医師向け
「反射が消えていた患者さんの膝蓋腱反射が、数週間後に3+まで亢進していた」——この所見をどう解釈するかは病態によって正反対の意味を持つ。腱反射が低下する病態の回復期に反射が亢進することは実際にあるが、脊髄ショックの反射復帰とギラン・バレー症候…
「頭部CTは何回まで受けても大丈夫ですか?」——外来でよく聞かれる質問ですが、実は医療被ばくには「何回まで」という上限は設けられていません。1回ごとに「その検査で得られる情報が被ばくに見合うか」で判断するのが正しい考え方です。本記事では、日本で…
CT検査で「造影剤を使います」と説明された際、「アレルギーや副作用が出たらどうしよう」「ヨードやエビ・カニのアレルギーがあると受けられない?」「過去に蕁麻疹が出たけれどもう造影CTは二度と受けられないのか?」と強い不安を感じる方は少なくありま…
MRI検査で「造影剤を使います」と説明されたとき、「副作用やアレルギーは大丈夫?」「CTの造影剤で気分が悪くなったことがあるけれど受けられる?」「ガドリニウムが体に残るって本当?」と不安を感じる方は少なくありません。また臨床現場でも、過敏反応既…
50歳を過ぎて「体の片側がピリピリ・チクチク痛む」「赤いブツブツや水ぶくれが出た」と感じたら、絶対に放置してはいけません。日本人のおよそ3人に1人が経験する帯状疱疹は、発症から「72時間以内」の早期受診がその後の痛みの長期化(帯状疱疹後神経痛)…
脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】 脳卒中(脳梗塞・脳出血)急性期の降圧目標値は病型により異なりますが、第一選択となるニカルジピン持…
高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド(TG)血症を合併した患者にスタチンを入れ、LDLは目標に入ったのにTGだけが残る——外来でごく普通に起きる場面です。ここでペマフィブラート(パルモディア)を上乗せするかどうかを決めるとき、多くの先生が同…
「昔ほど院内でNST、NSTと言わなくなった気がする」「NST回診が形骸化しているが、この先どうあるべきなのか」――病棟やチーム医療の現場で、このような疑問を感じたことはないでしょうか。データを見ると、日本におけるNST加算の届出病院数は右肩上がりで増…
抗てんかん薬(抗発作薬:ASM)の等価換算について、「カルバマゼピン(CBZ)やレベチラセタム(LEV)を中心に、クロルプロマジン換算やレボドパ換算のような一元的な換算表は作れないのか?」と疑問を持つ医療従事者は少なくありません。数多くの単剤非劣性…
脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】 脳梗塞急性期の血圧管理は、資料ごとに書いてあることが食い違って見えます。しかし実際に割れているのは推奨ではなく場面で、再灌流療法(血…
脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】 脳出血急性期の血圧管理は、「脳梗塞では下げないのに、なぜ脳出血では直ちに下げるのか」「どこまで下げれば安全なのか」という疑問が臨…
毎年恒例の内科セルフトレーニング問題。今年は「全部AIに任せてしまおう」と思い立ち、Claude CodeとCodexに丸投げしようとしたところ、どちらにもきっぱり断られました。返ってきたのは「学会が自己学習を求めており、解答・解説の提供はできません」とい…
心不全の生活指導で「塩分は1日6g」「水分は1.5Lまで」「体重が2kg増えたら受診」と伝えていませんか。2025年に7年ぶりの全面改訂を受けた心不全診療ガイドラインを読むと、この3つは根拠の重みがまったく違います。数値付きの推奨が新しく付いたのは水分だ…
むせる患者に反射的にとろみを足していませんか。嚥下造影でその場の誤嚥をいちばんよく止めたのは濃いとろみでしたが、3か月後の肺炎は、件数としては濃いとろみのほうが多く数えられていました。日本のガイドラインが肺炎の予防として推奨を出しているのは…
プレゼンテーションをする機会は多いのに、自分の声を録音して聞くと、思っていたより滑舌が悪い。語尾が消え、「えー」「あの」が多く、抑揚をつけたつもりでも単調に聞こえる――。この記事は、そんな違和感を「才能がない」で終わらせず、何を測り、何を、…
