医学情報

新着順 人気順

腱反射が消えたあとに亢進したら何を疑うか|ギラン・バレー症候群と脊髄ショックで意味が正反対な理由【脳神経内科医が解説】

「反射が消えていた患者さんの膝蓋腱反射が、数週間後に3+まで亢進していた」——この所見をどう解釈するかは病態によって正反対の意味を持つ。腱反射が低下する病態の回復期に反射が亢進することは実際にあるが、脊髄ショックの反射復帰とギラン・バレー症候…

烏龍茶は本当に体に良い?―脂肪燃焼、血糖、心血管病から認知症まで科学的に検証【医師解説】

烏龍茶は「脂っこい食事に合う」「脂肪を燃やす」といった健康的なイメージが強いお茶です。ポリフェノールやカテキン、カフェインなど多くの生理活性物質が含まれていますが、医学的にどこまで効果が実証されているのでしょうか。本記事では、脂肪燃焼、血…

「頭部CTの被ばくは何回までなら大丈夫?」脳神経内科医が実際の数値で答えます|レントゲン・頭部CT・DATスキャン・PET・脳血管撮影の被ばく量一覧

「頭部CTは何回まで受けても大丈夫ですか?」——外来でよく聞かれる質問ですが、実は医療被ばくには「何回まで」という上限は設けられていません。1回ごとに「その検査で得られる情報が被ばくに見合うか」で判断するのが正しい考え方です。本記事では、日本で…

【2026年版】CT造影剤アレルギーと検査前リスクの真実|頻度・ヨード誤解・製剤変更

CT検査で「造影剤を使います」と説明された際、「アレルギーや副作用が出たらどうしよう」「ヨードやエビ・カニのアレルギーがあると受けられない?」「過去に蕁麻疹が出たけれどもう造影CTは二度と受けられないのか?」と強い不安を感じる方は少なくありま…

MRI造影剤アレルギーと副作用の真実|CTとの違い・アレルギー既往時の安全な再検査戦略

MRI検査で「造影剤を使います」と説明されたとき、「副作用やアレルギーは大丈夫?」「CTの造影剤で気分が悪くなったことがあるけれど受けられる?」「ガドリニウムが体に残るって本当?」と不安を感じる方は少なくありません。また臨床現場でも、過敏反応既…

帯状疱疹と大人のワクチン安心ガイド|ピリピリする痛みに気づいたら「その日」に受診【50歳からの予防戦略】

50歳を過ぎて「体の片側がピリピリ・チクチク痛む」「赤いブツブツや水ぶくれが出た」と感じたら、絶対に放置してはいけません。日本人のおよそ3人に1人が経験する帯状疱疹は、発症から「72時間以内」の早期受診がその後の痛みの長期化(帯状疱疹後神経痛)…

「着るだけで血流改善・疲労回復」は本当か? ―― リカバリーウェアの「一般医療機器」表示と科学的エビデンスのギャップを医師が徹底検証

「着るだけで血流が促進され、疲労が回復する」「寝ている間にリカバリー」――SNSやテレビ広告、ネット通販などで、このような高機能リカバリーウェアを目にする機会が急増しています。「一介の衣類がそんな医療効果を堂々と宣伝して薬機法違反にならないのか…

AA 2024アルツハイマー病バイオマーカー分類|AT₁T₂NISVとCore 1・Core 2を解説

2024年のAlzheimer’s Association改訂基準では、アルツハイマー病(AD)のバイオマーカー分類が従来のAT(N)からAT₁T₂NISVへ拡張されました。最大のポイントは、タウを早期反応のT₁と凝集タウ病理のT₂へ分け、Core 1は「AD病理があるか」、Core 2は「タウ病理…

スタチンでも中性脂肪が下がらない|パルモディア併用の可否と腎機能・筋障害の実務【内科医向け】

高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド(TG)血症を合併した患者にスタチンを入れ、LDLは目標に入ったのにTGだけが残る——外来でごく普通に起きる場面です。ここでペマフィブラート(パルモディア)を上乗せするかどうかを決めるとき、多くの先生が同…

NST(栄養サポートチーム)の存在価値はどこへ向かうのか?|米国の教訓と診療報酬から考える、病院栄養管理の「3層構造モデル」

「昔ほど院内でNST、NSTと言わなくなった気がする」「NST回診が形骸化しているが、この先どうあるべきなのか」――病棟やチーム医療の現場で、このような疑問を感じたことはないでしょうか。データを見ると、日本におけるNST加算の届出病院数は右肩上がりで増…

