ヘルペス脳炎(HSV脳炎)の診断と治療

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ヘルペス脳炎(HSV脳炎)クイズ | Claude | Claude

 
作者コメント
ヘルペス脳炎を疑う症例があり、知識整理をしてみました。
 

ヘルペス脳炎(HSV脳炎)の診断と治療

ヘルペス脳炎(HSV脳炎)の診断と治療

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ヘルペス脳炎のスライド

TL;DR(要約)

  • ヘルペス脳炎は疑ったら直ちにアシクロビル静注を開始すべき神経救急である。
  • 早期治療により死亡率は70%以上から約10%に低減する[1]
  • 診断の鍵は髄液HSV-DNAのPCR検査だが、初回陰性でも48–72時間後に再検して確認する。
  • 治療は原則14〜21日間のアシクロビル継続とし、臨床経過改善およびPCR陰性化をもって終了判断とする。

要点(Key messages)

  • 疑ったらアシクロビルを即開始:ウイルス性脳炎が少しでも疑われる場合、PCR確定を待たずアシクロビル静注10 mg/kg q8hを腎機能に応じて開始する。髄液検査・MRI等の診断手順は治療と並行して行う。
  • PCR陰性でも48–72時間後に再検討:初回髄液HSV-PCR陰性でもHSV脳炎を否定できない。48〜72時間後の髄液再検でPCRを再度行い、臨床像次第ではアシクロビル継続下で確定診断を追求する。
  • 治療期間は14–21日間:免疫正常では少なくとも14日間、免疫不全や重症例では21日間以上のアシクロビル投与を検討する。治療終了前に髄液PCR陰性化を確認し、中止基準とする。
  • ステロイド併用は症例選択的:副腎皮質ステロイドのRoutine併用による予後改善エビデンスは限定的だが、重度脳浮腫や鑑別に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)がある場合など慎重に併用を検討する。
  • 非痙攣性てんかん重積の見逃し防止:HSV脳炎では50%以上に発作が生じ、その一部は非痙攣性重積状態となり得る。定期的な脳波(EEG)監視により早期発見・治療し、二次的脳損傷を軽減する。

疫学と病因

ヘルペス脳炎(Herpes Simplex Virus encephalitis, HSV脳炎)は先進国における最も頻度の高い散発性脳炎であり、年間発症は人口100万あたり2–4例と推定される希少疾患である。[2] 年齢分布は小児と高齢者でピークをとり、18歳未満が全体の約1/3、50歳超が約半数を占める。原因ウイルスは成人・小児例の90%以上でHSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)であり、一方、新生児や免疫不全患者ではHSV-2(2型)の関与も多い。実際、新生児ヘルペス脳炎の多くは産道感染によるHSV-2が原因となる。成人HSV脳炎の発症機序としては、既感染HSV-1の再活性化が約2/3を占め、残り約1/3は初感染によるものと推定される。再活性化したウイルスが三叉神経節や嗅神経経路を逆行性に中枢へ到達して側頭葉・辺縁系に潜在感染することで発症すると考えられている。実際には誘引なく突発することが多く、口唇ヘルペスなど末梢病変の先行はほとんど認めない。

危険因子としては、高齢(一般に60歳以上)、免疫不全状態(造血幹細胞移植や臓器移植後、HIV感染、免疫抑制剤内服など)、および治療開始の遅れが予後不良と関連する。[3] また妊娠末期〜産褥期は細胞性免疫の低下によりHSV再活性化のリスクが指摘されている。近年、先天性免疫応答経路の変異(例えばTLR3/IFN経路)を有する一部の人々でHSV脳炎感受性が高いことも報告されている。一度HSV脳炎を発症し治癒した患者でも、5〜10%程度に再発がみられ、その半数以上は初回治癒後2か月以内に発症するとされる。この再発の多くはウイルスの再燃ではなく二次性自己免疫性脳炎(特に抗NMDA受容体抗体関連)の機序と考えられており、治療後も注意深い経過観察が必要である(後述)。

病態生理

HSV脳炎の好発部位は大脳辺縁系、特に内側側頭葉と海馬、扁桃体であり、しばしば隣接する島回や帯状回、眼窩前頭皮質にも波及する。病理学的には出血性壊死を伴う激しい炎症反応が特徴で、初期にはリンパ球・マクロファージが血管周囲へ浸潤し、進行期には点状出血と神経細胞の壊死・好酸性封入体形成を伴う。HSV-1はHSV-2と比べ神経細胞にアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導する能力が高く、この差が免疫正常成人ではHSV-1脳炎が圧倒的多数を占める一因と考えられている。ウイルスは三叉神経節または嗅球に潜伏感染し、何らかの誘因で再活性化すると知覚神経節から脳実質へウイルス粒子が直接移行して急性脳炎を発症する。嗅神経経路の関与も示唆されており、これが側頭葉優位病変の原因とも考えられている。免疫抑制患者では発症がより緩徐で非典型的になりうる一方、全体としては免疫状態がHSV脳炎の発症頻度を大きく左右する明確なエビデンスはない(すなわち免疫健常者でも突発的に生じ得る)。未治療で脳内における感染は急速に周辺組織へ波及し、片側側頭葉からもう一方へ7〜10日で広がり約3週間で高度な壊死と炎症に至る。アシクロビル治療開始の有無で脳組織破壊のスピードは大きく変化し、治療により脳炎の波及が鎮静化すると考えられる。

