脳卒中

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神経内科医が見ている血圧の真実|脳を守る血圧と、脳が乱す血圧【JSH2025・エビデンス徹底解説】

「血圧は、何のために下げるのか?」——そう問われたとき、多くの方は心筋梗塞や脳卒中を思い浮かべるでしょう。確かに高血圧は日本人の脳心血管死における最大の危険因子です。しかし、脳神経内科の日常臨床で見ている血圧には、実はまったく異なる2つの顔が…

【2026年8月】脳神経内科の注目論文レビュー|NMOSD新薬第3相・BAD脳梗塞RCT・てんかんDOAC併用・原因不明脊髄症の新自己抗体まで専門医が徹底解説

2026年8月も脳神経内科・神経科学領域では臨床現場に直結する重要な論文が多数発表されました。AQP4抗体陽性NMOSDに対する新規抗CD20抗体の第III相試験から、BAD脳梗塞における抗血小板薬強化のRCT、実臨床で頭を悩ませる「てんかん×DOAC」併用時の抗発作薬…

脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】

脳卒中急性期の降圧はどう行うか|脳梗塞・脳出血に共通するニカルジピン持続静注の計算・上げ下げ・内服移行の臨床実務【ガイドライン2025・AHA対応】 脳卒中(脳梗塞・脳出血)急性期の降圧目標値は病型により異なりますが、第一選択となるニカルジピン持…

脳静脈血栓症(CVT)の診断と治療マネジメント完全解説

脳静脈血栓症(Cerebral Venous Thrombosis: CVT)は、硬膜静脈洞や皮質静脈、深部脳静脈が血栓によって閉塞する疾患です。全脳卒中の0.5〜1%程度と比較的まれですが、若年者や生殖年齢の女性に好発し、頭痛単独の軽症例から急性てんかん重積、出血性静脈梗…

周術期抗血栓薬のコンサルト返書ツールを作りました|ガイドライン8文書を原文から読んで分かった7つのこと

脳梗塞の既往がある患者さんについて、外科・歯科・内視鏡科から「抗血栓薬は止めますか、いつから止めますか」という周術期コンサルトを受けるのは、脳神経内科の日常業務です。この判断のたびに複数のガイドラインを引き直さずに済むよう、患者背景と予定…

脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】

脳梗塞急性期の血圧はどこまで下げるか|再灌流療法の有無で変わる降圧の判断【ガイドライン2025・AHA2026対応】 脳梗塞急性期の血圧管理は、資料ごとに書いてあることが食い違って見えます。しかし実際に割れているのは推奨ではなく場面で、再灌流療法(血…

脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】

脳出血急性期の血圧はどこまで下げるか|140未満を目指し110未満を避ける理由【ガイドライン・INTERACT/ATACH-2対応】 脳出血急性期の血圧管理は、「脳梗塞では下げないのに、なぜ脳出血では直ちに下げるのか」「どこまで下げれば安全なのか」という疑問が臨…

小脳梗塞を局在診断する:解剖、血管支配、症候とベッドサイド診察

対象:研修医、内科医、救急医、脳神経診療に関わる医療従事者 結論:SCA・AICA・PICAは小脳局在を考えるための有用な地図ですが、患者個人の血管支配を確定する地図ではありません。小脳表面の位置だけでなく、小脳脚、脳幹、内耳、深部核、虫部の病変を合…

睡眠時無呼吸と認知症|「CPAPでボケを防げる」は本当か——リスク上昇の理由と、予防効果の「現在地」

「夜中に息が止まっていますよ」——ご家族からそう指摘されたことのある方、あるいは健康診断や専門外来で睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断された方に向けた記事です。睡眠時無呼吸があると、その後に認知機能が落ちたり認知症を発症したりする人が多い——これ…

心房細動と認知症|脳梗塞を起こさなくてもリスクは上がるのか——「薬で下げられる」はどこまで確かめられているか

「脈が乱れていますね」——健診や外来でそう言われたことのある方、あるいはご家族がそう言われた方に向けた記事です。心房細動(心臓の上の部屋が細かく震える不整脈)のある人では、その後に認知症を発症する人が多い——これは複数の大規模な観察研究が同じ…