抗てんかん薬の等価換算は可能か?カルバマゼピン換算・WHO-DDD(AED Load)・有効血中濃度(TDM)の臨床整理

抗てんかん薬(抗発作薬:ASM)の等価換算について、「カルバマゼピン(CBZ)やレベチラセタム(LEV)を中心に、クロルプロマジン換算やレボドパ換算のような一元的な換算表は作れないのか?」と疑問を持つ医療従事者は少なくありません。数多くの単剤非劣性…

日本で使える抗パーキンソン病薬のLEDD換算ツールを作りました|学会表優先とハルロピテープ補正の記録

抗パーキンソン病薬は、同じ患者さんでもレボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などを組み合わせるため、薬物療法全体の量を一目で把握しにくいことがあります。そこで、日本で使われる製剤名から1日量を入力し、レボドパ換算量(levodopa equivale…

認知症と脳梗塞|予防できる危険因子はどこまで重なる? PAFで比べるLancet Commissionと日本のJPHC研究

認知症の予防でよく引用されるLancet Commissionの「修正可能な14因子で45%」という推計。では、脳梗塞にも似た形で危険因子の大きさを示すデータはあるのでしょうか。日本の前向きコホート研究では、解析対象とした修正可能因子を合わせたPAFは脳梗塞で44.5…

「運動も食事も脳トレも」は認知症に効くのか|日本のJ-MINT研究が示した正直な結果

健診で血圧も血糖もコレステロールも指摘された。運動も足りていない。ひとつずつ気にするのはもう限界だから、まとめて何とかできないものか——そう考えるのは自然なことです。実際、世界中の研究者が同じことを考えて、食事・運動・頭を使うこと・生活習慣…

小脳梗塞を局在診断する:解剖、血管支配、症候とベッドサイド診察

対象:研修医、内科医、救急医、脳神経診療に関わる医療従事者 結論:SCA・AICA・PICAは小脳局在を考えるための有用な地図ですが、患者個人の血管支配を確定する地図ではありません。小脳表面の位置だけでなく、小脳脚、脳幹、内耳、深部核、虫部の病変を合…

危険因子はなぜ重なるのか|生活習慣病の「同時多発」と認知症リスク——1+1が2以上になる理由と、連鎖を断つ最初の一歩

健康診断で「血圧が高い」「血糖値が上がってきた」「コレステロールも要再検査」「少し体重を落としましょう」と、複数の項目を一度に指摘されて途方に暮れていませんか。「1つ改善するだけでも大変なのに、いくつも重なったら認知症のリスクは何倍にも跳…

睡眠時無呼吸と認知症|「CPAPでボケを防げる」は本当か——リスク上昇の理由と、予防効果の「現在地」

「夜中に息が止まっていますよ」——ご家族からそう指摘されたことのある方、あるいは健康診断や専門外来で睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断された方に向けた記事です。睡眠時無呼吸があると、その後に認知機能が落ちたり認知症を発症したりする人が多い——これ…

心房細動と認知症|脳梗塞を起こさなくてもリスクは上がるのか——「薬で下げられる」はどこまで確かめられているか

「脈が乱れていますね」——健診や外来でそう言われたことのある方、あるいはご家族がそう言われた方に向けた記事です。心房細動(心臓の上の部屋が細かく震える不整脈)のある人では、その後に認知症を発症する人が多い——これは複数の大規模な観察研究が同じ…

台風で増える病気はあるのか? 脳卒中・心筋梗塞から感染症、持病の悪化まで

はじめに 台風の健康被害は「低気圧で頭痛がする」だけではありません。強風・洪水による外傷や感染症、脳卒中・急性冠症候群、避難生活中の血栓症、停電による一酸化炭素中毒、服薬や透析の中断、被災後のこころの不調まで、複数の経路で起こります。台風前…

視力低下と認知症|白内障手術で認知症は防げるのか——「効きそうだが、まだ証明されていない」を正確に

「見えにくいのは年のせいでしょう」——外来でよく聞く言葉です。ところが2024年、認知症の国際委員会は視力低下(未矯正の視力低下)を、認知症の危険因子リストに新しく加えました。しかもその理由のひとつが、白内障の手術という、すでにある確立した方法…

