2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「むせやすくなった」は老化のせい? ― 嚥下障害の早期サインと受診の目安

食事中にむせることが増えた、薬が飲みにくくなった、食べ物がのどに引っかかる ―― こうした症状を「年のせい」と思っていませんか? 実は「むせやすくなった」の背後には、脳卒中・パーキンソン病・重症筋無力症・ALSなど、治療が必要な脳や神経の病気が隠…

片頭痛とめまいが同時に来る人へ:前庭性片頭痛の診断基準・セルフチェック・治療を医師が解説

前庭性片頭痛のすべて:診断基準・セルフチェック・治療を医師が解説 片頭痛とめまいが同時に来る人へ:前庭性片頭痛の診断基準・セルフチェック・治療を医師が解説 「片頭痛持ちで、ぐるぐる回るめまいや、ふわふわする浮遊感を繰り返す」「頭痛とめまいが…

「加害者を許す」と決めた瞬間、術後の激痛が消えた ― 医師が落石事故で体感した脳科学

脳神経内科医が答える 特別編 「加害者を許す」と決めた瞬間、術後の激痛が消えた ― 医師が落石事故で体感した脳科学 医学部6年生の夏、私は奥穂高岳から西穂高岳へ縦走している途中、ロバの耳とジャンダルムの間で、上の登山者が落とした石を頭部に受けまし…

【2026年最新】アナフィラキシーショックへの対応 ― 一般・医療者向け2部構成(neffy・refractory対応まで)

【2026年最新】アナフィラキシーショックへの対応 ― 一般の方も医療者も知っておきたい初期対応と最新治療(neffy®・refractory対応まで) アナフィラキシーショックは救命できる病気ですが、アドレナリン投与の遅れが死亡に直結します。2024〜2026年にかけ…

物が二重に見えたら要注意 ― 複視の原因と受診すべき科

文字がダブって見える、運転中に信号が2つに見えてヒヤッとした ―― こうした「物が二重に見える」症状を複視(ふくし)と言います。 「疲れ目だろう」と放置しがちですが、実は脳動脈瘤・脳卒中・重症筋無力症など、命に関わる病気のサインであることがあり…

「自律神経失調症」と言われたら ― 本当の原因と正しい受診先

めまい、動悸、だるさ。病院で検査を受けても異常がなく、「自律神経失調症ですね」と言われた経験はありませんか? 実はこの「自律神経失調症」は正式な病名ではありません。検査で異常が見つからないときに使われる「仮の診断名」です。この名前で安心して…

寝ている時に足がつる ― 脳神経内科医が教える危険なサインと予防法

夜中に突然ふくらはぎがつって、痛みで目が覚める ―― こんな経験はありませんか? 「足がつる」(こむら返り)は非常に多い症状で、50歳以上の約半数が経験しているとされています。1) ほとんどの場合は脱水や筋肉疲労が原因で心配いりませんが、頻繁に起こ…

顔がピクピク動く ― 片側顔面けいれんと放置していいタイプの違い

まぶたが勝手にピクピクする、顔の片側がひきつる ―― こうした症状はとても多く、外来でもよく相談を受けます。 顔のピクつきの大半は「眼瞼ミオキミア」と呼ばれる心配不要なタイプです。しかし中には治療が必要な「片側顔面けいれん」や「眼瞼けいれん」が…

突然手に力が入らない ― 脳? 神経? 筋肉? 原因の見分け方

箸やペンを持つ手に力が入らない、ペットボトルのキャップが開けられない ―― そんな症状に気づいたとき、原因がどこにあるのか見当がつかない方は多いでしょう。 「力が入らない」という症状の原因は、大きく「脳」「神経」「筋肉」の3か所に分けて考えるこ…

VZVによるウイルス性脊髄炎とは|症状・診断・治療・予防をわかりやすく解説

VZVによるウイルス性脊髄炎とは|症状・診断・治療・予防をわかりやすく解説 VZV(水痘・帯状疱疹ウイルス)による脊髄炎は、帯状疱疹のまれな神経合併症として知られ、足の麻痺・しびれ・排尿障害を残しうる重い病態です。皮疹が出ない無疹性帯状疱疹の形で発…

