日本では、ある年代ごとに生まれ育った人々のことを特定の「○○世代」と呼び、その特徴を語ることがよくあります。たとえば年配の方が「最近の若者は…」と嘆けば、かつてその年配者自身も上の世代から「君たちで日本は大丈夫か?」と心配されていたものです[1]。
📑 目次
はじめに
日本では、ある年代ごとに生まれ育った人々のことを特定の「○○世代」と呼び、その特徴を語ることがよくあります。たとえば年配の方が「最近の若者は…」と嘆けば、かつてその年配者自身も上の世代から「君たちで日本は大丈夫か?」と心配されていたものです[1]。世代ごとに育った時代の社会状況が異なるため、価値観や行動パターンにも傾向の違いが生まれます[2]。
本記事では団塊世代からZ世代、そしてα世代まで、日本の主な各世代について、分かりやすく解説します。世代の生年レンジや背景、特徴、他世代との比較、現在の立場などを見ていきましょう。なお、世代区分の定義には諸説あり、境界があいまいだったり重なったりする場合もあります[3][4]。本記事でも重複する世代(例:団塊ジュニアと就職氷河期世代、ミレニアル世代とゆとり世代[5]など)については適宜言及します。
世代一覧表
世代ごとの大まかな生年レンジと、2025年現在の年齢・社会での立場を以下の表にまとめました(※年齢はおよその目安です)。
| 世代(名称) | 生まれた年代 | 2025年時点の年齢 | 現在の立場・状況 |
|---|---|---|---|
| 団塊の世代 | 1947年~1949年 | 70代後半 | 多くが引退生活を送る高齢世代 |
| しらけ世代 | 1950年~1960年代前半 | おおむね60代~70代前半 | 定年退職前後のシニア層 |
| 新人類世代 | 1960年代 | 50代後半~60代前半 | 定年を迎えつつある世代 |
| バブル世代 | 1965年~1970年頃 | 50代半ば~後半 | 企業や社会の中枢で活躍する管理職層 |
| 団塊ジュニア世代 | 1971年~1974年頃 | 50代前半 | 働き盛りだが就職氷河期と重なり苦労も多い |
| 就職氷河期世代 | 1970年代後半~1980年代前半 | 40代~50代半ば | 働き盛り世代(正社員になれない苦労人も) |
| ミレニアル世代 | 1980年~1995年頃 | 30代~40代前半 | 仕事で中堅層・家庭では子育て世代 |
| ゆとり世代 | 1987年~2004年 | 20代前半~30代後半 | 若手社会人~中堅世代(教育改革を経験) |
| Z世代 | 1995年~2010年頃 | 10代半ば~20代後半 | 現在の学生・新人社会人世代 |
| α世代 | 2010年以降 | 10代前半以下(子供) | デジタル環境下で育つ真っ最中の世代 |
団塊の世代(1947~1949年生まれ)
背景と定義
団塊の世代(だんかいのせだい)は、第二次世界大戦後すぐの第一次ベビーブーム期(1947~1949年)に生まれた世代です[6][7][8][9]。当時の日本は戦後の復興期で、この世代の出生数は年間200万人を超えるまれに見る人口規模でした。同名の小説『団塊の世代』が1970年代に発表されて以降、この呼称が広まりました[5]。
彼らは幼少期から高度経済成長に突入した日本で育ち、大学進学期の1960年代後半には学生運動が最も盛んな時代を経験しました[16]。就職して社会人となった1970年代も経済は右肩上がりで、仕事を通じて日本の高度成長を牽引した世代です。40歳前後となった1980年代後半にはバブル景気を迎え、社会の繁栄を肌で実感しています[17]。
特徴
団塊世代の一般的な特徴としては、競争心が旺盛で仲間意識も強い点が挙げられます[18]。子供の頃にテレビが普及した「第一次テレビっ子世代」でもあり、マスメディアから大きな影響を受けた世代です[19]。流行や権威に敏感で、会社や社会では集団への帰属意識が強く、人とのつながりを重んじる傾向があります[19]。
戦後の物のない時代から豊かな時代へと移り変わる中で育ったため、勤勉で仕事中心の生活を送った人も多く、「会社人間」と呼ばれるような働きぶりで日本経済を支えました。また人口規模が非常に大きいことから、社会の消費動向や国家政策にも強い影響力を持ってきたとされます[6]。
