認知症

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神経内科医が見ている血圧の真実|脳を守る血圧と、脳が乱す血圧【JSH2025・エビデンス徹底解説】

「血圧は、何のために下げるのか?」——そう問われたとき、多くの方は心筋梗塞や脳卒中を思い浮かべるでしょう。確かに高血圧は日本人の脳心血管死における最大の危険因子です。しかし、脳神経内科の日常臨床で見ている血圧には、実はまったく異なる2つの顔が…

AA 2024アルツハイマー病バイオマーカー分類|AT₁T₂NISVとCore 1・Core 2を解説

2024年のAlzheimer’s Association改訂基準では、アルツハイマー病(AD)のバイオマーカー分類が従来のAT(N)からAT₁T₂NISVへ拡張されました。最大のポイントは、タウを早期反応のT₁と凝集タウ病理のT₂へ分け、Core 1は「AD病理があるか」、Core 2は「タウ病理…

認知症と脳梗塞|予防できる危険因子はどこまで重なる? PAFで比べるLancet Commissionと日本のJPHC研究

認知症の予防でよく引用されるLancet Commissionの「修正可能な14因子で45%」という推計。では、脳梗塞にも似た形で危険因子の大きさを示すデータはあるのでしょうか。日本の前向きコホート研究では、解析対象とした修正可能因子を合わせたPAFは脳梗塞で44.5…

「運動も食事も脳トレも」は認知症に効くのか|日本のJ-MINT研究が示した正直な結果

健診で血圧も血糖もコレステロールも指摘された。運動も足りていない。ひとつずつ気にするのはもう限界だから、まとめて何とかできないものか——そう考えるのは自然なことです。実際、世界中の研究者が同じことを考えて、食事・運動・頭を使うこと・生活習慣…

危険因子はなぜ重なるのか|生活習慣病の「同時多発」と認知症リスク——1+1が2以上になる理由と、連鎖を断つ最初の一歩

健康診断で「血圧が高い」「血糖値が上がってきた」「コレステロールも要再検査」「少し体重を落としましょう」と、複数の項目を一度に指摘されて途方に暮れていませんか。「1つ改善するだけでも大変なのに、いくつも重なったら認知症のリスクは何倍にも跳…

腎機能低下と認知症|健診のeGFR・蛋白尿で何がわかるか——「腎臓と脳のひずみ血管」と、予防の現在地

健康診断の血液検査で「eGFRが50台に落ちてきた」、あるいは尿検査で「蛋白尿(±や+)が出ている」——そう指摘されて不安を感じている方に向けた記事です。腎臓の機能が低下すると、その後に認知機能が低下したり認知症を発症したりするリスクが高まる——これ…

睡眠時無呼吸と認知症|「CPAPでボケを防げる」は本当か——リスク上昇の理由と、予防効果の「現在地」

「夜中に息が止まっていますよ」——ご家族からそう指摘されたことのある方、あるいは健康診断や専門外来で睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断された方に向けた記事です。睡眠時無呼吸があると、その後に認知機能が落ちたり認知症を発症したりする人が多い——これ…

心房細動と認知症|脳梗塞を起こさなくてもリスクは上がるのか——「薬で下げられる」はどこまで確かめられているか

「脈が乱れていますね」——健診や外来でそう言われたことのある方、あるいはご家族がそう言われた方に向けた記事です。心房細動(心臓の上の部屋が細かく震える不整脈)のある人では、その後に認知症を発症する人が多い——これは複数の大規模な観察研究が同じ…

視力低下と認知症|白内障手術で認知症は防げるのか——「効きそうだが、まだ証明されていない」を正確に

「見えにくいのは年のせいでしょう」——外来でよく聞く言葉です。ところが2024年、認知症の国際委員会は視力低下(未矯正の視力低下)を、認知症の危険因子リストに新しく加えました。しかもその理由のひとつが、白内障の手術という、すでにある確立した方法…

「アルツハイマー型」と「血管性」は分けられない|剖検でわかった認知症の脳の実際と、血管を守る意味

「うちの親はアルツハイマー型と言われました。だから血圧や動脈硬化は関係ありませんよね」——診察室でくり返し聞く言葉です。認知症を「アルツハイマー型」か「血管性」かの2択で捉えていれば、そう考えるのはむしろ自然なことです。ところが、亡くなったあ…

