日々生活する中で、普段よく前を通る滋賀県庁本館のおもむきある建物。昭和初期の温かみあるスクラッチタイルと八角形の屋根を持つ塔屋を目にするたび、「やっぱり歴史を感じる素敵な建物だな」と見惚れてしまいます。
そして滋賀県庁を見るたびにふと思い出すのが、以前住んでいた福井県庁のことでした。初めて目にしたとき、「えっ、お城の水堀と巨大な石垣のど真ん中に県庁が建っている!?」と強烈な衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
行政手続きなどで訪れるお堅い役所というイメージがある都道府県庁舎ですが、実は「日本建築史の最高傑作」「お城の本丸跡に建つ要塞のような庁舎」「かつて日本一の高さを誇ったメガ高層ビル」など、全国には驚くほど個性的でドラマチックな建築美を持つ庁舎がたくさん存在します。
今回は、私自身の身近な体験をきっかけに、全国の県庁舎の中から特に際立った個性と魅力を持つ滋賀・福井・京都・香川・東京・群馬の6自治体を厳選!各自治体の公式ページから確認できる美しい外観写真とともに、その見どころと建築の魅力をご紹介します。
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第1選滋賀県庁 本館(大津市)
| 竣工年 | 1939年(昭和14年) |
|---|---|
| 設計者 | 滋賀県内務部営繕課(顧問:佐藤功一) |
| 構造・規模 | 鉄筋コンクリート造 地上4階・塔屋付 |
| 文化財指定 | 国登録有形文化財(2014年登録) |
🏛️ 見どころと特徴
滋賀県庁本館は、1939年(昭和14年)に完成した昭和初期の近代建築を代表する庁舎です。設計顧問には、早稲田大学大隈記念講堂や日比谷公会堂を手掛けた名建築家・佐藤功一が迎えられました。
外壁全面を覆う温かみのある褐色のスクラッチタイル、正面中央上部に高くそびえる八角形のピラミッド型屋根を持つ塔屋、そしてクラシカルな柱頭装飾など、昭和初期特有の重厚さとモダンな様式美が見事に融合しています。現在も滋賀県行政のシンボルとして現役で使われ続けています。
第2選福井県庁(福井市)
| 竣工年 | 1981年(昭和56年) |
|---|---|
| 設計者 | 日建設計 |
| 立地場所 | 越前福井城 本丸跡地(水堀・石垣内部) |
| 周辺遺構 | 福井城天守台、福の井(地名の由来)、御廊下橋、山里口御門 |
🏯 見どころと特徴
全国広しといえども、「名城の本丸跡、広大な水堀と石垣の内側そのものに県庁・県議会・警察本部が丸ごと建っている」という前代未聞の立地を誇るのが福井県庁です。
徳川家康の次男・結城秀康が築城した福井城の本丸跡に位置しており、県庁へ向かうには水堀にかかる「御本城橋」を渡り、巨大な石垣の間を通って本庁舎へと入ります。1981年に竣工した地上11階建ての本庁舎は、周囲の石垣景観に調和するよう落ち着いたアースカラーの外観で設計されています。
第3選京都府庁 旧本館(京都市上京区)
| 竣工年 | 1904年(明治37年) |
|---|---|
| 設計者 | 松室重光(京都府技師) |
| 構造・規模 | レンガ造(外壁石貼り) 地上2階・地下1階 |
| 文化財指定 | 国指定重要文化財(2004年指定) |
👑 見どころと特徴
1904年(明治37年)に竣工した京都府庁旧本館は、「創建当時の姿を保ち、現在も執務室や会議室として使われている官公庁建物の中で日本最古」を誇る奇跡の庁舎です。
建物全体は優美なネオ・ルネサンス様式で統一され、正面玄関周りにはコリント様式のオーダー(円柱)や精緻な石彫刻が施されています。中庭には見事なしだれ桜(祇園しだれ桜の孫桜)が植えられており、春の開花期には一般公開され大勢の人々で賑わいます。