他世代との関係
団塊世代は自分たちが若かった頃に当時の上の世代(戦前・戦中生まれの焼け跡世代など)と価値観のギャップがありました。学生運動に熱中する姿は上の世代からは危なっかしく見え、一方で団塊世代側は保守的な年長者に反発心を抱くこともあったようです。やがて時が経ち、団塊世代自身が職場や社会の中枢を担う頃になると、今度は新人類など下の世代との感覚のズレが生じました。「近頃の若者は辛抱が足りない」と嘆く団塊世代に対し、若者からは「時代遅れのやり方を押し付ける」といった不満も聞かれるようになりました(この世代間の愚痴の応酬はいつの時代も繰り返されるものかもしれません)[1]。
現在の立場
現在、団塊の世代は70代後半となり、大半が現役を引退した高齢者です[20]。人数が多いため、高齢者医療や年金など社会保障の分野では「団塊世代が一斉に75歳以上になる2025年問題」として注目されています。豊かな日本を築いた功労者である一方、退職金や年金で悠々自適に暮らす姿に対し、若い世代からは「人口が多い世代が富も年金も独占している」という皮肉交じりの声が出ることもあります。しかし彼らもまた社会を支え、今なお家族や地域コミュニティの中で存在感を放つ世代と言えるでしょう。
しらけ世代(1950~1960年代前半生まれ)
背景と定義
しらけ世代は、1950年~1960年代前半生まれの人々を指す世代区分です[6][7]。団塊の世代に続く「ポスト団塊世代」であり、社会背景としては1960年代に盛り上がった学生運動が終息した後に青春期を迎えた世代にあたります[21]。
高度経済成長も終盤に差しかかり、日本社会が安定に向かう1970年代に高校生・大学生となった彼らは、それまでの熱気が嘘のように政治への関心を失い、物事にどこか白けた(冷めた)態度を取る若者と見られました[22]。実際、「しらけ世代」という呼称自体が、学生運動に燃えた上の世代とは対照的に無気力・無関心に見えた若者たちへの揶揄として生まれたと言われます[23][24]。
特徴
しらけ世代の価値観や特徴としては、「三無主義」と呼ばれる傾向が語られます。「三無主義」とは無気力・無関心・無責任という3つの「無」が揶揄的に表現されたもので、しらけ世代は大きな理想より現実を重視し、あまり熱くならずに傍観者的スタンスを取ると言われました[25]。
また、ちょうどテレビや漫画・アニメが家庭に浸透した時期の子ども時代を過ごしており、オタク文化の草創期に青春を送った世代でもあります[21][24]。趣味や娯楽に没頭する個人主義的な一面も指摘され、上の世代からは「覇気がない」と評されることもありました。
他世代との比較
上の団塊世代との比較では、しらけ世代は学生運動に冷めた姿勢から「ノンポリ世代(ノンポリティカル=非政治的な世代)」とも呼ばれました[24]。団塊世代が社会を変えようと声を上げても日本は大きく変わらなかった現実を見て育ったため、「どうせ頑張っても無駄」というシニカルな空気が漂っていたとも言われます[21]。
一方で下の世代(新人類やバブル世代)が台頭してくると、しらけ世代が培ったオタク的嗜好や個人主義は後の若者文化にも通じていきました。例えば昭和末期~平成初期に流行したゲームやアイドル文化など、しらけ世代が若い頃に萌芽したサブカルチャーが次世代で花開いた側面もあります[23]。
現在の立場
現在、この世代は60代~70代前半となり、多くが定年退職を迎えるシニア層です。人数的には団塊世代ほど多くないものの、依然として企業や社会の意思決定層に属する人もいます。近年は高齢者でもスマートフォンやパソコンを使いこなす人が増え、この世代も「デジタルシニア」としてオンラインサービスを活用する姿が見られます[26]。
また「何にも関心がない」と言われたしらけ世代ですが、実際には趣味や消費に積極的な人も多く、リタイア後に豊富な資金と自由時間を使って趣味や旅行を楽しむケースも少なくありません[27]。静かに見えて内に秘めたパワーを持つのが、このしらけ世代かもしれません。
新人類世代(1960年代生まれ)