「アルツハイマー型」と「血管性」は分けられない|剖検でわかった認知症の脳の実際と、血管を守る意味

「うちの親はアルツハイマー型と言われました。だから血圧や動脈硬化は関係ありませんよね」——診察室でくり返し聞く言葉です。認知症を「アルツハイマー型」か「血管性」かの2択で捉えていれば、そう考えるのはむしろ自然なことです。ところが、亡くなったあ…

術中の出血・低血圧による分水嶺梗塞に抗血栓療法は必要か|止血後のアスピリンをどう判断するか【医師向け】

術中の出血・低血圧による分水嶺梗塞に抗血栓療法は必要か|止血後のアスピリンをどう判断するか【医師向け】 手術中の大量出血や持続的な低血圧のあと、両側の分水嶺領域を中心とした脳梗塞を認めることがあります。主幹動脈の血栓閉塞ではなく血行力学的な…

熱中症の見分け方|「様子がおかしい」は脳卒中・てんかんとどう違う?重症度IV度と救急要請の基準を脳神経内科医が解説

真夏、家族の「様子がおかしい」に気づいたとき——それは熱中症でしょうか、それとも脳卒中やてんかん発作、低血糖でしょうか。実は熱中症の急性期は神経症状が中心で、脳の病気と見分けがつきにくいことが知られています3。2024年には日本救急医学会のガイド…

【論文紹介】後天性脳損傷のあとに、てんかんはどれだけ起こるか — 120研究メタ解析が示す「部位>病因」

頭をぶつける、脳の血管が詰まる・破れる、髄膜炎や脳炎にかかる──こうした後天性脳損傷(acquired brain injury:ABI)のあとに、てんかんはどれくらい起こるのでしょうか。2026年に Epilepsy Research 誌へ報告された 120研究・大規模メタ解析は、外傷・出…

顔がゆがむ…脳卒中?おでこで見分ける|その症状、大丈夫? #22

「鏡を見たら片側の口角が下がっていた」「うがいの水が片側からこぼれる」「片目が閉じにくい」——突然の顔のゆがみは、多くの方がまず脳卒中を心配する症状です。ですが、顔のゆがみの原因は脳卒中だけではなく、顔面神経そのものの炎症で起こるベル麻痺(…

脳幹梗塞で抜管困難な患者の気管切開、いつ行うべきか — SETPOINT2が変えた臨床判断

脳幹梗塞で呼吸抑制があり気管挿管中の患者で、自発呼吸が乏しく抜管困難が予想される——この状況で「気管切開はいつ行うべきか」は神経救急・神経集中治療の現場で日常的に直面する判断である。2013年のSETPOINT pilot試験で「早期気管切開でICU死亡が10% vs…

脳ドックは受けるべき? ― 検査の意味と結果の活かし方|その症状、大丈夫? #20

「脳ドックを受けてみたいけど、本当に必要かな」「親が脳卒中になったから心配」「未破裂脳動脈瘤と言われたらどうすればいいの?」 ― こうした疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。脳ドックは無症状のうちに脳の異常を見つけるための検査ですが…

脳梗塞で寝たきり全介助の患者は身体障害1級か? ― 「体幹機能廃絶」ではなく「下肢障害」になる理由と例外

脳梗塞後の片麻痺で寝たきり・座位保持も困難な全介助患者の身体障害者手帳を申請するとき、「座っていられない=体幹機能廃絶=1級」と判断したくなる場面は多くあります。しかし、身体障害認定基準の通達では、脳血管障害による片麻痺は原則として体幹機能…

意識障害患者の血圧が高ければ頭蓋内疾患か?池田2002年BMJ論文と最新エビデンスの再検証

意識障害患者の血圧が高ければ頭蓋内疾患か?池田2002年BMJ論文と最新エビデンスの再検証 意識障害患者の血圧が高ければ頭蓋内疾患か?──池田2002年BMJ論文と最新エビデンスの再検証 救急外来で意識障害患者を診たとき、ベテラン医師が瞬時に「血圧が高いか…

脳梗塞急性期のヘパリン、結局どう使う? 1万単位 vs APTT管理・ブリッジング不要論・HIT対応【ガイドライン2025対応】

脳神経内科の日常診療において、脳梗塞急性期のヘパリンは「1日1万単位の固定か、APTTで細かく調整すべきか」「心原性脳塞栓症に対するヘパリンブリッジングはまだ必要か」「低用量でもHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)は起きるのか」と、若手医師や専攻医…