脳梗塞急性期のヘパリン、結局どう使う? 1万単位 vs APTT管理・ブリッジング不要論・HIT対応【ガイドライン2025対応】

脳神経内科の日常診療において、脳梗塞急性期のヘパリンは「1日1万単位の固定か、APTTで細かく調整すべきか」「心原性脳塞栓症に対するヘパリンブリッジングはまだ必要か」「低用量でもHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)は起きるのか」と、若手医師や専攻医…

ブログ開始から1年余りで1000記事を突破。AIとともに続けてきた発信の現在地

2025年3月にはてなブログでの発信を始めてから、1年余りが経ちました。あらためて記事数を数えてみると、ついに1000記事を突破していました。きっかけはChatGPTのディープリサーチへの衝撃。そこから現在は、Claude Codeで記事・YouTubeスライド・診断ツール…

ヤンキー・ツッパリ・不良・やんちゃ・チンピラ・暴走族・半グレの違いとは

「ヤンキー」「ツッパリ」「不良」「やんちゃ」「チンピラ」「暴走族」「半グレ」は、どれも“悪そうな人”を指す言葉のように見えますが、実際の意味やニュアンスはかなり違います。古くから存在する日本語もあれば、戦後の若者文化や近年の犯罪報道の中で広…

「ろれつが回りにくい」は脳のSOS? ― 緊急性の見分け方

話していて舌がもつれる感じがする、電話で「酔ってるの?」と聞かれた ―― そんな経験はありませんか。「疲れているだけかな」と思いがちですが、ろれつの異常は脳からの緊急サインであることがあります。 大切なのは「突然起きたのか、徐々に悪くなったのか…

2026年上半期 内科Practice-Changing論文14選 — Less is More / 上流介入 / 予防医療進化の3潮流

2026年上半期 内科Practice-Changing論文14選 — 「Less is More」「上流介入」「予防医療進化」3つの潮流 2026年1月から4月にかけて、NEJM・Lancet・JAMAといった一流医学誌から、日常臨床を直接変えうる重要論文が相次いで報告されました。本稿では循環器・…

「手が震える…これってパーキンソン病?」― 脳神経内科医が教える振戦の見分け方と受診の目安

コーヒーカップを持ったとき、書類にサインをするとき、ふと自分の手が震えていることに気づく ―― そんな経験はありませんか。「もしかしてパーキンソン病?」と不安になる方はとても多く、外来でも「手の震え」は相談の多い症状の一つです。 しかし、手が震…

2026年てんかん論文アップデート|遺伝子治療・新規ASM・SUDEPバイオマーカーを網羅する重要10本

2026年前半のてんかん領域は、歴史的な転換点になる可能性があります。Dravet症候群に対する初の疾患修飾療法(DMT)候補 zorevunersenがNEJMに掲載され[1]、Kv7チャネル開口薬 azetukalnerの第3相(X-TOLE2)はプラセボ調整後42.7%というezogabine以来最も…

認知症の親を病院に連れて行くには ― 受診を嫌がる場合の対処法【からだの不思議 #17】

脳神経内科医が答える からだの不思議 #17 認知症の親を病院に連れて行くには ― 受診を嫌がる場合の対処法 「最近、父の物忘れがひどくなってきた。一度もの忘れ外来に連れて行きたいのに、『自分はおかしくない』と頑なに拒否される」――外来に相談に来られ…

けいれんを目撃したときの正しい対応 ― やってはいけないことと救急車を呼ぶ判断【からだの不思議 #16】

脳神経内科医が答える からだの不思議 #16 けいれんを目撃したときの正しい対応 ― やってはいけないことと、救急車を呼ぶ判断 ▶ YouTube動画で詳しく解説しています 街中や職場で、突然目の前の人がバタッと倒れ、体が硬直してガクガクと震え始める――こんな…

高血圧の新基準(2025年)と減塩対策|130/80mmHg時代の診療と日本人の3人に1人

日本には高血圧の方が推定4,300万人いるとされ、実に3人に1人に相当します。しかもその約7割にあたる3,100万人が、十分に血圧をコントロールできていません。高血圧は「沈黙の殺し屋(サイレント・キラー)」と呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま血管を傷つ…