背景と定義
新人類(しんじんるい)世代とは、1960年代生まれの世代を指す呼称です[8]。この言葉は経済人類学者の栗本慎一郎氏が作った造語で、1980年代に当時の若者を指して使われました[8]。高度経済成長期に子ども時代を過ごし、物心ついた頃には日本社会が豊かになっていた世代です。
彼らが大学生になる頃(1970年代後半~80年代)には学生運動もすっかり下火になり、政治に燃える空気は過去のものになっていました[20]。そのため上の世代(団塊やしらけ世代)から見ると「従来とはまるで違う感性や価値観を持った若者たち」に映り、「新しく現れた人類」=新人類と呼ばれるようになったのです[28]。
特徴
新人類世代の背景には、共通一次試験(現在の大学共通テストの前身)の開始や、スペースインベーダーゲーム(1978年)に代表されるテレビゲームのブームなど、新しい時代の象徴が登場したことがあります[29]。受験戦争を勝ち抜いてきた上の世代とは異なり、マイホームや車といったモノへの執着が薄く、無気力・画一化傾向があるとも評されました[29]。
当時のマスメディアでも「最近の若者は非常識」「甘やかされて育った」とネガティブに取り上げられる一方で、新しい発想やカルチャーの担い手としてポジティブに期待される側面もありました[28]。おニャン子クラブやファミコンなど1980年代の新しい流行に熱狂したのもこの世代です。
他世代との比較
先輩世代との比較では、団塊やしらけ世代から「新人類は忍耐力がない」「常識が通じない」と揶揄されたことが知られます[20]。しかし新人類世代自身も、さらに下のゆとり世代などが現れると「最近の若者は我慢が足りない」と嘆くようになり、上の世代に言われたことをそのまま口にしているという指摘もあります[20]。価値観の断絶は世代間で繰り返されるものなのでしょう。
現在の立場
現在、この新人類世代は50代~60代となり、職場ではベテランから定年退職者に差しかかる年代です。1980年代半ばに新社会人となった彼らも、2020年代には管理職や役員を務め上げて退職していく時期です。一部はまだ企業の第一線で頑張っていますが、多くは仕事よりも自身の健康や趣味、家庭を重視するライフスタイルに移行しつつあります。
またこの世代は若い頃にパソコンやインターネットの黎明期を経験しており、中年期以降にデジタル機器に適応した人も多いです。SNSで懐かしの昭和ネタを語り合う中高年というとき、その中心には新人類世代がいるかもしれません。
バブル世代(1965~1970年生まれ)
背景と定義
バブル世代は、1965年~1970年頃に生まれた世代です[9]。ちょうど彼らが大学を卒業して就職する1980年代後半、日本は空前のバブル景気に沸騰していました[9]。企業は大量採用を行い、「24時間戦えますか?」という栄養ドリンクのTVコマーシャルが大ヒットするなど、仕事中心・長時間労働がいわば美徳とされた時代です[30]。
バブル世代の若者たちは、就職と同時に高給・厚待遇を得て、仕事も遊びも存分に楽しんだと言われます。平日は終電まで働き、深夜まで上司や取引先と飲み歩き、週末は高級ブランドのバッグを買い、高級車でデートに出かける…そんな華やかな消費文化の空気を味わった最後の世代と言えるでしょう[31]。
特徴
この世代の特徴は、明るく社交的で消費意欲が旺盛な点です。バブルの絶頂と崩壊を20代で経験したことで、お金を使う喜びもバブル崩壊後の不況も両方知っており、「人生は一度きりだから悔いなく楽しみたい」という価値観が強い傾向があります[31]。
職場では会社への帰属意識が高く、上司の誘いを断らず積極的に人脈を広げるコミュニケーション上手が多いです[31]。1986年の男女雇用機会均等法施行により、女性も4年制大学卒で総合職として働く道が開け始めた最初の世代でもあり、職場で男女共にバリバリ働く"均等法第一世代"という側面もあります[32]。
他世代との比較
彼らより上のしらけ世代・新人類世代が若い頃に抑えていた物欲を、バブル世代は一気に開放した印象があります。「いい車に乗りたい」「海外旅行に行きたい」といった旺盛な物欲や上昇志向が特徴的で、それを後のゆとり世代は「バブル世代の人はブランド物に縛られている」と冷ややかに見ることもあります[33]。
