2026-01-01から1年間の記事一覧
「反射が消えていた患者さんの膝蓋腱反射が、数週間後に3+まで亢進していた」——この所見をどう解釈するかは病態によって正反対の意味を持つ。腱反射が低下する病態の回復期に反射が亢進することは実際にあるが、脊髄ショックの反射復帰とギラン・バレー症候…
「血圧は、何のために下げるのか?」——そう問われたとき、多くの方は心筋梗塞や脳卒中を思い浮かべるでしょう。確かに高血圧は日本人の脳心血管死における最大の危険因子です。しかし、脳神経内科の日常臨床で見ている血圧には、実はまったく異なる2つの顔が…
2026年9月2日、Google DeepMindよりGemini 3シリーズの最新モデル「Gemini 3.8 Flash」が電撃リリースされました。前世代であるGemini 3.7 Flashの登場からわずか3週間という異例のアップデートです。特に開発者やAI実務者の間で大きな注目を集めているのが…
烏龍茶は「脂っこい食事に合う」「脂肪を燃やす」といった健康的なイメージが強いお茶です。ポリフェノールやカテキン、カフェインなど多くの生理活性物質が含まれていますが、医学的にどこまで効果が実証されているのでしょうか。本記事では、脂肪燃焼、血…
「頭部CTは何回まで受けても大丈夫ですか?」——外来でよく聞かれる質問ですが、実は医療被ばくには「何回まで」という上限は設けられていません。1回ごとに「その検査で得られる情報が被ばくに見合うか」で判断するのが正しい考え方です。本記事では、日本で…
CT検査で「造影剤を使います」と説明された際、「アレルギーや副作用が出たらどうしよう」「ヨードやエビ・カニのアレルギーがあると受けられない?」「過去に蕁麻疹が出たけれどもう造影CTは二度と受けられないのか?」と強い不安を感じる方は少なくありま…
MRI検査で「造影剤を使います」と説明されたとき、「副作用やアレルギーは大丈夫?」「CTの造影剤で気分が悪くなったことがあるけれど受けられる?」「ガドリニウムが体に残るって本当?」と不安を感じる方は少なくありません。また臨床現場でも、過敏反応既…
50歳を過ぎて「体の片側がピリピリ・チクチク痛む」「赤いブツブツや水ぶくれが出た」と感じたら、絶対に放置してはいけません。日本人のおよそ3人に1人が経験する帯状疱疹は、発症から「72時間以内」の早期受診がその後の痛みの長期化(帯状疱疹後神経痛)…
2026年8月も脳神経内科・神経科学領域では臨床現場に直結する重要な論文が多数発表されました。AQP4抗体陽性NMOSDに対する新規抗CD20抗体の第III相試験から、BAD脳梗塞における抗血小板薬強化のRCT、実臨床で頭を悩ませる「てんかん×DOAC」併用時の抗発作薬…
「着るだけで血流が促進され、疲労が回復する」「寝ている間にリカバリー」――SNSやテレビ広告、ネット通販などで、このような高機能リカバリーウェアを目にする機会が急増しています。「一介の衣類がそんな医療効果を堂々と宣伝して薬機法違反にならないのか…
2024年のAlzheimer’s Association改訂基準では、アルツハイマー病(AD)のバイオマーカー分類が従来のAT(N)からAT₁T₂NISVへ拡張されました。最大のポイントは、タウを早期反応のT₁と凝集タウ病理のT₂へ分け、Core 1は「AD病理があるか」、Core 2は「タウ病理…
AIモデルの評価といえばChatbot Arenaのような「純粋な知能・ベンチマークスコア」が注目されがちですが、実際の実務現場では「処理速度(Tokens/s)」「費用(Cost)」「品質(Quality)」のバランスが成否を分けます。独立系ベンチマークであるArtificial …
脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】 脳卒中(脳梗塞・脳出血)急性期の降圧目標値は病型により異なりますが、第一選択となるニカルジピン持…
脳静脈血栓症(Cerebral Venous Thrombosis: CVT)は、硬膜静脈洞や皮質静脈、深部脳静脈が血栓によって閉塞する疾患です。全脳卒中の0.5〜1%程度と比較的まれですが、若年者や生殖年齢の女性に好発し、頭痛単独の軽症例から急性てんかん重積、出血性静脈梗…
対象:神経内科医、臨床遺伝に関わる医療者 情報確認日:2026年8月27日 要旨 脊髄小脳失調症3型(spinocerebellar ataxia type 3: SCA3、Machado–Joseph disease)は、ATXN3 のCAGリピート伸長による常染色体顕性(優性)遺伝性のポリグルタミン病です。中核…