ミネブロ(エサキセレノン)徹底解説|MRA4剤比較と臨床での使い分け

ミネブロ(エサキセレノン)徹底解説|MRA4剤比較と臨床での使い分け ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は高血圧・心不全・CKD治療において重要性が増しています。なかでもミネブロ(エサキセレノン)は2019年に承認された非ステロイド型MRAであり、…

理想的な病状説明とは何か ― 脳神経内科医が考える「伝わる」コミュニケーション【SPIKESプロトコル】

日々の診療で避けて通れない「病状説明(インフォームド・コンセント)」。特に脳神経内科では、脳卒中や神経難病など突然の発症や進行性の経過をたどる疾患が多く、動揺するご家族に対して正確な医学情報を伝えつつ心理的サポートも行うという、高度なコミ…

「最近つまずきやすい」は脳の問題? ― 歩行とつまずきの原因を解剖学レベルで解説【からだの不思議 #15】

脳神経内科医が答える からだの不思議 #15 「最近つまずきやすい」は脳の問題? ― 歩行とつまずきの原因を解剖学レベルで解説 「段差でもないのにつまずいた」「気づいたら足が引っかかっている」――最近こんなことが増えていませんか? 転倒は高齢者の骨折や…

しびれが出たら何科? ― 脳神経内科・整形外科・内科の使い分け

脳神経内科医が答える からだの不思議 #14 しびれが出たら何科? ― 脳神経内科・整形外科・内科の使い分け 「手がしびれてきた。どこの病院に行けばいい?」「足のしびれが続くけど、整形外科でいいのかな?」 ―― こんな疑問を持ったことはありませんか。 し…

お風呂で決まって意識を失う — 入浴てんかんの正体と安全対策を脳神経内科医が解説

「お風呂に入ると決まって意識がなくなる」「入浴中にけいれんを起こして倒れた」——こうした症状を繰り返す場合、それは単なる立ちくらみやヒートショックではなく、「入浴てんかん」という特殊なてんかんかもしれません。 入浴てんかんは、入浴という特定の…

この頭痛、病院に行くべき? ― 危険な頭痛の見分け方

脳神経内科医が答える からだの不思議 #13 この頭痛、病院に行くべき? ― 危険な頭痛の見分け方 「昨日からひどい頭痛が続いているけど、寝れば治るかな……」「いつもの片頭痛と似ているけど、なんか違う気がする」 ―― こんなとき、病院に行くべきかどうか迷…

お酒で記憶が飛ぶ「ブラックアウト」の正体|脳のどこで何が起きるか・予防法を脳神経内科医が解説

脳神経内科医が答える からだの不思議 #12 お酒で記憶が飛ぶ「ブラックアウト」の正体|脳のどこで何が起きるか・予防法を脳神経内科医が解説 「昨日、どうやって帰ったか覚えていない」「飲み会の後半の記憶がまったくない」 ―― 飲酒後にこうした経験をした…

利き手はなぜ決まるのか? ― 脳の左右非対称と遺伝のしくみ

脳神経内科医が答える からだの不思議 #11 利き手はなぜ決まるのか? ― 脳の左右非対称と遺伝のしくみ お箸を持つのは右手? 左手? 日常のさりげない動作に「利き手」は深く関わっていますが、「なぜ右利きが多いのか」「左利きはどうして生まれるのか」を…

OCEANIC-STROKE試験の衝撃 ― XIa因子阻害薬asundexianが脳梗塞二次予防を変える

OCEANIC-STROKE試験の衝撃 ― XIa因子阻害薬asundexianが脳梗塞二次予防を変える 2026年2月、ニューオーリンズで開催されたInternational Stroke Conference 2026(ISC 2026)で、OCEANIC-STROKE試験の結果が発表された。活性化凝固第XIa因子阻害薬asundexian…

脳は「痛い」と感じない? ― 脳神経内科医が解説する痛みの仕組みと頭痛の正体

脳神経内科医が答える からだの不思議 #10 脳が「痛い」と感じる仕組み ― 脳自体は痛みを感じないのに、なぜ頭が痛くなるのか 手術中に患者さんが目を覚ましたまま脳に触れられている映像を見て、「えっ、痛くないの?」と驚かれた方も多いかもしれません。…