臨床像

典型的なHSV脳炎は、数日間の感冒様症状に引き続き、発熱(90%以上)、頭痛および嘔気けいれん発作(全体の30–70%)とともに急性〜亜急性発症の意識障害を呈する。[4] 意識レベル低下は軽度の傾眠から昏迷まで様々だが、大多数の症例で何らかの意識変容がみられる。しばしば記銘力低下や見当識障害などの高次脳機能障害を呈し、人格変化・異常行動(例:軽度刺激で怒り出す、奇異な言動を示す等)が家族により指摘される。側頭葉病変による失語(優位半球の場合)や嗅覚消失・錯覚複雑部分発作(自動症を伴う)も重要な所見である。側頭葉から炎症が強く波及すると片麻痺や同名半盲などの局在徴候が出現することもあるが頻度は低い。髄膜刺激症状として項部硬直やKernig徴候は約80%で陽性となり、髄膜脳炎の病態を反映する。発症から1週間以内に両側の側頭葉障害症状(例:失語と言語理解障害、記憶障害など)が明瞭になることも知られる。

非典型例と予後

非典型例も少なくない。高齢者や免疫抑制患者では、発熱や頭痛を欠く症例もあり油断できない。とくに免疫抑制状態では明確な発熱を欠き、意識低下や精神症状のみが進行する"ぶら下がり型"経過も経験される。小児では痙攣発作が高率で、初発症状がけいれん・錯乱のみである場合もある。時に精神症状が先行し、統合失調症様の幻覚妄想状態で精神科受診後に意識低下が進行して診断が遅れる例も報告されている。周産期では母体がHSV-2の初感染産道保有者であった場合、児が新生児ヘルペスとして脳炎をきたすリスクが高い(後述の症例参照)。

治療しなければ致死率は70%以上に及ぶ重篤疾患であるが、[5] 適切な治療により約80–90%は救命し得る。しかし生存者の約半数には記憶障害や人格変化、てんかん発作などの後遺症が残り、完全社会復帰に至るのは約50%との報告もある。予後不良因子は前述の高齢・免疫不全に加え、発症時の意識障害が重度であること、そしてアシクロビル治療開始の遅れである。逆に言えば、意識清明で治療開始が早期であれば後遺症なく社会復帰できる可能性も高い。

鑑別診断

急性脳炎症候を呈する疾患は多岐にわたるが、HSV脳炎と鑑別重要な疾患として以下が挙げられる:

  • HHV-6脳炎(移植後辺縁系脳炎):ヒトヘルペスウイルス6型による脳炎。[6] 造血幹細胞移植後2〜6週間で発症する急性辺縁系脳炎で、発熱・健忘・けいれん発作・精神症状を呈する。HSV脳炎との鑑別は困難だが、好発背景(移植後)とMRI所見の違いが手がかりとなる。HHV-6脳炎では両側海馬〜扁桃体の対称性病変が典型で、HSV脳炎に比べ出血や腫脹が少ない(下表参照)。治療はホスカルネットやガンシクロビルで、アシクロビルには自然耐性を示すため注意する。
  • 抗NMDA受容体抗体脳炎(自己免疫性脳炎):近年増加が著しい傍腫瘍性・自己免疫性脳炎の代表。[7] HSV脳炎と異なり10〜30代女性に好発し、数週間〜1か月以上の経過で不眠や焦燥感に始まり、精神症状(幻覚妄想・異常行動)中枢性過運動(ジスキネジア)が前景となる。髄液細胞数は正常〜軽度上昇に留まることも多く、MRIは正常〜軽度の高信号影のみである場合が多い。脳波では極端なデルタブラシ(extreme delta brush)と呼ばれる特徴的徐波パターンが20–30%にみられる。多くは血清・髄液での抗体検査にて診断され(結果まで1–2週間要する)、治療は副腎皮質ステロイドパルス・免疫グロブリン療法・血漿交換に加え、重症例ではリツキシマブ・シクロホスファミド等の免疫抑制剤を用いる。HSV脳炎との関係では、HSV脳炎罹患後数週で二次的に本疾患を発症する例があり、HSV治療後に再燃様の症状悪化があれば本抗体の測定が推奨される。
  • その他の感染性脳炎:単純ヘルペス以外のウイルス性脳炎(VZV、EV、麻疹など)、細菌性髄膜脳炎(急性の意識障害と髄膜炎症状。髄液所見で鑑別)、リケッチア脳炎(日本では稀だが特徴的皮疹とダニ刺傷歴に留意)など。脳膿瘍(発熱・頭痛と局在症状。画像でリング状増強効果を示す膿瘍塊)、脳卒中(HSV脳炎は時に亜急性脳梗塞様発症を呈しうる。MRIで拡散強調異常の分布や血管走行との関係から鑑別)など非感染性疾患も鑑別にあがる。
  • 急性散在性脳脊髄炎 (ADEM):小児〜若年者に多い感染後自己免疫性脱髄。発熱に続き意識障害やけいれんを呈する点はHSV脳炎と類似し鑑別困難な場合がある。MRIで大脳白質や小脳・脊髄を含む多発病変を認めること、髄液中のウイルスDNA陰性、臨床経過がやや亜急性、ステロイド療法への反応良好な点などで鑑別する。
  • 急性壊死性脳症:小児に特有のインフルエンザ等に随伴するサイトカイン嵐起因の中枢病変。高熱と痙攣・意識障害だがウイルス自体は脳へ侵入していない(髄液は無菌性)。両側視床の出血性壊死というMRI所見が特徴的。遺伝素因が関与する。

