
2026年2月初旬 インフルエンザ流行状況と対策【特にB型の動向】
この記事では、現在の全国および地域別の流行状況(B型の増加傾向)・全国的な状況・地域差と警報レベルについて解説します。
https://docs.google.com/presentation/d/14AITlAGVumqBybjepSPph4qHlbaFc0QD/export/pdf
2026年2月8日現在、全国的にインフルエンザの患者報告数が増加しており、特にB型インフルエンザの流行が目立っています1。本記事では、最新の流行状況と地域差、効果的な予防法、ワクチンの現状(2025/26シーズンの成分やB型への効果、山形系統とビクトリア系統の話題)、インフルエンザ治療薬の種類と特徴、そして医療機関を受診すべきタイミングについて、専門用語をできるだけ避けながら分かりやすく解説します。過度な不安を抱くことなく、正しい知識と対策でインフルエンザシーズンを乗り切りましょう。
📑 目次
現在の全国および地域別の流行状況(B型の増加傾向)
全国的な状況
厚生労働省の発表によれば、1月下旬(2026年第5週)の全国インフルエンザ報告数は定点あたり30.03人と、前週の16.64人から約2倍に急増し、1週間の患者報告数は約114,291人に達しました2。この報告数は昨年12月中旬以来の10万人超えとなり、年明け以降再び大きな流行の波が来ています3。特にこの第5週には全国47都道府県すべてで前週より患者が増加し、流行が一段と拡大しました4。
地域差と警報レベル
地域別に見ると、大分県(52.48)を筆頭に、鹿児島県(49.60)、宮城県(49.02)、山梨県(46.97)、千葉県(46.08)など多数の県で定点あたり報告数が30人を超えており、厚労省が定める警報レベル(30人)に達しています2。上位22県が軒並み警報基準以上となっており、九州南部から東北地方まで広範囲でインフルエンザが猛威を振るっている状況です。例えば近畿地方の兵庫県でも36.77と高い水準にあり5、地域を問わず注意が必要です。また、東京都では今季1月上旬にいったん患者数が減少し警報が解除されたものの、1月末に再び警報基準を超える「二峰性」の流行となりました1。1シーズンに2度警報レベルに達するのは統計開始以来初めてであり、東京都ではこの後述するB型の流行が第2波を引き起こしたと考えられています1。
B型インフルエンザの台頭
現在流行中のウイルスの型を見ると、B型インフルエンザの割合が大きく増加しています。直近5週間(2026年第1週~第5週)の国内ウイルス検出状況では、A/H3亜型が56%、B型が44%と報告されており、B型の占める比率が約半分に達しました6。特に東京では、1月末時点で検出されたウイルスの約90%がB型だったとのデータもあり1、年明け以降の流行再拡大はB型インフルエンザが主導していることがうかがえます。
例年、日本のインフルエンザは「シーズン前半はA型、後半(2~3月)にB型が増える」という傾向が知られています。しかし今季(2025/26シーズン)は異例で、1月の段階からB型の報告が増加し始めています7。厚労省や自治体のデータでも、12月にA型患者がピークを迎えた後、年明け早々にB型の検出例がじわじわと増えてきたことが確認されています8。A型に比べてB型は流行のタイミングが後ろ倒しになることが多い中、今年は早い段階でB型が流行し始めたため、「1シーズンにA型とB型の両方に感染する」ケースも現実に起こっています9。実際、昨年11月にA型にかかった後、年明けにB型に再感染したという報告例も各地で見られました9。A型に感染してもB型への免疫は獲得されないため10、今季すでにインフルエンザに一度かかった方も、引き続きB型の感染に注意が必要です。
患者の年齢層
インフルエンザは全年齢で流行していますが、特に小児と高齢者で重症化リスクが高く注意が必要です。2026年第5週のインフルエンザによる入院報告708例のうち、約2/3は60歳以上の高齢者が占めています11。また乳幼児や学童でも学級閉鎖が相次ぐなど影響が拡大しています12。ご家庭や職場でも、小さなお子さんやご高齢の方がいる場合には、一層の警戒と予防対策の徹底が求められます。
補足: 新型コロナの流行期と重なり「フルロナ」(インフルエンザとコロナの同時流行)の懸念もありますが、現時点ではインフルエンザそのものの患者増加が顕著です。今年は全国的に平年より早いペースで流行が拡大・長引いている傾向にあります13。しかし、インフルエンザは毎年経験してきた季節性疾患です。適切な対策を講じれば過度に恐れる必要はありません。次章から、その具体的な予防策や対処法を確認していきましょう。
インフルエンザの予防法(手洗い・マスク・換気・生活習慣など)
インフルエンザから身を守るためには、日常的な予防対策の積み重ねが重要です。以下に基本的な予防策をまとめますので、今一度徹底しましょう。
流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは発症リスクを下げ、万一感染しても重症化を防ぐ効果があります14。特に小児や高齢者、糖尿病や呼吸器疾患など基礎疾患のある方、妊娠中の方はワクチン接種が強く推奨されています15。ワクチンについての詳細は後述しますが、「予防の第一歩」としてシーズン前に接種を受ける習慣をつけましょう。
手洗い(手指衛生)の徹底