「少量なら脳に良い」は本当か|飲酒と認知症、観察研究と脳画像で答えが変わる理由

「お酒は少しなら、むしろ脳にいい」——診察室でも健康診断の場でも、くり返し聞かれる話です。実際、飲酒量と認知症の発症率を追った研究の多くは、まったく飲まない人よりも少しだけ飲む人のほうが発症率が低い、いわゆる「Jカーブ」を何度も描いてきました…

肥満と認知症の本当の関係|40代の肥満と70代のやせは、同じ数字でも意味が違う

「太っていると認知症になりやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。一方で「高齢者はむしろ太っているほうが認知症が少ない」という研究もあり、どちらが本当なのか分かりにくくなっています。この記事では、この食い違いがどちらかの研究が間…

喫煙と認知症|「いまさらやめても遅い」は違う——やめた人ではリスクの上昇が見えなくなる・ただし減煙では足りない

「もう何十年も吸ってきたから、いまさらやめても同じでしょう」——外来でよく聞く言葉です。喫煙が認知症の危険因子であることは、ここ数年でずいぶん知られるようになりました。けれど「では、いまからやめて意味があるのか」「何年でどうなるのか」「本数…

糖尿病と認知症|「血糖を下げれば防げる」は、まだ証明されていない——2026年の決着と、それでも打てる手

健康診断で「血糖値が高い」と言われたとき、頭をよぎるのは合併症のことかもしれません。目、腎臓、神経、そして足。けれど近年もうひとつ、はっきり名前が挙がるようになった臓器があります。脳です。糖尿病のある人は、ない人にくらべて認知症になりやす…

難聴と認知症|「補聴器で防げる」の根拠は撤回されている——それでも補聴器を勧める理由

「最近、聞き返しが増えた」。それを年のせいにして、そのままにしている人はとても多いはずです。難聴は、認知症の危険因子のなかでもっとも大きいと国際委員会が位置づけている因子でもあります。ではその聞こえを補えば、認知症は防げるのでしょうか。こ…

コレステロールと認知症|効くのは中年期のLDL・高齢で下がるのは原因ではなく結果かもしれない・「スタチンで認知症になる」は一次資料でどうなっているか

LDLコレステロールは、2024年に認知症の危険因子として新しく加わりました。ただし一次資料に当たると、話はもう少し込み入っています。効いているのは中年期のLDLで、晩年期に測った総コレステロールの高値は認知症と関連していません。高齢になって値が下…

高血圧と認知症|厳格に下げて減ったのは「認知症」ではなく「MCI」だった・効くのは中年期の血圧・増えるのは血管性認知症

高血圧が認知症の危険因子であることは、よく知られています。ただ「血圧を下げれば認知症を防げる」と言い切れるかというと、それはまだ別の話です。厳格に下げて軽度認知障害(MCI)は減ったのに認知症そのものは減らせなかった大規模試験、認知症を主要評…

パーキンソン病の幻覚・妄想 治療|ドパミン系(病的賭博・パンディング)とアセチルコリン系(幻視)を分けて考える

パーキンソン病の幻覚・妄想の治療は、「ひとまず抗精神病薬」ではありません。同じ「精神症状」でも、ドパミン系の"過剰"による衝動制御障害・病的賭博・パンディングと、アセチルコリン系の"低下"によるレビー小体型認知症的な幻視とでは、背景も第一手も…

親に免許返納をどう切り出す? 神経内科医が解説する高齢ドライバーの「認知機能」「安全装置」「返納」の見極め方

80代になっても元気に運転を続ける親。同乗しても運転はしっかりしていて、無事故無違反。それでも、ニュースで高齢ドライバーの重大事故を見るたびに「うちの親は大丈夫だろうか」と心配になる――。そんなご家族は少なくありません。この記事では、「返納す…

【新研究】関節サプリ「グルコサミン」が認知症を悪化させる? 飲んでいる人が知っておきたいこと

ひざや関節の健康のために、グルコサミンのサプリメントを飲んでいる方は少なくありません。ところが2026年、世界的な医学誌『Nature Metabolism』に、アルツハイマー病など認知症のある人では、グルコサミンが脳の「糖鎖(とうさ)の付きすぎ」を強め、病気…