以上の鑑別を踏まえ、HSV脳炎に絞った代表的3疾患の相違点を表1にまとめる。

特徴 HSV脳炎 (HSV-1型主要) HHV-6脳炎 (移植後辺縁系脳炎) 抗NMDA受容体脳炎 (自己免疫)
好発・誘因 季節差なく散発的。全年齢(高齢者と小児に多い)。既感染HSV-1の再活性化が2/3 造血幹細胞移植後2–6週に発症(2%程度)[8]。免疫低下時のHHV-6B再活性化 若年成人(10–30代女性中心)。卵巣奇形腫など腫瘍合併は約半数(女性)。HSV脳炎治癒後の二次性発症も約20–30%
症状経過 急性(数日以内)の発熱・頭痛、意識低下。側頭葉症状(失語・記憶障害)、けいれん(50%↑)が高頻度 急性または亜急性(数日〜1週)。高熱と健忘・せん妄が目立つ[9]。けいれん頻発し重積化も 亜急性(数週〜数月)。不眠や不安から始まり精神症状(幻覚・異常行動)、口部ジスキネジア等の運動異常、低換気・自律神経不安定を呈す。発熱や髄膜刺激は軽微
MRI所見 両側不対称の側頭葉内側病変(海馬・扁桃体)[10]。しばしば出血や腫脹を伴う。皮質拡散強調(DWI)高信号は初期から90%に検出 両側対称的な辺縁系病変(海馬・扁桃体)[11]。出血や浮腫は稀。造影効果は通常陰性 正常〜軽度異常が多い。高信号病変あっても辺縁系に限らず大脳皮質や脳幹にも及ぶことがある。約半数で正常像
髄液所見 単核球優位の細胞増多(10–200/mm³)、蛋白やや増加、糖正常。1割程度で赤血球混入。まれに細胞数正常も。HSV-DNA定性PCR陽性 細胞数20–100/mm³程度のリンパ球増多、蛋白軽度増加、糖正常〜軽度低下。HHV-6 DNA定性PCR陽性 細胞数正常〜中等度上昇(50未満が多い)、蛋白正常〜軽度上昇、糖正常。抗NMDA受容体抗体陽性(髄液での検出が確実)
脳波(EEG) 90%以上で何らかの異常。周期性一側性てんかん様放電(PLEDs)は約30%に出現(しばしば側頭部に周期性δ波)。その他徐波スローや焦点性棘波 全般または側頭部優位の徐波スロー、しばしばてんかん性放電を伴う。PLEDsは報告少ない 汎徐波スローが最多。極端なデルタブラシ(約20%)が特徴的。発作波は20–30%にみられる
治療・予後 アシクロビル静注14–21日間。致死率10–20%、約半数に記憶障害等の後遺症 ホスカルネット or ガンシクロビル静注2–3週間。治療に迅速反応しやすいが、報告によれば死亡率30–50%と高い(易感染宿主では予後不良) 免疫療法:ステロイドパルス・IVIG・血漿交換を組合せ、重症例はリツキシマブ等。治療に反応良好だが回復には数か月〜年単位かかること多い。自律神経不安定による死亡例も一部あり

凡例: HSV=Herpes Simplex Virus(単純ヘルペスウイルス)、HHV-6=Human Herpesvirus-6、NMDA=N-methyl-D-aspartate(NMDA型グルタミン酸受容体)、PCR=Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)。