一方でバブル世代から見ると、最近の若者(ゆとり・Z世代)は飲み会にも来ず仕事よりプライベートを優先するように映り、「昔は皆残業して頑張ったのに…」と嘆く声も聞かれます[34]。
現在の立場
現在、バブル世代は50代半ばから後半となり、企業では管理職や経営層として働いている人が多い世代です。2025年時点で55~60歳前後に当たり、定年まで残り数年という人も増えてきました。若い頃に鍛えたコミュニケーション力や行動力は健在で、社内外でリーダーシップを発揮する人もいます。
その一方、同世代同士で集まって当時を懐かしむ余裕も生まれ、「バブル同期会」のような集まりで盛り上がる姿もあるようです。バブル崩壊から長い低成長の時代が続いたことで、この世代の中には「自分たちが若かったあの頃が日本全体のピークだった」と感じる人もいるかもしれません。それでも培ったネットワークとポジティブマインドで、定年後もセカンドキャリアや趣味にアクティブな人生を送る人が多いでしょう。
団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)
背景と定義
団塊ジュニア世代は、1971~1974年頃に生まれた第二次ベビーブーム世代です[4]。その名の通り団塊の世代の子供にあたり、日本では1970年代前半に出生数が再び増加しました(いわゆる「第二次ベビーブーム」で、1973年の出生数は約209万人と戦後2番目のピーク)[4]。
人数が多い世代のため幼少期から競争が激しく、小学校では教室が児童であふれ「学級崩壊」が問題化し始めた時期でもありました。また高校・大学進学の受験戦争も熾烈で、「団塊ジュニアは受験でも就職でも何かと不運な世代」と言われることがあります。
特徴
この世代の多くは就職氷河期世代と重なっているのが大きな特徴です[4]。大学を卒業して就職活動をした1990年代後半から2000年代前半は、バブル崩壊後の長期不況で企業が新卒採用を絞り込んでいました。そのため正社員として希望する仕事に就けず、非正規雇用で働き続けた人も少なくありません[35]。
運よく正社員になれた人も、入社直後から会社の業績悪化や経費削減の荒波に揉まれたため、他世代に比べて将来への危機意識が強い傾向があるとされます[35]。学生時代にはバブルの夢を見られず、就職すればリストラの不安と常に隣り合わせ──まさに苦労の多い世代でした。
価値観や特徴としては、団塊ジュニアは親である団塊世代の影響もあってか競争意識が強く負けず嫌いな人が多いとも言われます。人口ボリュームが大きいため同世代間での競争が激しく、受験や就職で揉まれた経験から努力と根性を美徳とする傾向も指摘されます。一方で、バブル世代のような派手さやゆとり世代のようなマイペースさはあまりなく、堅実で現実主義的な気質と言えるでしょう。バブル崩壊後の不況期に社会に出たため、お金や雇用の大切さを身に染みて理解しており、浪費を避け貯蓄志向が強い世代でもあります[36]。
他世代との関係
世代間の摩擦という点では、団塊ジュニアはちょうど上下の世代両方から板挟みに遭いやすい立場かもしれません。上にはバブル世代の先輩が多く、豪快な武勇伝についていけず息苦しさを感じたり、逆に自分たちの方が就職難で苦労したのにと不満を覚えたりすることもあったでしょう。下にはゆとり世代の後輩が控えており、自分たちが必死に仕事を覚えた年代に比べてマイペースな若手に苛立つ場面もあったかもしれません。
もっとも、団塊ジュニア世代も今や職場で中堅からベテランの立場となり、そうした世代間ギャップをうまく調整する橋渡し役として期待される存在でもあります。
現在の立場
現在、この世代は50代前半となり、企業では管理職クラスについている人も多い働き盛り世代です。家族面では30代で結婚・出産した人が多ければ、小中学生くらいの子を持つ親世代でもあります。