認知症の45%は予防できる? 介入可能な14の危険因子をやさしく解説【Lancet 2024】

「認知症は年をとれば避けられない」——そう思っていませんか。世界の専門家が集まったランセット委員会(Lancet 2024)は、認知症のおよそ45%が、生活習慣など14の「修正可能な危険因子」に対処することで予防または発症を遅らせられる可能性がある、と報告…

介護拒否・ケア拒否にどう対応するか — 「防御反応」として読み解くエビデンス総整理

「お風呂はイヤ!」「口を開けてくれない」「薬を吐き出す」— 介護拒否(ケア拒否)は、認知症高齢者のケアで最も日常的に、そして最も対応に悩む場面である。だが拒否は「わがまま」でも「困った問題行動」でもない。わからないこと・脅かされることから自…

40代・50代の物忘れは“うつ”?それとも若年性認知症? 医師が教える見分け方と相談先

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症の総称です。40代・50代という働き盛りに起こるため、最初の物忘れや仕事のミスが「うつ病」「更年期障害」「ストレス」と間違われ、正しい診断までに時間がかかってしまうことが少なくありません。本記事では、…

寝ながら暴れるのは病気?パーキンソンの前触れかも

夜中に大声で叫ぶ、隣で寝ている人を殴る・蹴る、ベッドから飛び出す――それはレム睡眠行動障害(RBD)かもしれません。見ている夢をそのまま体が行動に移してしまう睡眠の病気で、特に中高年の男性に多く、後年のパーキンソン病やレビー小体型認知症の前兆(…

認知症と間違えやすい高齢者のてんかん

高齢のご家族が、会話の途中で急にぼーっとして反応が止まり、口をもぐもぐ動かし、後でその間のことを覚えていない――そんな様子を「認知症が始まったのかな」と感じていませんか。実はそれは、認知症ではなく「てんかん」の発作かもしれません。てんかんは…

認知症と運転免許 ― 家族が知っておくべき制度と説得のコツ|その症状、大丈夫? #19

「高齢の親の運転が心配だけど、どう伝えればいいかわからない」 ― そう悩んでいる家族は少なくありません。「まだ大丈夫」と言い張る親を前に、どうすれば安全のために動けるのでしょうか。日本では75歳以上のドライバーは毎年増加しており、認知症と運転に…

認知症高齢者の食事拒否と「ため込み・吐き出し」— 病型別の鑑別と実践介入

「食事を口に入れても飲み込まない」「口の中にため込んだまま動かない」「吐き出してしまう」— 認知症高齢者の食事問題は、終末期に近づくほど頻度を増し、ナーシングホーム入所者の進行期認知症では 18か月以内に85.8% が摂食障害を呈する [1]。本稿では病…

認知症の親を病院に連れて行くには ― 受診を嫌がる場合の対処法【からだの不思議 #17】

脳神経内科医が答える からだの不思議 #17 認知症の親を病院に連れて行くには ― 受診を嫌がる場合の対処法 「最近、父の物忘れがひどくなってきた。一度もの忘れ外来に連れて行きたいのに、『自分はおかしくない』と頑なに拒否される」――外来に相談に来られ…

アリドネパッチで食欲は改善するのか?ドネペジル貼付剤と食欲・体重の実際

アリドネパッチ(ドネペジル経皮吸収型製剤)は2023年に発売された日本初のドネペジル貼付剤です。2025年には、本剤投与患者で食欲改善が報告されました7。しかし、ドネペジルは本来、食欲不振や体重減少を起こしうる薬剤です。この報告はどこまで信頼でき、…

「あの人の名前が出てこない」は認知症のサインか? ― "ふつうの物忘れ"との違い

脳神経内科医が答える からだの不思議 #01 「あの俳優の名前、何だっけ……顔は浮かんでいるのに」「昨日会った人の名前がどうしても出てこない」 ――こうした経験が増えてくると、ふと「これって認知症の始まり?」と不安になることはないでしょうか。 外来で…