脳神経内科

新着順 人気順

腱反射が消えたあとに亢進したら何を疑うか|ギラン・バレー症候群と脊髄ショックで意味が正反対な理由【脳神経内科医が解説】

「反射が消えていた患者さんの膝蓋腱反射が、数週間後に3+まで亢進していた」——この所見をどう解釈するかは病態によって正反対の意味を持つ。腱反射が低下する病態の回復期に反射が亢進することは実際にあるが、脊髄ショックの反射復帰とギラン・バレー症候…

「頭部CTの被ばくは何回までなら大丈夫?」脳神経内科医が実際の数値で答えます|レントゲン・頭部CT・DATスキャン・PET・脳血管撮影の被ばく量一覧

「頭部CTは何回まで受けても大丈夫ですか?」——外来でよく聞かれる質問ですが、実は医療被ばくには「何回まで」という上限は設けられていません。1回ごとに「その検査で得られる情報が被ばくに見合うか」で判断するのが正しい考え方です。本記事では、日本で…

【2026年版】CT造影剤アレルギーと検査前リスクの真実|頻度・ヨード誤解・製剤変更

CT検査で「造影剤を使います」と説明された際、「アレルギーや副作用が出たらどうしよう」「ヨードやエビ・カニのアレルギーがあると受けられない?」「過去に蕁麻疹が出たけれどもう造影CTは二度と受けられないのか?」と強い不安を感じる方は少なくありま…

MRI造影剤アレルギーと副作用の真実|CTとの違い・アレルギー既往時の安全な再検査戦略

MRI検査で「造影剤を使います」と説明されたとき、「副作用やアレルギーは大丈夫?」「CTの造影剤で気分が悪くなったことがあるけれど受けられる?」「ガドリニウムが体に残るって本当?」と不安を感じる方は少なくありません。また臨床現場でも、過敏反応既…

【2026年8月】脳神経内科の注目論文レビュー|NMOSD新薬第3相・BAD脳梗塞RCT・てんかんDOAC併用・原因不明脊髄症の新自己抗体まで専門医が徹底解説

2026年8月も脳神経内科・神経科学領域では臨床現場に直結する重要な論文が多数発表されました。AQP4抗体陽性NMOSDに対する新規抗CD20抗体の第III相試験から、BAD脳梗塞における抗血小板薬強化のRCT、実臨床で頭を悩ませる「てんかん×DOAC」併用時の抗発作薬…

AA 2024アルツハイマー病バイオマーカー分類|AT₁T₂NISVとCore 1・Core 2を解説

2024年のAlzheimer’s Association改訂基準では、アルツハイマー病(AD)のバイオマーカー分類が従来のAT(N)からAT₁T₂NISVへ拡張されました。最大のポイントは、タウを早期反応のT₁と凝集タウ病理のT₂へ分け、Core 1は「AD病理があるか」、Core 2は「タウ病理…

脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】

脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】 脳卒中(脳梗塞・脳出血)急性期の降圧目標値は病型により異なりますが、第一選択となるニカルジピン持…

周術期抗血栓薬のコンサルト返書ツールを作りました|ガイドライン8文書を原文から読んで分かった7つのこと

脳梗塞の既往がある患者さんについて、外科・歯科・内視鏡科から「抗血栓薬は止めますか、いつから止めますか」という周術期コンサルトを受けるのは、脳神経内科の日常業務です。この判断のたびに複数のガイドラインを引き直さずに済むよう、患者背景と予定…

日本で使える抗パーキンソン病薬のLEDD換算ツールを作りました|学会表優先とハルロピテープ補正の記録

抗パーキンソン病薬は、同じ患者さんでもレボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などを組み合わせるため、薬物療法全体の量を一目で把握しにくいことがあります。そこで、日本で使われる製剤名から1日量を入力し、レボドパ換算量(levodopa equivale…

脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】

脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】 脳梗塞急性期の血圧管理は、資料ごとに書いてあることが食い違って見えます。しかし実際に割れているのは推奨ではなく場面で、再灌流療法(血…

脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】

脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】 脳出血急性期の血圧管理は、「脳梗塞では下げないのに、なぜ脳出血では直ちに下げるのか」「どこまで下げれば安全なのか」という疑問が臨…

認知症と脳梗塞|予防できる危険因子はどこまで重なる? PAFで比べるLancet Commissionと日本のJPHC研究

認知症の予防でよく引用されるLancet Commissionの「修正可能な14因子で45%」という推計。では、脳梗塞にも似た形で危険因子の大きさを示すデータはあるのでしょうか。日本の前向きコホート研究では、解析対象とした修正可能因子を合わせたPAFは脳梗塞で44.5…

「運動も食事も脳トレも」は認知症に効くのか|日本のJ-MINT研究が示した正直な結果

健診で血圧も血糖もコレステロールも指摘された。運動も足りていない。ひとつずつ気にするのはもう限界だから、まとめて何とかできないものか——そう考えるのは自然なことです。実際、世界中の研究者が同じことを考えて、食事・運動・頭を使うこと・生活習慣…

【MNI152脳血管支配領域3Dアトラス】脳梗塞診療・神経局在診断を革新するWebツールの制作過程と臨床活用法

脳梗塞の急性期診療や画像診断において、MRI上の虚血病変がどの血管支配領域(ACA/MCA/PCA/穿通枝/椎骨脳底動脈系)に属するかを正確に同定することは、病型診断(アテローム血栓性・心原性・ラクナ)や神経症候の解釈に不可欠です。本記事では、1,298例の脳…

小脳梗塞を局在診断する:解剖、血管支配、症候とベッドサイド診察

対象:研修医、内科医、救急医、脳神経診療に関わる医療従事者 結論:SCA・AICA・PICAは小脳局在を考えるための有用な地図ですが、患者個人の血管支配を確定する地図ではありません。小脳表面の位置だけでなく、小脳脚、脳幹、内耳、深部核、虫部の病変を合…

危険因子はなぜ重なるのか|生活習慣病の「同時多発」と認知症リスク——1+1が2以上になる理由と、連鎖を断つ最初の一歩

健康診断で「血圧が高い」「血糖値が上がってきた」「コレステロールも要再検査」「少し体重を落としましょう」と、複数の項目を一度に指摘されて途方に暮れていませんか。「1つ改善するだけでも大変なのに、いくつも重なったら認知症のリスクは何倍にも跳…

睡眠時無呼吸と認知症|「CPAPでボケを防げる」は本当か——リスク上昇の理由と、予防効果の「現在地」

「夜中に息が止まっていますよ」——ご家族からそう指摘されたことのある方、あるいは健康診断や専門外来で睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断された方に向けた記事です。睡眠時無呼吸があると、その後に認知機能が落ちたり認知症を発症したりする人が多い——これ…

心房細動と認知症|脳梗塞を起こさなくてもリスクは上がるのか——「薬で下げられる」はどこまで確かめられているか

「脈が乱れていますね」——健診や外来でそう言われたことのある方、あるいはご家族がそう言われた方に向けた記事です。心房細動(心臓の上の部屋が細かく震える不整脈)のある人では、その後に認知症を発症する人が多い——これは複数の大規模な観察研究が同じ…

台風で増える病気はあるのか? 脳卒中・心筋梗塞から感染症、持病の悪化まで

はじめに 台風の健康被害は「低気圧で頭痛がする」だけではありません。強風・洪水による外傷や感染症、脳卒中・急性冠症候群、避難生活中の血栓症、停電による一酸化炭素中毒、服薬や透析の中断、被災後のこころの不調まで、複数の経路で起こります。台風前…

視力低下と認知症|白内障手術で認知症は防げるのか——「効きそうだが、まだ証明されていない」を正確に

「見えにくいのは年のせいでしょう」——外来でよく聞く言葉です。ところが2024年、認知症の国際委員会は視力低下(未矯正の視力低下)を、認知症の危険因子リストに新しく加えました。しかもその理由のひとつが、白内障の手術という、すでにある確立した方法…