しかし就職氷河期の煽りで非正規雇用のまま中年期を迎えた人たちは、十分な収入やキャリアを築けず厳しい生活を強いられている場合もあります[35][36]。政府も近年になって「就職氷河期世代支援プログラム」を打ち出し、中年層となったこの世代の再就職や孤立防止に乗り出しています[37]。社会の中核を担うべき世代が戦力になれないという課題は、日本社会にとって大きな損失でもあるためです。団塊ジュニア世代が培った粘り強さや負けん気を武器に、これから再起して活躍する人もきっと少なくないでしょう。
就職氷河期世代(1970年代後半~1980年代前半生まれ)
背景と定義
就職氷河期世代は、1970年代後半~1980年代前半生まれの世代を指します[10]。具体的には1970年~1984年頃に生まれた人々が該当し、多くが1990年代半ばから2000年代前半の不景気な時期に就職活動を迎えました[10]。
バブル崩壊後の長期不況で企業の採用が大幅縮小したため、新卒で正社員の座を得ることが非常に困難だったのです。この状況が「就職氷河期」と呼ばれ、1994年には流行語大賞の特別賞にもなりました[38]。また就職氷河期世代は、将来が閉ざされた「失われた世代」=ロストジェネレーション(ロスジェネ)とも呼ばれています[38]。
社会・経済背景
この世代の社会・経済背景は暗いニュースが多く、就職難だけでなく在学中にもバブル崩壊(1991年)や金融危機(1997年の山一證券破綻など)を経験しています。希望する仕事に就けず派遣社員やフリーターにならざるを得なかった人が多く、就職できても入社後すぐに会社が傾きリストラに遭った人もいました[35]。
特徴
こうした体験から、就職氷河期世代には「仕事はあるだけマシ」「会社にしがみつかねば」という強い危機感が染み付いています[35]。実際、同世代には常に自己研鑽を怠らず資格取得に励む努力家が多いと言われます[36]。少ない求人の中で生き残るために、自分を高める努力を続けてきたわけです。また、一度正社員になっても「頑張らなければリストラされる」との不安から、会社への忠誠心が高く与えられた仕事に真面目に取り組む人が多い傾向があります[36]。
お金に対する意識も堅実で、将来への不安から節約志向・貯蓄志向が強いのも特徴です[36]。バブル世代のように派手にお金を使うより、万が一に備えて倹約し貯金しておこうという考え方が根付いています[36]。そのためマーケティング的には「コスパ重視」の世代とも言われ、商品の価格や実利をシビアに見極める消費行動が多く見られます。
他世代との関係
彼らは上のバブル世代とは対照的に「努力しても報われない世代」でしたから、バブル組の上司が無邪気に「俺たちの若い頃は景気が良くて…」と語るのを苦々しく聞いていたかもしれません。また下のミレニアル・ゆとり世代の若者に対しては、「自分たちは苦労したのに最近の若者は恵まれている」と感じることもあるでしょう。
しかし皮肉にも、就職氷河期世代の努力や忍耐は企業から過小評価されがちで、非正規雇用のまま年齢を重ねて正社員登用の機会すら減ってしまった人も少なくありません。そうした鬱屈から、一部では社会や他者への不満が強まるケースも指摘されています。
現在の立場
現在、この世代は40代~50代と働き盛りの年齢層です。ただ上記のようにキャリアが中断された人も多く、一概に「会社の中核」とも言い切れない事情があります。正社員として順調に勤め上げている人は、今まさに職場で中堅~管理職として活躍しているでしょう。
一方で未だ不安定な雇用にとどまる人は、家庭を持てなかったり低所得のまま親の介護世代に突入したりと、様々な困難に直面しています[35]。日本政府はこの世代の支援に力を入れ始めていますが、失われた時間を取り戻すには課題も多いのが現状です。それでもこの世代の中には、逆境をバネに起業して成功したり、新たなスキルを身につけて転職に挑戦したりする人もいます。遅れてきた春を迎えるべく、氷河期世代の挑戦は今も続いています。
ミレニアル世代(1980~1995年生まれ)
背景と定義
ミレニアル世代とは、1980年~1995年頃に生まれた世代を指す言葉です[11]。もともとはアメリカで2000年以降に成人した若者層をマーケティング上まとめた呼称で、日本でもほぼ同じ意味で使われるようになりました[11]。