「アルツハイマー型」と「血管性」は分けられない|剖検でわかった認知症の脳の実際と、血管を守る意味

「うちの親はアルツハイマー型と言われました。だから血圧や動脈硬化は関係ありませんよね」——診察室でくり返し聞く言葉です。認知症を「アルツハイマー型」か「血管性」かの2択で捉えていれば、そう考えるのはむしろ自然なことです。ところが、亡くなったあ…

「少量なら脳に良い」は本当か|飲酒と認知症、観察研究と脳画像で答えが変わる理由

「お酒は少しなら、むしろ脳にいい」——診察室でも健康診断の場でも、くり返し聞かれる話です。実際、飲酒量と認知症の発症率を追った研究の多くは、まったく飲まない人よりも少しだけ飲む人のほうが発症率が低い、いわゆる「Jカーブ」を何度も描いてきました…

肥満と認知症の本当の関係|40代の肥満と70代のやせは、同じ数字でも意味が違う

「太っていると認知症になりやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。一方で「高齢者はむしろ太っているほうが認知症が少ない」という研究もあり、どちらが本当なのか分かりにくくなっています。この記事では、この食い違いがどちらかの研究が間…

喫煙と認知症|「いまさらやめても遅い」は違う——やめた人ではリスクの上昇が見えなくなる・ただし減煙では足りない

「もう何十年も吸ってきたから、いまさらやめても同じでしょう」——外来でよく聞く言葉です。喫煙が認知症の危険因子であることは、ここ数年でずいぶん知られるようになりました。けれど「では、いまからやめて意味があるのか」「何年でどうなるのか」「本数…

糖尿病と認知症|「血糖を下げれば防げる」は、まだ証明されていない——2026年の決着と、それでも打てる手

健康診断で「血糖値が高い」と言われたとき、頭をよぎるのは合併症のことかもしれません。目、腎臓、神経、そして足。けれど近年もうひとつ、はっきり名前が挙がるようになった臓器があります。脳です。糖尿病のある人は、ない人にくらべて認知症になりやす…

難聴と認知症|「補聴器で防げる」の根拠は撤回されている——それでも補聴器を勧める理由

「最近、聞き返しが増えた」。それを年のせいにして、そのままにしている人はとても多いはずです。難聴は、認知症の危険因子のなかでもっとも大きいと国際委員会が位置づけている因子でもあります。ではその聞こえを補えば、認知症は防げるのでしょうか。こ…

研修医がAIの鑑別を持ってきたとき、指導医は何を聞くか ― DEFT-AIアプローチの5ステップ

外来で研修医が「ChatGPTに聞いたら、この鑑別が出ました」と言ってきたとき、指導医は何と返せばよいのでしょうか。禁止するのは簡単ですが、原著が勧めているのは逆です。研修医がAIの鑑別を持ってきたその瞬間こそ、臨床推論とAIリテラシーを同時に鍛えら…

コレステロールと認知症|効くのは中年期のLDL・高齢で下がるのは原因ではなく結果かもしれない・「スタチンで認知症になる」は一次資料でどうなっているか

LDLコレステロールは、2024年に認知症の危険因子として新しく加わりました。ただし一次資料に当たると、話はもう少し込み入っています。効いているのは中年期のLDLで、晩年期に測った総コレステロールの高値は認知症と関連していません。高齢になって値が下…

高血圧と認知症|厳格に下げて減ったのは「認知症」ではなく「MCI」だった・効くのは中年期の血圧・増えるのは血管性認知症

高血圧が認知症の危険因子であることは、よく知られています。ただ「血圧を下げれば認知症を防げる」と言い切れるかというと、それはまだ別の話です。厳格に下げて軽度認知障害(MCI)は減ったのに認知症そのものは減らせなかった大規模試験、認知症を主要評…

心不全の自己管理指導|体重・塩分・水分で「根拠の重み」が違う|2025年改訂GLで推奨が付いたのは水分だけ【内科医・かかりつけ医向け】

心不全の生活指導で「塩分は1日6g」「水分は1.5Lまで」「体重が2kg増えたら受診」と伝えていませんか。2025年に7年ぶりの全面改訂を受けた心不全診療ガイドラインを読むと、この3つは根拠の重みがまったく違います。数値付きの推奨が新しく付いたのは水分だ…