「お酒とタバコは控えて、無理のない運動を」——心房細動の患者さんに、こう伝えて終わっていないでしょうか。この助言はガイドラインどおりですが、患者さんがいちばん困る場面には答えていません。それは「薬を飲み忘れた翌朝」です。心房細動患者6万4千人…
「転ばないように、足腰を鍛えましょう」——外来でこう言って終わっていないでしょうか。この助言は間違いではありませんが、転倒を減らす条件を満たしていません。108の試験をまとめたコクラン・レビューで転倒率を確実に下げていたのはバランス・機能的運動…
「CPAP、ちゃんと使えていますか」「はい、4時間は超えています」——この2往復で外来が終わっていないでしょうか。CPAP療法でつまずくのは装置そのものではなく、①「4時間」を合格ラインとして扱ってしまう②眠気が取れない原因を圧の設定に求めてしまう③どう…
術中の出血・低血圧による分水嶺梗塞に抗血栓療法は必要か|止血後のアスピリンをどう判断するか【医師向け】 手術中の大量出血や持続的な低血圧のあと、両側の分水嶺領域を中心とした脳梗塞を認めることがあります。主幹動脈の血栓閉塞ではなく血行力学的な…
複数の抗てんかん薬を入れても断続的な発作が止まらない高齢者を前に、ミダゾラム・プロポフォール・チオペンタールを持続静注し、気管挿管して鎮静まで踏み切るか——この判断に確信を持てる医師は多くありません。発作が止まっても長期臥床による廃用で社会…
「水分をこまめにとってくださいね」——夏の外来で、その一言で終わっていませんか。熱中症・脱水の生活指導でつまずくのは、暑さの話そのものではなく、①経口補水液を「予防のために常備して毎日飲むもの」として勧めてしまう②「のどが渇く前に飲みましょう…
電子カルテの端末はインターネットにつながっていません。そのため、これまで公開してきた鑑別診断ツール・症状チェッカー・患者配布用ハンドアウトは、いちばん使いたい診察室のパソコンで開けない、という状態が続いていました。そこで、収録ページを外部…
「お酒はやめられますか」——外来でその一言から入っていませんか。節酒・減酒の外来サポートでつまずくのは、①最初に断酒を迫ってしまう②男性40g・女性20gという数字を「ここまで飲んでよい」量だと誤解させたまま説明する③「今日から一滴もやめます」と言っ…
「両足のむくみですね。弾性ストッキングを試しましょうか」——その前に、外来で確かめておきたいことがあります。両下肢浮腫(両足のむくみ)の外来でつまずくのは、①両側だからと静脈のせいに決めつける ②薬剤性を見ずに利尿薬を足す ③足の脈も心臓も確認せ…
「肩こりからくる頭痛ですね」——そう伝える前に、外来で確かめておきたいことがあります。緊張型頭痛は一次性頭痛のなかで最も有病率が高い一方、片頭痛の取りこぼし・急性期薬の使いすぎ・「肩こりが原因」という言い切りは、いずれもガイドラインの記載と…
禁煙外来は「意志の強さを試す場所」ではなく、保険で12週間・計5回の枠組みを組み立てる治療です。ところが外来でつまずくのは、たいてい薬の選択ではありません。「やめる気がありますか」と聞いて患者さんを選別してしまうこと、「加熱式たばこに替えたの…
本態性振戦は、外来でもっとも多く出会う不随意運動でありながら、診断がついた後の指導がほとんど定型化されていない領域です。鑑別を終えて「本態性振戦です」と伝えたあと、患者さんから返ってくるのは「年のせいですか」「お酒を飲むと止まるんです」「…
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診療は、進行性の筋力低下を見抜いて診断名をつけるだけでは終わりません。いまは家族歴のない症例でも遺伝について説明することが治療選択につながり、日本ではリルゾール、エダラボン、超高用量メチルコバラミン、SOD1-ALSに対…
インフルエンザ・新型コロナと診断した後、外来では「いつまで休めばいいですか」「家族にうつさない方法は」「薬は飲まないとだめですか」を必ず聞かれます。この記事では、学校保健安全法施行規則や厚生労働省の急性呼吸器感染症(ARI)Q&Aなど一次資料で…
健診で「脂肪肝ですね」と言われて来院した患者さんに、外来で何を話しているでしょうか。「太っているからです。痩せましょう」——ここで終わってしまうと、患者さんは何キロ減らせばよいのかも、いつまた検査を受けるのかも分からないまま帰ります。そして…