日本のミレニアル世代は西暦でいうと昭和55年(1980年前後)生まれから平成生まれの初期までに相当し、多くが2000年代に社会人となった世代です[11]。この世代は生まれた時から徐々にコンピューターやインターネットが身近に普及し始め、幼い頃にIT革命の洗礼を受けたデジタルネイティブのはじまりの世代とも言われます[11]。
特徴
ミレニアル世代が育った1990年代~2000年代前半の日本は、バブル崩壊後の低成長期でした。幼少期に「失われた10年」と呼ばれる不況を見て育ったこともあり、価値観は現実志向でコスパ重視の傾向があります[39]。上のバブル世代のような物欲は相対的に薄れ、モノよりも体験を重視するライフスタイルが特徴です[40]。
たとえば車や持ち家など高額な所有物にはこだわらず、その代わり旅行やコンサートなど思い出に残る体験にお金を使う人が多いと言われます[40]。この世代が20代の頃にシェアリングエコノミー(カーシェアやレンタルサービスなど)が浸透したことも、所有に執着しない価値観に影響しているでしょう。
また、ミレニアル世代は多様性や個人の価値観を尊重する意識が高いとも言われます[41]。インターネットやSNSの普及で世界中の情報に触れ、様々な文化や考え方を受け入れる土壌が育まれました。自分らしさやワークライフバランスを大切にし、会社より自分の生活を優先する傾向が強まったのもこの世代からです[34]。上の世代には「最近の若者はおとなしい」「野心がない」と映ることもありますが、裏を返せば協調性が高く共感力に富む世代とも評価できます[41]。競争より共創、画一性より多様性を良しとする価値観の転換期にあたるのがミレニアル世代なのです。
ゆとり世代との重複
日本におけるミレニアル世代の呼称は、実は次のゆとり世代とほぼ重なるため、日常会話ではあまり使われないかもしれません[42]。「ゆとり世代」は後述するように教育制度の転換期にあたる生年層ですが、1987年生まれ以降はゆとり教育を受けて育っており、ミレニアル世代の大半はゆとり世代でもあります[42]。このように定義が重なるため、マーケティングやメディアでは「ミレニアル(=ゆとり)世代」とまとめて語られることもあります[42]。ただし前者はグローバルな時代区分、後者は日本固有の教育区分に由来する呼称であり、視点が少し異なる点は押さえておきましょう。
現在の立場
現在、ミレニアル世代は30代~40代前半となり、社会や職場で中堅の立場になっています。仕事では現場の中心として活躍し、プライベートでは結婚して子育てに励む人も多い層です[12]。
ITリテラシーが高く、新しいサービスや技術への適応も早いため、DX(デジタルトランスフォーメーション)の牽引役として期待されます。半面、組織より個人の幸福を重んじるため、企業は彼らに対して柔軟な働き方やキャリア支援を提供することが求められているとも言えるでしょう。上の世代から引き継ぎ、下の世代を育てる要となるミレニアル世代は、これからの日本社会の在り方を左右する重要な世代です。
ゆとり世代(1987~2004年生まれ)
背景と定義
ゆとり世代とは、1987年~2004年生まれの人々を指します[13]。この世代が小中高で学齢期を過ごした2000年代前後、日本の教育は「詰め込み教育からゆとり教育へ」の大きな転換期にありました[13]。
「ゆとり教育」とは学習内容を減らし週休二日制を導入するなど、子どもの自主性や創造性を伸ばすことを重視した教育方針です。1987年生まれ以降の子どもは段階的にゆとり教育の影響を受け始め、2002年には学習指導要領の改訂で完全週5日制が全国の学校で実施されました。こうした新方針のもと育った世代を指して「ゆとり世代」と呼ぶようになったのです。
特徴
ゆとり世代の青年期にあたる2010年前後、日本社会はバブル崩壊後の長期停滞や少子高齢化が進み、従来の右肩上がり神話が完全に崩れた時代でした。彼らは物心ついた頃から不景気が当たり前で、将来に過度な期待を抱かず現実を冷静に見つめる傾向があります。そのためマイペースで安定志向とも評され、上の世代のようなガツガツした野心より生活の安定や心の充実を重んじるのが特徴です[34]。