OCEANIC-STROKE試験の衝撃 ― XIa因子阻害薬asundexianが脳梗塞二次予防を変える

 2026年2月、ニューオーリンズで開催されたInternational Stroke Conference 2026(ISC 2026)で、OCEANIC-STROKE試験の結果が発表された。活性化凝固第XIa因子阻害薬asundexianが、非心原性虚血性脳卒中の再発を大出血を増やすことなく26%減少させたという…

rt-PA静注療法の適応・禁忌の覚え方|「時・血・画・出・偽」で整理する語呂【脳梗塞2025】

超急性期脳梗塞治療における rt-PA(アルテプラーゼ)静注血栓溶解療法は、適応を正確に判断しなければ重大な出血合併症を引き起こす。禁忌項目は一覧にすると十数項目にのぼるが、当直帯のプレッシャーの中でそれを漏れなくチェックするには「覚え方の型」…

片側性舞踏病(hemichorea)の鑑別・画像所見・治療を整理する

片側性舞踏病は、片側の四肢や顔面に出る不規則で流れるような不随意運動を指します。近位優位で大きく投げ出すような動きであるヘミバリスムを含め、hemichorea / hemiballismusのスペクトラムとして捉えるのが実用的です。大事なのは、これは病名ではなく…

小脳梗塞後のリハビリテーション:エビデンスに基づく回復戦略と最新治療【KOSCO・NIBS・DBS・VR】

小脳梗塞後のリハビリテーション:エビデンスに基づく回復戦略と最新治療【KOSCO・NIBS・DBS・VR】 youtu.be 小脳梗塞後のリハビリテーション:エビデンスに基づく回復戦略と最新治療 目次 1. 小脳梗塞の疫学と臨床的特徴 2. 予後と回復の時間経過 3. 失調の…

脳循環代謝改善薬は本当に必要か? ― 脳梗塞慢性期で「漫然投与」を見直すための実践ガイド

脳循環代謝改善薬は本当に必要か? ― 脳梗塞慢性期で「漫然投与」を見直すための実践ガイド youtu.be 目次 はじめに ― よくある処方、よくある疑問 脳梗塞慢性期治療の本当の柱 なぜ今でも使われ続けているのか 脳循環代謝改善薬は本当に効いているのか 実…

脳神経領域の線維芽細胞と線維性瘢痕が面白い理由と再生医療への応用

研究会でお会いした先輩から今、線維芽細胞の研究が面白いという話をききました。自分にはピンとこなかったのですが情報を収集して高校生レベルで理解できるようにとAIに指示してみました。 youtu.be 目次 Executive Summary 背景:グリア瘢痕と線維性瘢痕 …

アドレノメデュリン(AM)と脳神経領域への応用 ― 血管を守るペプチドの可能性

アドレノメデュリン(AM)と脳神経領域への応用 ― 血管を守るペプチドの可能性 この記事では、アドレノメデュリン(AM)とは・産生部位と作用機序・産生部位について解説します。 youtu.be 目次 アドレノメデュリン(AM)とは 産生部位と作用機序 脳神経領…

DWI–FLAIRは"時計"、DWI–perfusionは"救える脳"― 画像で考える急性期脳梗塞の超シンプル整理

コメント DWIは虚血コア、DWI-FLAIRミスマッチは時間が早いこと、DWI-perfusionミスマッチは救えるペナンブラがあることを意味することをあらためて整理しました。 目次 DWI–FLAIRミスマッチは「時間の代替」 DWI–perfusionミスマッチは「救える脳」 DWIの…

被殻出血の解説

被殻出血の解説 目次 エグゼクティブサマリー 定義と解剖学的背景 疫学 主な病因・危険因子と病態生理 臨床症状 診断 画像所見の具体例と解説 治療・合併症・予後・リハビリ・二次予防 患者向けQ&Aと注意点 参考文献 エグゼクティブサマリー 全体像 被殻出…

一過性全健忘(Transient Global Amnesia, TGA)とは

一過性全健忘(Transient Global Amnesia, TGA)とは 一過性全健忘(いっかせいぜんけんぼう、Transient Global Amnesia, TGA)とは、突然生じて一時的に記憶が保てなくなる発作性の症候群です。典型的には新しい出来事を覚えられなくなる前向性健忘が数時間…