医学教育
「血圧は、何のために下げるのか?」——そう問われたとき、多くの方は心筋梗塞や脳卒中を思い浮かべるでしょう。確かに高血圧は日本人の脳心血管死における最大の危険因子です。しかし、脳神経内科の日常臨床で見ている血圧には、実はまったく異なる2つの顔が…
外来で研修医が「ChatGPTに聞いたら、この鑑別が出ました」と言ってきたとき、指導医は何と返せばよいのでしょうか。禁止するのは簡単ですが、原著が勧めているのは逆です。研修医がAIの鑑別を持ってきたその瞬間こそ、臨床推論とAIリテラシーを同時に鍛えら…
離床センサーはマット式から荷重センサー方式の離床CATCH、さらに非接触の眠りSCANへと進化してきましたが、この進化は本当に転倒を減らすエビデンスと言えるのでしょうか。本記事は入院患者の転倒・転落を防ぐ:エビデンスで整理する多職種の実践ポイントで…
AGA(男性型脱毛症)の治療では、5%ミノキシジル外用、フィナステリド内服、デュタステリド内服に有効性を示すエビデンスがあります。一方で、同じ成分名でも「国内承認薬」「医療機関が輸入した未承認薬」「個人輸入品」では、品質確認、診察、副作用時の…
経鼻胃管(NGT)の挿入後、X線写真での位置確認はスタイレット(ガイドワイヤー)を入れたまま撮影するのが一般的です。一方で「抜去時に先端がずれるかもしれないので、スタイレットを抜いた状態で確認したほうがよい」という声も現場にはあります。結論か…
「あの先生に診てほしい」「あの先生となら働きやすい」— 周囲から慕われる理想の医師は、生まれ持った性格やカリスマで決まると思われがちだ。そこで本稿では、AIである「Claude Code」に『周囲から慕われる理想の医師になるにはどうすればよいか』と尋ね、…
「お風呂はイヤ!」「口を開けてくれない」「薬を吐き出す」— 介護拒否(ケア拒否)は、認知症高齢者のケアで最も日常的に、そして最も対応に悩む場面である。だが拒否は「わがまま」でも「困った問題行動」でもない。わからないこと・脅かされることから自…
がんの告知、神経難病の進行、看取りの相談――「悪い知らせ」を患者さんやご家族にどう伝えるかは、医療者にとって日々の難所です。世界的に使われるSPIKESプロトコルという型はあるものの、目の前の症例に合わせて言葉を組み立て、お渡しする疾患説明書まで…
健康診断の結果票に「LDLコレステロールが高い」「要再検査」「脂質異常症の疑い」と書かれていて、不安になっていませんか。でも、ここで知っておいてほしいことがあります。LDL(悪玉)コレステロールが高い=今すぐ薬、ではありません。多くの人は、まず…
夜はちゃんと寝ているはずなのに、昼間どうしようもなく眠い――会議中も、運転中も、気づくと意識が飛んでいる。それを「自分の気合いが足りないだけ」と片づけていませんか。じつはその眠気は、ただの寝不足ではなく、治療できる「病気のサイン」かもしれま…
内科専門医制度 J-OSLER の29症例の病歴要約づくりは、診断や考察の中身もさることながら、体裁・個人情報(PII)・略語・薬剤名・文字数といった「形式の自己点検」が地味に手間です。そこで、ブラウザだけで病歴要約を機械チェックし、生成AIに内容レビュ…
入院患者の転倒・転落は、医療事故のなかで最も多く報告されるインシデントであり、骨折や頭部外傷、入院長期化、ときに医療訴訟にもつながる重要な医療安全の課題です。一方で「いつ・どこで・誰に起こりやすいか」は数多くの調査で明らかになっており、限…
パーキンソン病(PD)の薬物治療はレボドパ・カルビドパ配合剤(メネシット®、ネオドパストン®等)またはレボドパ・ベンセラジド配合剤(マドパー®、イーシー・ドパール®等)の経口投与が中心である。しかし進行期になると嚥下障害・意識障害・周術期絶飲食…
「医知創造ラボ」は、脳神経内科専門医指導医・総合内科専門医指導医・てんかん学会専門医指導医の資格を持つ医師が、AIを活用しながら日々の臨床と医学論文から得た知見を整理・発信している医学情報ブログです。本記事では、当ブログの監修体制・編集方針…
令和8年度(2026年度)診療報酬改定は、本体+1.23%(R8単年度)という空前のプラス改定となったが、その実質は「2040年問題への大規模な前倒し対応」である。本稿では、令和8年2月13日の中医協答申1と3月以降の説明資料2をもとに、現場で急性期病院A・Bの新…