仕事においても、残業してまで稼ぐよりプライベートの時間を大切にし、上司から飲み会に誘われてもきっぱり断って自分の時間を確保する――そんなエピソードが語られる世代です[34]。上のバブル世代からすると「最近の若者は付き合いが悪い」「忍耐力がない」と映ることもありますが[34]、ゆとり世代本人たちは「効率よく働いて自分の人生も楽しむ方が合理的」と考えていると言えるでしょう。
デジタルネイティブとしての側面
また、この世代はデジタルネイティブの色合いが一層濃いです。学生時代から既に携帯電話やスマートフォンを持ち始め、インターネットやSNSに親しんできました[43]。TwitterやInstagramなどを駆使して常に仲間と繋がり、情報発信や共有を行うのは当たり前。リアルでもネットでも共感し合えるコミュニティを大切にし、個人を強く主張するより横のつながりを重視する傾向があります[43]。
ブランド品や車にも執着せず、むしろ上の世代がこだわる高級バッグや高級車を「無駄では?」とクールに見ている面もあります[33]。この価値観の変化には、幼少期からネットで多様な価値観に触れて相対化する感覚を身につけたことや、経済状況的にも親ほど豊かではなく浪費に現実味がないことなどが背景にあるでしょう。
他世代との関係
世代間の摩擦としては、ゆとり世代は上の世代から「ゆとり教育で甘やかされた世代」と誤解されがちでした。たとえば就職面接で年長の面接官から「君はゆとり世代だから根性が無いんじゃないか?」と言われたという話も耳にします。しかし当の本人たちは、必ずしも自分たちの努力不足とは思っておらず、「むしろ時代が違うだけで自分たちなりに頑張っている」と感じています。
実際、ゆとり世代にももちろんバリバリ働く人や野心家も存在しますし、逆に上の世代にもマイペースな人はいます。世代の傾向は一面であって個人を決めつけるものではないという好例でしょう。
現在の立場
現在、ゆとり世代は20代前半~30代後半となり、社会では新人から中堅まで幅広く分布しています。上の年代は30代後半となり管理職に就く人も出始めていますが、多くは20~30代の若手社員として組織を支えています。
早い人は家庭を築き始めていますが、結婚や出産の価値観も多様化し、この世代は独身やDINKs(共働きで子なし夫婦)を選ぶ人も少なくありません。総じて個人の生き方を尊重する空気が強まっているため、企業も旧来の一律管理から脱却し、彼らの自主性を活かすマネジメントが求められるようになっています。ゆとり世代が今後さらに上のポジションに就くにつれ、日本の働き方や社会の風潮も少しずつ変化していくことでしょう。
Z世代(1995~2010年生まれ)
背景と定義
Z世代とは、1995年~2010年頃に生まれた世代を指します[14]。海外で1960~70年代生まれをX世代、1980~90年代前半生まれをY世代(ミレニアル世代)と呼んだことから、その次に続く世代としてアルファベットのZが当てられたと言われます[14]。日本でも主にマーケティング分野で使われ始め、近年はメディアでも若者像を指す言葉として定着してきました。
真のデジタルネイティブ
Z世代の特徴は何と言っても真のデジタルネイティブ世代だという点です[44]。物心ついたときから家庭にパソコンやインターネットがあり、スマホやタブレットが当たり前に存在する世界で育ちました[44]。
具体的には、1995年前後にWindows95が発売されパソコンが急速に普及し始めた頃に生まれた世代であり、生まれながらにデジタル環境が身近にあった初めての世代と言えます[44]。幼い頃からYouTubeで動画を見たりスマホの画面を操作したりして育っているため、IT機器のリテラシーが非常に高く、オンライン上で欲しい情報を集めたり自ら発信したり、人と繋がったりすることを呼吸するようにこなします[45]。
価値観と特徴
価値観の面では、前述のミレニアル(Y)世代に近い部分もありますが、さらに多様性への許容度が高く、社会問題への関心も強い傾向があると言われます。ネット上で世界中の人と交流できる環境が当たり前になったため、人種・性別・文化など様々なバックグラウンドの違いを最初から認識しており、それを踏まえてコミュニケーションする力があります。