「アルツハイマー型」と「血管性」は分けられない|剖検でわかった認知症の脳の実際と、血管を守る意味

「うちの親はアルツハイマー型と言われました。だから血圧や動脈硬化は関係ありませんよね」——診察室でくり返し聞く言葉です。認知症を「アルツハイマー型」か「血管性」かの2択で捉えていれば、そう考えるのはむしろ自然なことです。ところが、亡くなったあ…

「少量なら脳に良い」は本当か|飲酒と認知症、観察研究と脳画像で答えが変わる理由

「お酒は少しなら、むしろ脳にいい」——診察室でも健康診断の場でも、くり返し聞かれる話です。実際、飲酒量と認知症の発症率を追った研究の多くは、まったく飲まない人よりも少しだけ飲む人のほうが発症率が低い、いわゆる「Jカーブ」を何度も描いてきました…

肥満と認知症の本当の関係|40代の肥満と70代のやせは、同じ数字でも意味が違う

「太っていると認知症になりやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。一方で「高齢者はむしろ太っているほうが認知症が少ない」という研究もあり、どちらが本当なのか分かりにくくなっています。この記事では、この食い違いがどちらかの研究が間…

喫煙と認知症|「いまさらやめても遅い」は違う——やめた人ではリスクの上昇が見えなくなる・ただし減煙では足りない

「もう何十年も吸ってきたから、いまさらやめても同じでしょう」——外来でよく聞く言葉です。喫煙が認知症の危険因子であることは、ここ数年でずいぶん知られるようになりました。けれど「では、いまからやめて意味があるのか」「何年でどうなるのか」「本数…

糖尿病と認知症|「血糖を下げれば防げる」は、まだ証明されていない——2026年の決着と、それでも打てる手

健康診断で「血糖値が高い」と言われたとき、頭をよぎるのは合併症のことかもしれません。目、腎臓、神経、そして足。けれど近年もうひとつ、はっきり名前が挙がるようになった臓器があります。脳です。糖尿病のある人は、ない人にくらべて認知症になりやす…

難聴と認知症|「補聴器で防げる」の根拠は撤回されている——それでも補聴器を勧める理由

「最近、聞き返しが増えた」。それを年のせいにして、そのままにしている人はとても多いはずです。難聴は、認知症の危険因子のなかでもっとも大きいと国際委員会が位置づけている因子でもあります。ではその聞こえを補えば、認知症は防げるのでしょうか。こ…

コレステロールと認知症|効くのは中年期のLDL・高齢で下がるのは原因ではなく結果かもしれない・「スタチンで認知症になる」は一次資料でどうなっているか

LDLコレステロールは、2024年に認知症の危険因子として新しく加わりました。ただし一次資料に当たると、話はもう少し込み入っています。効いているのは中年期のLDLで、晩年期に測った総コレステロールの高値は認知症と関連していません。高齢になって値が下…

高血圧と認知症|厳格に下げて減ったのは「認知症」ではなく「MCI」だった・効くのは中年期の血圧・増えるのは血管性認知症

高血圧が認知症の危険因子であることは、よく知られています。ただ「血圧を下げれば認知症を防げる」と言い切れるかというと、それはまだ別の話です。厳格に下げて軽度認知障害(MCI)は減ったのに認知症そのものは減らせなかった大規模試験、認知症を主要評…

誤嚥予防の外来指導テンプレート|とろみの前に口腔ケア・顎引きに肺炎を減らす証拠はない・「外せるか」を評価する【内科医・かかりつけ医向け】

むせる患者に反射的にとろみを足していませんか。嚥下造影でその場の誤嚥をいちばんよく止めたのは濃いとろみでしたが、3か月後の肺炎は、件数としては濃いとろみのほうが多く数えられていました。日本のガイドラインが肺炎の予防として推奨を出しているのは…

術中の出血・低血圧による分水嶺梗塞に抗血栓療法は必要か|止血後のアスピリンをどう判断するか【医師向け】

術中の出血・低血圧による分水嶺梗塞に抗血栓療法は必要か|止血後のアスピリンをどう判断するか【医師向け】 手術中の大量出血や持続的な低血圧のあと、両側の分水嶺領域を中心とした脳梗塞を認めることがあります。主幹動脈の血栓閉塞ではなく血行力学的な…