診断アルゴリズム

HSV脳炎は「疑った時点で治療開始」が鉄則であり、確定診断と治療を並行する。【図1】に実践的なアルゴリズムを示す。

  1. 典型症状+発熱でHSV脳炎を疑ったら、ただちにアシクロビル開始:神経感染症が示唆される患者を診たら、まずHSV脳炎を念頭に置きます。救急外来到着後6時間以内を目標にアシクロビル静注10 mg/kg(実体重)q8hを開始します(腎機能に応じ後述の用量調整)。[12] 治療開始と同時に髄液検査(細胞数・生化学・培養、HSV-DNA PCR提出)、脳MRI(DWI/FLAIRなど)、脳波検査を実施します。細菌性髄膜炎の可能性が除外できない場合は広域抗菌薬(セフトリアキソン+バンコマイシン等)も経験的に併用します。
  2. HSV-PCR陽性で確定:髄液HSV-PCRが陽性であればHSV脳炎と確定し、アシクロビル治療を計14〜21日間継続します。[13] 治療効果判定のため、臨床経過を追いつつ14日目前後に髄液再検してPCR陰性化を確認することが推奨されます[14]。陰性化を待ってアシクロビルを終了し、経口移行は基本的に不要です(ごく一部の例で外来経口療法を継続する報告がありますが、標準的エビデンスはありません)。
  3. PCR陰性だがHSVを強く示唆する場合:初回髄液PCRが陰性でも、臨床像やMRIがHSV脳炎を示唆し他の診断がつかない場合、アシクロビルを継続しつつ48–72時間後に髄液再検します。再検でHSV-DNA陽性に転じる例が報告されており(特に発症24–48時間以内の早期検体で偽陰性の可能性あり)、陰性でも直ちに治療中止すべきではありません。再検してもHSV-PCR陰性の場合は、アシクロビル投与をいったん中止しつつ他の鑑別疾患の検査に注力します(例えば、HHV-6/7やVZVのPCR、抗体検査、自己免疫性脳炎マーカー、培養・16SrRNA検査など)。
  4. 他疾患の診断がついた場合:他の原因が判明した場合は、その疾患の治療に方針転換します。例えばHHV-6 PCR陽性であればホスカルネット等への変更[15]、抗体検査陽性で自己免疫性脳炎と判明すれば免疫療法の検討、細菌培養陽性であれば抗菌薬治療継続、脳膿瘍を示唆する所見が出れば外科的ドレナージ検討、といった具合です。
  5. 診断未確定例:稀に検査を尽くしても診断確定に至らない脳炎があります。その場合、症例個別に神経内科または感染症科専門医と協議し、脳生検を検討する段階になります。近年はPCRや抗体パネルの発達により生検に至るケースはごく少数です。得られた組織ではHSVに限らず未知の病原体検出や悪性リンパ腫の検索、自己免疫グリア炎症の評価が行われます。

検査

HSV脳炎が疑われる患者には以下の主要検査を速やかに行います。髄液検査(ルンバール)は確定診断の要で、禁忌(高度の頭蓋内圧亢進・脊髄空洞症など)がなければ必須です。

  • 髄液所見:外観は通常透明ですが、約1割で赤血球やキサントクロミーを呈します。細胞数はリンパ球優位の中等度増加(平均100/mm³程度)ですが、発症早期には好中球が優位になったり正常細胞数のこともあります。糖は正常域を保ち、蛋白は軽度上昇(50–100 mg/dL程度)が典型です。細菌性髄膜炎との鑑別には髄液中の乳酸値やグラム染色・培養が有用で、HSV脳炎では乳酸は正常〜軽度上昇(<3.5 mmol/L)、グラム染色陰性となります。一方、HSV-DNAのPCR検査は診断において最も重要です。感度95%、特異度99%以上と報告され、発症2–10日目の検体で陽性率が高くなります。治療開始から数日以内であればPCRの検出感度は保たれるため(少なくとも開始後3–4日間は陽性となる)、アシクロビル先行投与下でもただちに髄液検査を行うべきです[16]。逆に治療後2週間以上経過するとPCRは陰性化しうるため、治療終了前には一度陰性転化を確認します[17]。注意すべきは、発症早期採取で偽陰性の可能性がある点で、初回陰性でも疑いが残るなら48–72時間後に再採取してPCRを再試行します。このようにPCR陰性例でもHSV脳炎を完全には否定できないため、画像・臨床経過と合わせた包括的判断が重要です。なお、髄液中HSV特異抗体価の上昇も発症後2週間以降では補助所見となりますが、PCR普及後は測定される機会は稀です。
  • 頭部MRI:磁気共鳴画像(MRI)はHSV脳炎の診断におけるゴールドスタンダードです。造影CTでも側頭葉の低吸収域や軽度の造影効果が分かる場合がありますが、MRIと比べ初期検出感度は劣ります。MRIではFLAIRおよびT2強調像側頭葉内側を中心に高信号域を認め、病変は多くの場合片側性(両側でも左右非対称)です[18]。約半数に出血に由来するT1高信号SWI(磁化率強調像)での微小出血像を伴い、周囲に浮腫性腫脹がみられます。拡散強調画像(DWI)は発症早期(発症数日以内)でも病変描出に有用で、HSV脳炎の90%は初回MRIで何らかの異常所見が検出されます。病変は海馬や扁桃体、海馬傍回に及び、しばしば島皮質や帯状回、眼窩面へ広がります(病理学的には辺縁系に沿った広範な壊死性病変を形成)。一方、自己免疫性脳炎ではMRIが正常か極めて軽微な異常のみのこともあり、HSV脳炎との鑑別点となります。造影増強MRIではHSV脳炎でも必ずしも造影効果を伴わず、初期には造影陰性のことも多いですが、サブアキュート期には辺縁に不均一なリング状増強像を呈することがあります。
  • 脳波(EEG):脳波はHSV脳炎において診断特異度の高い所見を与えることがあります。約30%の症例では周期性一側性てんかん様放電(Periodic Lateralized Epileptiform Discharges; PLEDs)が側頭部優位に出現し、これは本疾患に比較的特徴的です。PLEDsは1–2Hz周期で棘波ないし鋭徐波複合が一側頭葉に繰り返し出現する所見で、急性期の限局性脳障害を反映します。また、PLEDsは非痙攣性てんかん重積(NCSE)の一表現型とも考えられており、臨床的にけいれんがみられない昏睡患者でも脳波上このパターンを呈している場合は積極的な抗てんかん治療が推奨されます。HSV脳炎患者のEEG全般では、PLEDs以外にも局所ないし全般性の徐波(δ波)や突発性の鋭波・棘波など何らかの異常が90%以上で認められます。脳波異常はしばしば発症早期から現れるため、画像検査より先行して脳炎の存在を示唆する場合があります。また、治療中の経過観察としても、鎮静下でのNCSEのモニタリングや遷延性意識障害の予後推定に有用です。可能であれば長時間ビデオ脳波モニタリングを行い、少なくとも1日1回は20–30分程度の記録で発作の有無をチェックすることが推奨されます。
その他の検査
  • 他疾患の診断がついた場合:他の原因が判明した場合は、その疾患の治療に方針転換します。例えばHHV-6 PCR陽性であればホスカルネット等への変更[19]、抗体検査陽性で自己免疫性脳炎と判明すれば免疫療法の検討、細菌培養陽性であれば抗菌薬治療継続、脳膿瘍を示唆する所見が出れば外科的ドレナージ検討、といった具合です。
  • 診断未確定例:稀に検査を尽くしても診断確定に至らない脳炎があります。その場合、症例個別に神経内科または感染症科専門医と協議し、脳生検を検討する段階になります。近年はPCRや抗体パネルの発達により生検に至るケースはごく少数です。得られた組織ではHSVに限らず未知の病原体検出や悪性リンパ腫の検索、自己免疫グリア炎症の評価が行われます。
  • その他の検査:血液検査では特異的所見は少なく、白血球増多やCRP軽度上昇がみられる程度です。免疫不全が疑われる場合はHIV抗体やCD4数測定も考慮します。自己免疫性の可能性がある場合、血清・髄液の自己抗体パネル(抗NMDA受容体、AMPA、GABA_B、LGI1、CASPR2など)の送検を検討します。抗体結果判明には1–2週間を要するため、他に診断がつかず自己免疫性が示唆される場合に神経内科と相談して行います。まれに脳生検が考慮されますが、侵襲が大きいため現実にはごく限られた症例にとどまります。検体中のHSV抗原・ゲノム検出や病理像で確定診断となりますが、前述のとおりPCRでほぼ代替可能です。