外出後や食事前後は流水と石鹸による手洗いを念入りに行いましょう16。手についたウイルスを物理的に洗い流すことができ、接触感染や飛沫感染の対策の基本になります16。アルコール消毒液もインフルエンザウイルスに有効です16。石鹸で30秒程度かけて洗えば、手に付着したウイルスを数万分の1以下にまで減らせるとの報告もあります17。日常的にこまめな手洗いを習慣づけましょう。
マスク着用・咳エチケット
人混みや公共交通機関などでは不織布マスクの着用が推奨されます18。マスクは自分への飛沫吸入を一定程度防ぐだけでなく、自分が他者へウイルスをまき散らすことも防ぎます18。特に咳やくしゃみ等の症状がある時は必ずマスクを着用し、咳エチケット(咳やくしゃみを他人に向けて発しない、ティッシュや腕で口鼻を覆う)を徹底してください19。周囲への思いやりが、結果的に自分自身や大切な人を守ることにつながります。
室内の換気と適度な湿度維持
インフルエンザウイルスは乾燥した環境で長く生存しやすいため、居室の十分な換気と湿度の保持が有効です20。暖房使用中でも1時間に数回は窓を開ける、換気扇や24時間換気システムを活用する等で空気を入れ替えましょう21。適切な湿度(50~60%程度)を保つことで気道粘膜の防御機能が維持され、ウイルス感染予防に役立ちます21。加湿器の使用や濡れタオルの室内干しなどで乾燥しすぎない環境作りを心がけてください20。
十分な休養とバランスの良い食事
睡眠をしっかりとり、栄養バランスの良い食事を心がけることも重要です22。疲労や栄養不足は免疫力の低下につながり、感染症にかかりやすくなります。特にインフルエンザ流行期は「しっかり食べて、しっかり休む」を意識し、体調を万全に整えておきましょう22。適度な運動も平時には有効ですが、流行が激しい時期は無理せず体を休めることが肝心です。
人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行している時期には、不要不急の人混みへの外出は避けるのが賢明です18。特に高齢者や基礎疾患のある方、妊婦の方、体調の優れない方は、人が大勢集まる場所に行く機会を減らしましょう18。やむを得ず外出する場合でも、先述のマスク着用や手洗いを徹底することで感染リスクを下げられます。
これら基本的な対策の積み重ねが、インフルエンザのみならず様々な感染症から身を守ることにつながります。「自分がうつらない・うつさない」行動を心がけ、職場や家庭内でもお互いに声を掛け合って予防策を実践しましょう323。
ワクチンに関する現状(2025/26シーズンの成分とB型への効果)
2025/26シーズンのインフルエンザワクチン
今季日本で使用されているインフルエンザワクチンは、3価ワクチン(A型2種類+B型1種類)です24。具体的には、A型のH1N1株とH3N2株に加え、B型のビクトリア系統株が選定されています24。例年はA型2株+B型2系統(ビクトリア系統・山形系統)の4価ワクチンでしたが、近年B型山形系統のウイルスが世界的に報告されなくなったことを受け、2025/26シーズンよりB型1系統のみの3価に変更されました2526。実際、B型山形系統は2020年3月以降、世界中で検出例がありません27。このため世界保健機関(WHO)は2023年に「ワクチンに山形系統を含める根拠は無くなった」との見解を示し、各国で4価から3価への移行が進められています28。日本でもそれに倣い、今季は山形系統株を除外したワクチン製剤となりました。ビクトリア系統株のみのワクチンにすることで、実際に流行している株により的確に対応でき、予防効果の向上が期待されています26。
B型への効果と系統の話題
現在国内で流行しているB型ウイルスはほぼビクトリア系統であると考えられるため、今季のワクチンは流行株とマッチした予防効果を発揮すると見込まれます26。一方で、仮に山形系統が将来再び流行した場合にはワクチン効果に懸念が残りますが、その可能性は現時点で極めて低いと専門家は見ています29。過去にも一度沈静化していたB系統が後年復活した例(1990年代に山形系統が優勢だった後、2000年代にビクトリア系統が再流行)があるため油断は禁物ですが30、仮に山形系統ウイルスが出現した場合は速やかに検出・解析され、ワクチン株の組成変更など追加の対策が検討されることになっています。
ワクチンの有効性
インフルエンザワクチンは感染そのものを完全に防ぐものではありませんが、発症リスクを減らし、発症しても重症化(肺炎や入院、死亡など)を大幅に防ぐ効果が証明されています31。年代にもよりますが、研究によれば発症予防効果は小児で約60~65%、成人で40~60%、高齢者でも40~50%程度と報告され、65歳以上ではワクチン接種によりインフルエンザによる死亡リスクが約80%減少したとのデータもあります32。また、ワクチンを接種しておけばたとえ感染しても症状の持続期間が短くなるとの知見もあります31。このように「かからないため」と同時に「かかっても重くならないため」の備えとしてワクチンは有用です。
| 対象 | 発症予防効果 | 備考 |
|---|---|---|
| 小児 | 約60~65% | 2回接種が基本 |
| 成人 | 約40~60% | 1回接種 |
| 高齢者(65歳以上) | 約40~50% | 死亡リスク約80%減少 |
シーズン途中からでも接種すべき?
