以内に血栓イベントを来たしたとされる[65]

一方、現代の治療下ではPV患者の血栓リスクは大幅に低減している。例えば欧州で行われた試験では、瀉血によりHct<45%を維持した群は45–50%を許容した群に比べて心血管死亡および血栓イベント発生率が有意に低下した[49]。また前向き研究により、低用量アスピリン併用がPV患者の総死亡および血栓症発生を有意に減少させるエビデンスも得られている[50]

📋 PV患者の長期予後
以上から、PV患者で適切な瀉血・薬物療法を行うことにより脳梗塞の再発予防効果と生命予後の改善が期待できる。ただしPVは慢性疾患であり、長期経過中に骨髄線維症や白血病への転化が10~15%で起こり得る[66]。そのため血栓症予防のみならず、分子標的薬や幹細胞移植も視野に入れた包括的な長期管理が重要である。

二次性多血症の予後

二次性多血症の場合、予後は原因疾患の重症度とコントロール状態に依存する。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)による多血症では、適切なSAS治療を行うことで赤血球増加は可逆的であり、脳梗塞リスクも低減できると考えられる。実際、重症OSAを治療せず放置すると若年層でも死亡率が有意に上昇し(30~49歳の重症OSA患者は非重症OSA患者に比べ死亡率3.3倍との報告[67])、日本のコホート研究でもOSA未治療では約5年間で5.8%が死亡し、その多くが心筋梗塞や脳梗塞による突然死であった[68]

しかしCPAP療法の普及により、OSA患者の心血管予後は着実に改善している。CPAPの継続使用により高血圧や不整脈のリスクが低下することが示されており、脳卒中再発率も治療に伴い減少する可能性が高い。

📋 原因治療による予後改善
実臨床でも、SAS治療後に多血症が消失し脳梗塞の再発を防げた症例が報告されている[69]。重要なのは、原因疾患への介入による予後改善効果を常に念頭に置くことである。例えば肥満に起因するOSA多血症では減量とCPAPにより根治的な管理が可能であり、慢性肺疾患による多血症では長期酸素療法で心血管死亡を減少させうる。

したがって多血症と脳梗塞の合併例では、血栓予防策に加えて原因病態への適切な介入を行うことで、長期予後の改善が期待できる。

📋 包括的管理の重要性
総論として、真性多血症・二次性多血症いずれのケースでも、脳梗塞の再発リスク評価と原因治療を統合した包括的管理が患者の予後向上につながる。各専門領域(脳神経内科・血液内科・呼吸器内科など)が連携し、最新の知見に基づいた診療を実践していくことが肝要である。

参考文献

総引用箇所数: 69箇所 | 参考文献数: 47件
1 33 睡眠時無呼吸症候群の合併症 | ゆうしん内科|札幌市中央区ゆうしん内科|札幌市中央区 https://www.ys-med.com/sas_complication/
2 Medicine - Ischemic stroke as an initial performance of polycythemia vera https://journals.lww.com/md-journal/fulltext/2024/02160/ischemic_stroke_as_an_initial_performance_of.30.aspx
3 9 睡眠時無呼吸症候群 | 神谷耳鼻咽喉科医院 https://kamitani-ent.com/sleep_apnea
4 Polycythemia Vera: Rapid Evidence Review - AAFP https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2021/0601/p680.html
6 Secondary Polycythemia - StatPearls - NCBI Bookshelf https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562233/
7 肥満と閉塞性睡眠時無呼吸症候群 - J-Stage https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/87/9/87_9_1793/_pdf
8 Polycythemia, Ablepsia, and Obesity Hypoventilation Syndrome: A Case Report - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4736890/
10 47 52 Phenotypical differences and thrombosis rates in secondary erythrocytosis versus polycythemia vera | Blood Cancer Journal https://www.nature.com/articles/s41408-021-00463-x
13 Sleep Apnea and Polycythemia Connection Explained | SleepQuest https://www.sleepquest.com/sleep-apnea-and-polycythemia/
14 27 28 43 46 69 File:Depiction of a Sleep Apnea patient using a CPAP machine.png - Wikimedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Depiction_of_a_Sleep_Apnea_patient_using_a_CPAP_machine.png
19 20 Secondary Polycythemia - StatPearls - NCBI Bookshelf https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562233/
21 肥満と閉塞性睡眠時無呼吸症候群 - J-Stage https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/87/9/87_9_1793/_pdf
22 23 24 Polycythemia, Ablepsia, and Obesity Hypoventilation Syndrome: A Case Report - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4736890/
29 32 Phenotypical differences and thrombosis rates in secondary erythrocytosis versus polycythemia vera | Blood Cancer Journal https://www.nature.com/articles/s41408-021-00463-x
44 45 Sleep Apnea and Polycythemia Connection Explained | SleepQuest https://www.sleepquest.com/sleep-apnea-and-polycythemia/
48 49 50 51 53 54 55 56 57 58 File:Depiction of a Sleep Apnea patient using a CPAP machine.png - Wikimedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Depiction_of_a_Sleep_Apnea_patient_using_a_CPAP_machine.png
65 66 Secondary Polycythemia - StatPearls - NCBI Bookshelf https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562233/
67 68 肥満と閉塞性睡眠時無呼吸症候群 - J-Stage https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/87/9/87_9_1793/_pdf

🔗 あわせて読みたい関連記事

脳梗塞 — 過去20年の診断と治療の進歩