高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド(TG)血症を合併した患者にスタチンを入れ、LDLは目標に入ったのにTGだけが残る——外来でごく普通に起きる場面です。ここでペマフィブラート(パルモディア)を上乗せするかどうかを決めるとき、多くの先生が同…
脳梗塞の既往がある患者さんについて、外科・歯科・内視鏡科から「抗血栓薬は止めますか、いつから止めますか」という周術期コンサルトを受けるのは、脳神経内科の日常業務です。この判断のたびに複数のガイドラインを引き直さずに済むよう、患者背景と予定…
日々生活する中で、普段よく前を通る滋賀県庁本館のおもむきある建物。昭和初期の温かみあるスクラッチタイルと八角形の屋根を持つ塔屋を目にするたび、「やっぱり歴史を感じる素敵な建物だな」と見惚れてしまいます。 そして滋賀県庁を見るたびにふと思い出…
「昔ほど院内でNST、NSTと言わなくなった気がする」「NST回診が形骸化しているが、この先どうあるべきなのか」――病棟やチーム医療の現場で、このような疑問を感じたことはないでしょうか。データを見ると、日本におけるNST加算の届出病院数は右肩上がりで増…
抗てんかん薬(抗発作薬:ASM)の等価換算について、「カルバマゼピン(CBZ)やレベチラセタム(LEV)を中心に、クロルプロマジン換算やレボドパ換算のような一元的な換算表は作れないのか?」と疑問を持つ医療従事者は少なくありません。数多くの単剤非劣性…
抗パーキンソン病薬は、同じ患者さんでもレボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などを組み合わせるため、薬物療法全体の量を一目で把握しにくいことがあります。そこで、日本で使われる製剤名から1日量を入力し、レボドパ換算量(levodopa equivale…
「ぶつけてしまった」 その瞬間は、誰でも頭が真っ白になります。初心者ならなおさらです。しかし、事故直後に大切なのは、誰が悪いかを考えることではありません。まず人命を守り、二次事故を防ぎ、警察へ知らせることです。 覚えておきたい6つの順番 止め…
脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】 脳梗塞急性期の血圧管理は、資料ごとに書いてあることが食い違って見えます。しかし実際に割れているのは推奨ではなく場面で、再灌流療法(血…
1980年代から1990年ごろ、私は宇宙の本を夢中で読んでいました。ビッグバン、一般相対性理論、暗黒物質、インフレーション。難しいところまで理解できていたわけではありません。それでも、宇宙がどのように始まり、これからどうなるのかを想像するだけで、…
脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】 脳出血急性期の血圧管理は、「脳梗塞では下げないのに、なぜ脳出血では直ちに下げるのか」「どこまで下げれば安全なのか」という疑問が臨…
マブチモーター創業者・名誉会長の馬渕隆一氏が、2026年8月7日に93歳で亡くなった。訃報に触れて、会社の業績より先に、銀色の小さな円筒形モーター――RS-540を思い出した人もいるのではないだろうか。本記事では、ラジコン少年の記憶から出発し、小型モータ…
認知症の予防でよく引用されるLancet Commissionの「修正可能な14因子で45%」という推計。では、脳梗塞にも似た形で危険因子の大きさを示すデータはあるのでしょうか。日本の前向きコホート研究では、解析対象とした修正可能因子を合わせたPAFは脳梗塞で44.5…
健診で血圧も血糖もコレステロールも指摘された。運動も足りていない。ひとつずつ気にするのはもう限界だから、まとめて何とかできないものか——そう考えるのは自然なことです。実際、世界中の研究者が同じことを考えて、食事・運動・頭を使うこと・生活習慣…
脳梗塞の急性期診療や画像診断において、MRI上の虚血病変がどの血管支配領域(ACA/MCA/PCA/穿通枝/椎骨脳底動脈系)に属するかを正確に同定することは、病型診断(アテローム血栓性・心原性・ラクナ)や神経症候の解釈に不可欠です。本記事では、1,298例の脳…
対象:研修医、内科医、救急医、脳神経診療に関わる医療従事者 結論:SCA・AICA・PICAは小脳局在を考えるための有用な地図ですが、患者個人の血管支配を確定する地図ではありません。小脳表面の位置だけでなく、小脳脚、脳幹、内耳、深部核、虫部の病変を合…