インフルエンザワクチンは接種後およそ2週間で効果が出始め、有効性は5~6か月持続します33。日本では例年12月~翌3月頃に流行ピークを迎えるため、本来は10~11月中の接種が望ましいとされています34。しかし今季のようにB型流行が2月以降も拡大している状況では、「まだワクチンを打っていないが今からでも間に合うか?」と迷う方もいるでしょう。結論から言えば、まだ接種していない方や、A型に一度かかったがB型が心配な方は、シーズン途中でもワクチン接種を検討する価値があります35。特に高齢者や基礎疾患のある方、受験生などは、流行が続く限り早めに接種しておくことで後半シーズンのB型流行への備えになります35。ワクチンは万能ではありませんが、「しないよりした方が確実にリスクは下がる」ものです。ワクチン未接種の方で不安がある場合は、主治医や自治体の予防接種窓口に相談してみてください。
インフルエンザの治療・薬に関する情報
治療の基本
インフルエンザにかかってしまった場合でも、適切な治療とケアで多くは速やかに回復します。治療の柱は、症状を和らげ合併症を防ぐための対症療法(解熱鎮痛剤の使用や水分補給、安静など)に加え、必要に応じて抗インフルエンザウイルス薬(抗インフルエンザ薬)を用いることです39。抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスの増殖を抑える特効薬で、早期に投与すれば発熱期間を通常1~2日短縮し、のどや鼻からのウイルス排出量を減らす効果があります40。ただし、効果は発症から48時間以内に使い始めた場合に顕著で、それ以降では十分な効果は期待できません40。このため、「インフルエンザかも?」と思ったらできるだけ早めに医療機関を受診して検査・治療を受けることが大切です。
抗インフルエンザ薬の種類と特徴
現在日本で利用可能な主な抗インフルエンザ薬には以下のようなものがあります41。
| 薬剤名(商品名) | 剤型 | 投与法・回数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オセルタミビルリン酸塩(タミフル等) | 経口(カプセル/DS) | 1日2回・5日間 | A型・B型に有効。小児〜高齢者まで広く使用41 |
| ザナミビル水和物(リレンザ) | 吸入粉末 | 1日2回・5日間 | A型・B型に有効。気管支喘息患者は注意41 |
| ラニナミビルオクタン酸エステル(イナビル) | 吸入粉末 | 1回吸入で治療完結 | 長時間作用型。5日間体内に留まる43 |
| ペラミビル水和物(ラピアクタ) | 点滴静注 | 1回点滴投与 | 経口困難・重症例に使用43 |
| バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ) | 経口 | 1回服用で治療完結 | 新規作用機序。耐性変異に注意4445 |
| アマンタジン塩酸塩(シンメトレル等) | 経口 | — | 現在ほぼ使用されない(耐性化)46 |
以上のように複数の治療薬がありますが、いずれも発症から時間が経ってしまうと効果が減弱する点は共通です40。症状が出たら早めに受診し、医師の判断で適切な薬を処方してもらうことが重要です。また、抗インフルエンザ薬はすべての患者に必須というわけではありません39。症状や持病の有無によっては「薬を使わず自然に治す」という選択肢もあります。実際、健康な成人で軽症の場合などは、薬を飲まなくても数日高熱が出た後に自然快復するケースも多く見られます。ただし以下の場合は治療薬の使用が勧められます。
ハイリスク群の方: 高齢者、乳幼児、妊娠中の方、糖尿病・心肺疾患など慢性疾患がある方は、インフルエンザが重症化しやすいため積極的に治療薬が用いられます1847。これらの方は早期受診・早期治療が肝心です。
中等症以上の症状がある方: 高熱(39℃以上)の持続や強い倦怠感・食欲不振などがある場合、薬を使うことで症状軽減・合併症予防が期待できます40。特に家庭や施設内で感染を広げたくない場合にも、ウイルス排出量を減らす意味で治療薬の使用が有効です40。