第4選香川県庁舎 東館(高松市)
| 竣工年 | 1958年(昭和33年) |
|---|---|
| 設計者 | 丹下健三(構造設計:坪井善勝) |
| 構造・規模 | 鉄筋コンクリート造 地上8階・地下1階 |
| 文化財指定 | 国指定重要文化財(2022年指定・戦後庁舎建築初) |
📐 見どころと特徴
世界的な建築の巨匠・丹下健三の初期代表作にして、戦後日本のモダニズム建築の最高峰と称えられるのが香川県庁舎東館です。2022年には、戦後の庁舎建築として全国で初めて国の重要文化財に指定されました。
日本の伝統的な木造建築(五重塔や神社仏閣の組物)に見られる梁や桁の美しさを、鉄筋コンクリートの打ち放し梁・庇によってモダンに表現。1階ピロティや開放的なロビーは「開かれた民主主義の庁舎」という当時の思想を鮮やかに体現しています。
第5選東京都庁 第一本庁舎(新宿区)
| 竣工年 | 1990年(平成2年)12月(1991年開庁) |
|---|---|
| 設計者 | 丹下健三・都市・建築設計研究所 |
| 高さ・階数 | 地上48階・地下3階 / 高さ 243.4m |
| 当時の記録 | 竣工時にサンシャイン60を抜き日本一の高さを記録(1990年〜1993年) |
🏙️ 見どころと特徴
有楽町から西新宿へと移転し、1991年に開庁した東京都庁。設計は香川県庁舎と同じく丹下健三が手掛けました。地上48階・高さ243.4mを誇る第一本庁舎は、1990年の竣工時に横浜ランドマークタワーに抜かれるまで日本一の高さを誇った超高層ビルです。
33階から2つのタワーに分岐する特徴的なツインタワー構造は、パリのノートルダム大聖堂などのゴシック建築を意識したファサードデザインと、半導体集積回路(ICチップ)のような未来的な幾何学格子パターンが組み合わされています。45階には無料で入場できる地上202mの展望室があり、東京のパノラマを一望できます。
第6選群馬県庁舎(前橋市)
| 新本庁舎(タワー) | 1999年(平成11年)竣工 / 地上33階・地下3階 / 高さ 153.8m(道府県庁舎として日本一) |
|---|---|
| 昭和庁舎(旧本館) | 1928年(昭和3年)竣工 / 設計:佐藤功一 / 国登録有形文化財 |
| 設計者 | 新本庁舎:佐藤総合計画・RIA・環境建築設計共同企業体 |
🚀 見どころと特徴
群馬県庁の最大の魅力は、「道府県庁舎として日本一の高さを誇る153.8mの超高層タワー(新本庁舎)」と、その足元に寄り添うように保存されている「昭和初期の重厚なクラシック建築(昭和庁舎)」という、新旧の圧倒的なコントラストです。
1999年に竣工した新本庁舎は33階建てで、東京都庁を除く46道府県の庁舎の中で最も高いビルです。32階の無料展望ホール(地上127m)からは、赤城山・榛名山・妙義山の上毛三山や利根川の雄大な流れを360度見渡せます。
一方、敷地正面に残る昭和庁舎は1928年(昭和3年)に建てられた近代建築で、滋賀県庁と同じく佐藤功一の設計による国の登録有形文化財です。スクラッチタイルと半円アーチ窓が連続する優美な姿は、歴史の重みを今に伝えています。
✨ まとめ:都道府県庁舎は地域の歴史と未来を映す鏡
お城の遺構を守り抜いた福井県庁、明治・昭和の気品を今に伝える京都府庁や滋賀県庁、世界に誇るモダニズムの傑作である香川県庁、そして首都と地方のダイナミズムを象徴する東京都庁や群馬県庁。
都道府県庁舎は単なる行政機関にとどまらず、その土地の歴史・文化・技術の粋が集約された素晴らしい観光・建築スポットです。お近くへ旅行や出張の際は、ぜひその迫力ある建築美を間近で体感してみてください!