表2:HSV脳炎の主要検査・処置と保険適用

検査・処置 保険適用・算定のポイント(日本)
髄液HSV-DNA定性PCR検査 保険適用あり(感染症核酸検出〈高度〉)。実施には髄液1–2mL程度要。自費の場合3–5万円程度。
脳MRI(DWI/FLAIR撮影) 保険適用あり。造影撮影も必要なら併用可(造影剤加算あり)。救急外来で時間外撮影した場合の加算あり。
脳波検査(EEG) 保険適用あり。通常20〜30分間の記録。てんかん重積疑いで長時間記録する場合、時間超過加算を算定(2時間以上など施設基準により)。
アシクロビル静注療法 保険適用あり(薬価収載)。後発医薬品あり安価。腎機能に応じた減量必要(詳細は付録表4)。
ガンシクロビル・ホスカルネット療法 HSV脳炎には適応外だが、HHV-6脳炎等で使用。ホスカルネットは国内未承認(輸入申請にて使用可能)。
自己抗体検査(抗NMDA受容体 等) 保険適用あり(検査料:免疫学的検査)。中枢神経炎疑いで医師判断により保険算定可能。外部委託検査。
脳生検 保険適用あり(神経生検手術料)。定位的脳生検はDPC包括から除外算定。高度医療機関で実施。

初期対応と支持療法

HSV脳炎が疑われた時点で、診療チームは脳ヘルニアを含む神経救急対応抗ウイルス治療の早期開始を同時並行で進めます。救急室やICUでの初期対応のポイントを以下に整理します。