糖尿病性神経障害(Diabetic Neuropathy: DN、末梢型はDPN)は、糖尿病三大合併症の中で最も頻度が高く、最も早期に出現する合併症です[1]。Feldmanらが2019年に Nat Rev Dis Primers で報告したように、糖尿病患者の50%以上が生涯のいずれかの時点で神経障害…
ビッカースタッフ脳幹脳炎(BBE) 2026年最新治療ガイド ─ IVIg・血漿交換・ステロイド使い分けと抗GQ1b抗体の意義 ビッカースタッフ脳幹脳炎(Bickerstaff brainstem encephalitis: BBE)は、両側外眼筋麻痺・運動失調・意識障害を三主徴とする指定難病128の…
2026年4月17日、経口CGRP受容体拮抗薬アクイプタ®(アトゲパント)が日本で発売されました1。2025年9月に承認されたナルティーク®(リメゲパント)と合わせ、日本でも経口ゲパント時代が本格的に始まりました。2021年に登場した抗CGRP関連抗体3剤(エムガル…
2025年12月25日、日本うつ病学会から『うつ病診療ガイドライン2025』が公表されました。2016年版から9年ぶり、ページ数で約250ページ増の335ページという、加筆修正ではなくゼロベースから再構築された大改訂です1。プライマリケア医・内科医・研修医・看護…
【2026年最新】アナフィラキシーショックへの対応 ― 一般の方も医療者も知っておきたい初期対応と最新治療(neffy®・refractory対応まで) アナフィラキシーショックは救命できる病気ですが、アドレナリン投与の遅れが死亡に直結します。2024〜2026年にかけ…
脳神経内科医が答える からだの不思議 #17 認知症の親を病院に連れて行くには ― 受診を嫌がる場合の対処法 「最近、父の物忘れがひどくなってきた。一度もの忘れ外来に連れて行きたいのに、『自分はおかしくない』と頑なに拒否される」――外来に相談に来られ…
脳神経内科医が答える からだの不思議 #16 けいれんを目撃したときの正しい対応 ― やってはいけないことと、救急車を呼ぶ判断 この記事の内容は動画でも解説しています ▶ YouTube動画で詳しく解説しています 街中や職場で、突然目の前の人がバタッと倒れ、…
日本には高血圧の方が推定4,300万人いるとされ、実に3人に1人に相当します。しかもその約7割にあたる3,100万人が、十分に血圧をコントロールできていません。高血圧は「沈黙の殺し屋(サイレント・キラー)」と呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま血管を傷つ…
日々の診療で避けて通れない「病状説明(インフォームド・コンセント)」。特に脳神経内科では、脳卒中や神経難病など突然の発症や進行性の経過をたどる疾患が多く、動揺するご家族に対して正確な医学情報を伝えつつ心理的サポートも行うという、高度なコミ…
脳神経内科医が答える からだの不思議 #15 「最近つまずきやすい」は脳の問題? ― 歩行とつまずきの原因を解剖学レベルで解説 この記事の内容は動画でも解説しています 「段差でもないのにつまずいた」「気づいたら足が引っかかっている」――最近こんなこと…
脳神経内科医が答える からだの不思議 #14 「手がしびれてきた。どこの病院に行けばいい?」「足のしびれが続くけど、整形外科でいいのかな?」 ―― こんな疑問を持ったことはありませんか。 しびれは非常にありふれた症状ですが、実は原因によって受診すべき…
令和8年度診療報酬改定の全体像 ― +3.09%改定の内訳と医科の主要変更点を徹底解説 動画を見る時間がない方へ — スライド資料をご用意しています 本動画で使用した全10枚のスライドを、PDFダウンロードまたは Web 上で閲覧できます。要点だけ素早く確認した…
入院患者の「元気がない」「食事が進まない」「日中うとうとしている」。その背景に、低活動性せん妄(hypoactive delirium)が潜んでいることは少なくない。過活動型と異なり「静かなせん妄」は周囲を困らせないため、医療者に気づかれず放置されやすい。し…
超急性期脳梗塞治療における rt-PA(アルテプラーゼ)静注血栓溶解療法は、適応を正確に判断しなければ重大な出血合併症を引き起こす。禁忌項目は一覧にすると十数項目にのぼるが、当直帯のプレッシャーの中でそれを漏れなくチェックするには「覚え方の型」…
レベチラセタム(イーケプラ)は使いやすく有効性の高い抗発作薬ですが、実臨床では易刺激性、焦燥、興奮、攻撃性、抑うつなどの精神・行動面の副作用がしばしば問題になります。日本でも添付文書上、易刺激性、錯乱、焦燥、興奮、攻撃性などの精神症状や自…