また、国内外の社会的なムーブメント(SDGsやLGBTQ+など)に対しても比較的ポジティブで、良いと思えば自分たちも発信や行動で関わろうとする意識が高いです。SNS上では若い世代が環境問題や社会正義について声を上げ、大人社会を動かす事例も出てきました。
一方で、Z世代はネット上の膨大な情報に日常的にさらされているため、取捨選択するセンスにも長けています。興味のないものはバッサリ切り捨て、関心のあるものには熱中して深掘りするという両極端な傾向も見られます。サービスやコンテンツも自分好みにカスタマイズすることが当たり前で、「みんなと同じ」より「自分らしさ」を重視するパーソナライズ志向が強いです。これは上の世代に比べてテレビなどマスメディアへの依存度が低く、各自が好きなYouTuberやSNSで独自の情報経路を持っていることとも関係しています。
他世代との違い
Z世代は上のゆとり・ミレニアル世代よりさらに合理的でドライとも言われます。たとえば企業に対しても「待遇が悪ければ辞める」「合わなければ転職する」という意識が強く、社畜マインドが希薄です。これはリーマンショック以降の親世代(氷河期~ミレニアル世代)が苦労する姿を見て育ったため、会社に過度に期待していないからかもしれません。そのため上の世代からは「飄々として捉えどころがない」と思われることもありますが、逆に言えば環境適応能力が高く変化に強いとも言えるでしょう。
現在の立場
現在、Z世代は10代半ば~20代後半で、まさに学生から社会人になり始めた若者世代です。大学生や新卒入社の社員として、学校や職場でフレッシュな存在感を放っています。
企業も「デジタル世代の感性を活かそう」と、Z世代の意見を商品開発に取り入れたり、SNSでの発信力に期待して広報に起用したりするケースが増えてきました。今後5~10年もすれば、このZ世代が社会の主要な担い手となっていくでしょう。先行き不透明な時代ですが、デジタルネイティブとしての強みと柔軟な価値観を持つ彼らが、新時代の日本をどのように形作っていくのか注目されています。
α世代(2010年以降生まれ)
背景と定義
α(アルファ)世代とは、2010年以降に生まれた世代を指します[15]。アルファベットの最後であるZ世代の次という意味で、ギリシャ文字のアルファが使われています。現時点(2025年)でまだ中学生以下の子供たちが該当し、2030年代以降に本格的に社会に出てくると予想される未来の若者世代です[15]。
育っている環境
α世代が育っている背景には、AI(人工知能)やブロックチェーン、メタバースといった革新的技術が次々登場する「第4次産業革命」の時代があります[15]。生まれたときから家にスマートスピーカーがあり、幼稚園児でもタブレット端末でゲームや動画を楽しむ光景が珍しくありません。この世代はまさにデジタルとリアルが融合した環境で育っており、生活様式も価値観も従来とは大きく変化すると予想されています。
予測される特徴
具体的な特徴は今まさに形成されつつありますが、いくつか予測される傾向を挙げてみましょう[46]。
現在の状況と今後
現状ではα世代は0歳~中学生くらいの子供たちです[52]。彼ら自身が消費の中心になるのはこれからですが、既に子供向けYouTuberが人気職業になったり、小学生がプログラミングでゲームを作ったりと、その片鱗は見え始めています[52]。
今後この世代が成長していくにつれ、教育やビジネスの在り方も大きく変わっていくでしょう。親世代であるミレニアル世代・Z世代とはまた違った価値観を持つ可能性も高く、10~20年後には「最近の若者は…」と語る我々の想像を超えた「新新人類」となっているかもしれません。
📚 参考文献
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00535/
https://online-soudan.jeki.co.jp/information/blog/senior/generation-marketeing/
https://ja.wikipedia.org/wiki/しらけ世代
https://ja.wikipedia.org/wiki/新人類