  • 気道・呼吸管理:重度意識障害やけいれん重積がある場合は気道確保が最優先です。気道保護が不十分なら気管挿管し、鎮静下で人工呼吸管理とします。軽度意識障害でも誤嚥リスクが高いため、嚥下反射低下時は経鼻エアウェイ挿入や吸引を行い、必要に応じ挿管を検討します。ICU収容時はベッド頭側挙上30度とし誤嚥性肺炎予防に努めます。
  • 循環・体温管理:循環動態が不安定な場合(高熱による脱水、けいれんによる交感神経亢進など)は生理食塩水等で適度に輸液し、必要に応じ昇圧薬で目標血圧を維持します。高熱(>38.5℃)は脳代謝を亢進させるため、クーリングや解熱剤で体温38℃以下を目標に管理します。
  • 頭蓋内圧コントロール:重度の脳浮腫徴候(頭痛増悪、嘔吐、除脳硬直様の異常肢位、瞳孔不同など)があれば、マンニトール高張食塩水の静注で脳圧降下を図ります。換気管理では頭蓋内圧亢進が疑われる場合、一時的に過換気(PaCO_2 30–35mmHg)としてもよいですが、長時間の過換気は脳虚血リスクのため慎重に行います。けいれん重積の場合は鎮静薬で脳代謝抑制を兼ねます。脳ヘルニア徴候が迫る場合には直ちに脳神経外科コンサルトし、減圧開頭術も検討します。
  • 低ナトリウム血症への対応:中枢神経感染症では抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による低Na血症がしばしば見られます。血清Naが130 mEq/L未満に低下した場合は、まず輸液を低張液→等張液に切り替え、水分制限を検討します。Na 125 mEq/L以下では意識障害や発作の誘因となるため、3%高張食塩水による緩徐な補正も考慮します(急激な補正は橋中心髄鞘崩壊を誘発しうるため1日8 mEq/L以内の上昇にとどめます)。
  • 抗ウイルス療法の開始:初期対応と並行して、アシクロビル(ACV)静注を可能な限り早く投与します。具体的には10 mg/kg(実体重)を1日3回(q8h)、1回1時間かけて点滴静注します。体重は肥満例では理想体重を用いることもありますが、重症患者では筋肉減少も多く実体重で過量投与となるリスクは低いため、原則実測体重で算出します。腎機能に応じて適宜減量・間隔延長が必要で(後述の「抗ウイルス治療」セクションと付録表4参照)、初回投与前にクレアチニン値を必ず確認します。投与中は十分な補液(1日2–3L程度の維持点滴)を行い、シープリングも視野に入れつつACVの腎排泄を促します。臨床的にはACV投与と同時に脳炎パネル(血液培養、髄液検査、PCR提出、各種迅速診断)が走り出している状態が望ましく、この「治療が検査に優先する」姿勢が救命の鍵です。なお、アシクロビル投与中は腎機能(特にeGFR)を48時間毎にチェックし、上昇傾向あれば早期に用量見直しを行います。腎毒性で最も多いのはACV結晶性腎症で、尿細管内に析出した結晶が閉塞性腎障害を起こします。予防には上述の十分な補液と投与速度遵守が有効で、万一Cr上昇がみられた場合は投与間隔延長や減量で対応します。重症急性腎障害に至った場合は一時的に血液透析でACVクリアランスを図ることも検討されます(ACVの透析除去率は高い)。
  • 抗けいれん薬の開始:けいれん発作があればジアゼパムなどで速やかに止痙し、続いて抗てんかん薬の継続投与を開始します。第一選択は相互作用が少なく腎排泄型のレベチラセタム静注 500〜1000 mgを1日2回です(腎機能低下時は半量)。意識障害やけいれん重積で挿管・鎮静下の場合は、ミダゾラム・プロポフォールによる持続鎮静も有効ですが、鎮静下で脳波を監視しつつ漸減していく計画が必要です。非鎮静下でも脳波検査により非痙攣性発作が疑われる場合は、フェニトインバルプロ酸を追加することがあります。長期管理となった場合、発作既往がなければ抗けいれん薬は減量中止を検討しますが、症候性てんかんを残した場合は退院後も神経内科で継続治療が必要です。
  • 昇圧・ステロイド補助:血圧低下やショックがある場合、ノルアドレナリンなど昇圧薬で対応します。副腎不全が否定できない状況(長期ステロイド内服者など)では、ヒドロコルチゾン静注も考慮します。なお副腎皮質ステロイドの併用そのものはHSV脳炎の一次治療としてRoutine推奨されてはいませんが、重度の脳浮腫を抑制する目的や、自己免疫性脳炎との鑑別がつかないケースで試験的に併用することがあります。具体的にはデキサメタゾン静注 6–10 mgを1日2回や、メチルプレドニゾロン 500–1000 mg/日を3–5日間のパルス投与する方法があります。ステロイド使用の際は二次感染に注意しつつ、高血糖や消化管潰瘍予防策も講じます。
  • その他の支持療法:発熱にはアセトアミノフェンやクーリングで対処し、過度な代謝亢進を抑えます。疼痛や不穏があれば適宜鎮痛剤・鎮静剤を用います。長期臥床が見込まれる場合、深部静脈血栓(DVT)予防として間欠的空気圧迫や弾性ストッキングを装着し、出血リスクが低ければヘパリン皮下注も検討します。尿道カテーテル留置時は尿路感染に注意し、毎日の水分出納管理で脱水・過負荷を防ぎます。体力低下した患者では褥瘡予防の体位変換を行い、褥瘡好発部位の皮膚保護に努めます。

抗ウイルス治療

アシクロビル(ACV)療法

アシクロビル(Acyclovir)はHSV脳炎治療の第一選択薬です。核酸アナログの抗ウイルス薬で、HSVのチミジンキナーゼによるリン酸化を受けた後、ウイルスDNAポリメラーゼを競合的に阻害します。1980年代に本薬が導入されるまではHSV脳炎の死亡率は70–80%に及びましたが、現在は適切なACV治療により死亡率10–20%程度まで改善しています。[20] また6か月後の予後も明らかに向上し、2件のRCTにてアシクロビル投与群の生存率向上が確認されています。