なお、抗インフルエンザ薬による治療を開始した後も、安静と水分補給は引き続き重要です。発熱中は汗や呼吸で大量の水分が失われますので、経口補水液やスープなどでこまめに水分・塩分を補給しましょう。食欲がないときは無理に固形物をとらず、消化の良いものや栄養補給飲料等でしのいでください。また解熱剤の使用については、医師から処方された場合は指示通りに用い、市販薬を使う場合もアスピリン系は避ける(小児・未成年ではライ症候群予防のため禁忌)など注意が必要です。市販の解熱鎮痛剤を自己判断で併用することは避け、疑問があれば医療者に相談してください。
医療機関を受診すべきタイミング
インフルエンザが疑われる症状が出た場合、「どのタイミングで病院に行くべきか」は悩ましい問題です。基本的には症状が重い時やリスク因子がある時は早めに受診し、逆に軽症であれば自宅で安静療養でも構いません。ただし自己判断が難しいケースもありますので、以下の目安を参考にしてください。
早めの受診が望ましいケース
高熱や強い症状が出た初期段階: 突然の高熱(目安として38℃以上)や酷い寒気・関節痛などインフルエンザらしい症状が出た場合、発症後できれば1~2日以内に医療機関を受診することを検討してください40。特に高齢者・乳幼児・妊婦・基礎疾患のある方は症状が軽めでも油断せず、早めに診察を受けることをお勧めします184740。抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内の開始が推奨されていますので、早期受診によって治療の選択肢が広がります。平日夜間や休日に発症した場合、明らかに軽症であれば慌てて救急外来に行く必要はありませんが、翌朝のできるだけ早い段階でかかりつけ医等に相談すると良いでしょう。
重症化リスクが高い方: 前述のように65歳以上の方、持病のある方、妊娠中の方、小児などはインフルエンザが悪化しやすいため、多少症状が軽くても念のため早めに受診する方が安心です1847。医師に相談することで適切な治療開始時期や注意点を確認できます。特に基礎疾患をお持ちの方は、インフルエンザを契機に持病(例えば肺疾患の悪化や糖尿病の血糖コントロール悪化など)が悪化する可能性があります59。早めの受診で必要な対策を講じましょう。
緊急に受診すべき危険な症状
次のような症状が見られた場合は、年齢に関わらず直ちに医療機関を受診してください6061。インフルエンザに伴う肺炎や脳症など重篤な合併症の兆候である可能性があります。
水分がとれない・脱水症状: 全く水や食事が摂れず尿も出ていない、意識が朦朧としてぐったりしている等62
意識障害: 呼びかけに反応しない、受け答えがおかしい、意識がもうろうとして判然としない62
高熱が持続する: 解熱剤で一時下がってもすぐぶり返す、高熱状態が4~5日以上続く63
胸の痛みや激しい咳: 胸部の強い痛み・圧迫感、咳込みがひどく痰に血が混じる61
起き上がれないほどの倦怠感: 極度のだるさで日常動作が困難、意識レベル低下を伴う場合64
以上のような症状はインフルエンザ肺炎や気管支炎の悪化、二次性細菌感染症(例えば細菌性肺炎)の可能性があります65。特にご高齢の方ではインフルエンザ後の肺炎が致命的になり得ると指摘されています61。躊躇せず速やかに医療機関を受診してください。
自宅療養で経過観察してよいケース
上記に当てはまらず、比較的元気があり食事・水分も取れている場合は、自宅で安静にして様子を見る対応でも大丈夫です。インフルエンザの典型的な発熱期間は3日程度で、5日も経てば解熱に向かうことが多いです69。発症後5日、かつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまでは学校や職場を休むことが法律で定められていますので(学校保健安全法に基づく出席停止期間)70、焦らずしっかり休養を取ってください。熱が下がりきらないうちは入浴や外出も控え、体力回復に努めましょう71。ただし、一度解熱した後に再度発熱してきた場合(二峰性発熱)や、咳がどんどん悪化してきた場合などは二次感染の可能性があります72。その際は早めに再受診し、必要なら抗生物質の投与など追加の治療を受けてください6173。