投与量と期間:推奨用量は10 mg/kg(実体重ベース)静注を8時間毎です。成人では腎機能正常であればこの用量で開始し、目標最小治療期間は14日間とされます。免疫不全患者(例:HIV/AIDSや移植後、ステロイド大量投与中など)では21日間程度まで延長することが推奨されます。治療終了前(14–21日目)に髄液HSV-PCRを再検し陰性化を確認して中止するのが理想的です。PCRがなお陽性の場合は治療継続を検討します[21]。一方、臨床的に全く後遺症なく回復しPCR再検が困難な場合など、PCR陰性確認なしで終了することも現実にはあります。その場合も最低10–14日間は治療を継続し、画像上の炎症所見が改善傾向であること、発熱がないこと、全身状態が安定していることを確認します。小児では体格により20 mg/kg q8hまで用いることもあります(新生児HSV脳炎は20 mg/kg q8hを21日間が標準)。高齢者では原則用量は同じですが腎機能低下が多いため必ず投与前にeGFRを確認します。投与期間中は定期的に腎機能・肝酵素・血球をモニターし、副作用発現に留意します。

副作用:アシクロビルは選択毒性が高く比較的安全な薬剤ですが、それでも一定の割合で有害事象がみられます。代表的なのは腎障害(急性尿細管壊死や結晶析出)で、5–10%程度にクレアチニン上昇が報告されています。予防には十分な補液と投与速度の遵守(1回投与1時間かける)に尽きます。また、投与中に精神神経症状(振戦、せん妄、意識低下など)を呈することがあり、これはアシクロビル脳症と呼ばれます。主に腎機能低下によりACVが蓄積した場合に生じ、血中濃度の上昇と相関します。軽症例では投与速度を落とすだけでも改善しますが、中等度以上では投与中止や血液透析が必要です。その他、静脈炎(末梢ライン投与時に血管痛や炎症)、消化器症状(悪心・下痢)、骨髄抑制(稀)などが報告されています。いずれも重篤度は高くなく、適切なモニタリング下で安全に使える薬剤です。

投与中止基準:原則は14–21日のコースを完遂することですが、治療開始後数日で劇的に覚醒し別疾患と判明した場合などは中止を検討します。HSV脳炎と確定診断した場合、最低10日間は投与すべきとされており、これより短期間で中止すると再燃リスクがあります。治療終了は上述のように臨床所見の改善+PCR陰性化で総合判断します。終了時にMRIを再撮像し炎症の消退や液化を確認する施設もあります。治療終了後の患者には、家族へ再発時のサイン(意識状態の悪化や新たな精神症状出現)の説明を行い、何かあればすぐ受診するよう伝えます。再発疑い時には、抗体関連脳炎の可能性を含め精査が必要です。

バラシクロビル/ファムシクロビル:経口抗ヘルペス薬であるバラシクロビル(Valaciclovir)ファムシクロビル(Famciclovir)はHSV脳炎急性期には用いません。バラシクロビルは経口投与でアシクロビルと同等の血中濃度が得られますが、髄液移行性は劣るとされます。したがって入院後期に経口薬へ切り替える"ステップダウン療法"は原則推奨されません。一部の軽症例でアシクロビル10日間後にバラシクロビルを更に10日間追加投与した報告もありますが、定石ではありません。実臨床では、例えば14日間アシクロビル点滴後にPCR陰性を確認し、その後予防的に経口バラシクロビル500 mgを1日2–3回で2週間内服して終えるケースもありますが、これによる再発予防効果は明らかでありません。基本は十分なIV期間(14–21日)を確保して治療完遂することが大切です。

治療抵抗例への対策

アシクロビル治療中にも関わらず臨床症状や画像が悪化し、髄液中HSV-DNAが減少しない場合は治療抵抗性HSV脳炎を考えます。特に免疫不全患者ではACV耐性HSVが原因となる可能性があります。そのような場合、アシクロビルにビダラビン(アデニンアラビノシド)15 mg/kg/day 1回静注の追加や、ホスカルネット40 mg/kg q8h静注への変更が推奨されます。ビダラビンは1970–80年代にHSV脳炎治療の主体でしたが、アシクロビル登場後は一般に使用されません。ただ耐性ウイルスには有効性を示すことがあります。ホスカルネットはDNAポリメラーゼ阻害薬で、サイトメガロウイルス脳炎などにも使われますが、日本では未承認のため治療薬確保にハードルがあります(輸入申請が必要です)。実際の使用にあたっては専門家コンファレンスで方針決定します。なお、真のアシクロビル抵抗性HSVは非常に稀です。多くの症例ではアシクロビル投与遅延や免疫不全そのものが原因で臨床経過が遷延しており、抗ウイルス薬を変更せず治療期間を延長するだけで最終的に陰性化する場合もあります[22]

併用療法の是非

副腎皮質ステロイド併用

HSV脳炎急性期に副腎皮質ステロイド(ステロイド)を併用するか否かは議論があります。ステロイドは脳炎に伴う炎症・浮腫を軽減しうる反面、ウイルスクリアランスを妨げる可能性も懸念されます。過去の観察研究や動物モデルでは、アシクロビルにステロイドを加えることで炎症性サイトカインの過剰応答を抑え転帰が改善するとの結果もあり、イギリスではDexEnceph試験(HSV脳炎にステロイド併用のプラセボ対照試験)が進行中です。しかし2023年時点で確立したエビデンスはなく、最近のメタ解析でも「ステロイドRoutine使用を支持する十分な根拠はない」と結論されています。[23] したがってステロイド併用は現状Routine推奨されず、ケースバイケースの判断となります。

現実の臨床では、重度の脳浮腫に伴い脳ヘルニアのリスクが高い場合や、自己免疫性脳炎との判別が難しい場合に限り、ステロイドを試験的に投与することがあります。典型的にはデキサメタゾン 6〜10 mgを1日2回またはメチルプレドニゾロン 500〜1000 mg/日を3〜5日間パルス投与し、以後速やかに漸減します。ステロイド併用により細胞障害性の炎症が緩和され、脳浮腫や血管炎性変化が軽減する可能性があります。ただし奏効判定が難しく、感染症への二次影響にも注意が必要です。以上より、ステロイドの使用判断は神経内科専門医の関与下で慎重に行うべきです。

抗てんかん薬とけいれん管理

HSV脳炎では全患者の少なくとも半数が急性期にけいれん発作を経験し、その一部は臨床的に明らかな痙攣を伴わない非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)となります。[24] 持続するてんかん発作は二次的な脳障害を引き起こし予後を悪化させるため、積極的なけいれん管理が重要です。

発作を認めたら速やかにベンゾジアゼピン系(ダイアゼパム0.3 mg/kg静注等)で止痙し、直ちに抗てんかん薬(ASM)の静注を開始します。第一選択はレベチラセタム(LEV) 1,000〜3,000 mg/日(分2静注、負荷量として15–30 mg/kg静注)です。LEVは腎排泄型で相互作用が少なく、肝機能障害や多剤併用下でも扱いやすい利点があります。腎機能低下時は半量から開始します。LEVで抑制不十分な場合、次いでホスフェニトイン(またはフェニトイン)15–20 mg PE/kgを緩徐静注します。高齢者ではフェニトインの不整脈リスクがあるため避け、代替としてバルプロ酸(VPA) 15–30 mg/kgを負荷投与してもよいでしょう。NCSEが疑われ鎮静管理に入る場合、ミダゾラム持続静注プロポフォール静注で脳波上てんかん性活動の消失を目指します(脳波を見ながら漸増し、完全抑制が24時間続いたら漸減中止する手順)。鎮静下の管理にはビデオ脳波モニタリングが必須です。

発作消失後も抗てんかん薬の内服は少なくとも数か月継続し、以後は外来で神経内科の指示の下に漸減中止を検討します。HSV脳炎後は側頭葉てんかんを後遺することも多く、退院後も長期にASMを継続するケースがあります。特に初発時けいれん重積であった例や、MRIで海馬硬化が残存した例では、慢性てんかん化する割合が高いとされます。そのためフォローアップでは定期的に脳波検査を行い、臨床発作がなくても過度に早期の薬剤中止は避けます。

その他の補助療法

  • 免疫グロブリン療法:HSV脳炎そのものへの有効性は不明ですが、免疫不全例で重篤な全身状態の場合、大量免疫グロブリン静注(IVIG)が行われることがあります。IVIGは抗ウイルス効果というより免疫調整効果を期待しており、敗血症を併発した例などで検討されます。またHSV治療後に自己免疫性脳炎へ移行した場合にもIVIGが使用されます。
  • 抗菌薬・抗真菌薬併用:初期に細菌性髄膜炎との鑑別がつかない状況では、経験的抗菌薬治療をACVと併用します。典型的にはセフトリアキソン+バンコマイシン(リステリアカバーにアンピシリン追加も)を髄膜炎用量で投与し、グラム染色や培養結果で細菌性が否定された段階で中止します。免疫低下ではクリプトコッカス髄膜炎なども鑑別にあがるため、必要に応じ抗真菌薬(アムホテリシンB)も考慮します。
  • リハビリテーション開始:急性期を脱したら、可能な範囲でリハビリ介入を早期に始めます。ベッド上で関節可動域訓練を開始し、座位保持や嚥下評価を行います。誤嚥リスクが低下すれば経口摂取訓練を開始し、PT/OTによる起立・歩行訓練、高次機能訓練を実施します。多くの患者で注意障害や記憶障害が残るため、作業療法士(OT)や臨床心理士による認知リハビリを導入します。必要に応じて言語聴覚士(ST)による失語症訓練も行います。リハビリは早期開始が廃用症候群予防に重要ですが、病勢が不安定なうちは過負荷とならないよう注意が必要です。

フォローアップと合併症

急性期合併症

HSV脳炎の急性期には様々な合併症が発生しえます。上記した脳ヘルニアDIC腎不全けいれん重積などは生命に関わる重大な合併症です。集中治療室ではそれらを集中的に管理します。特にSIADHによる低Na血症は高頻度で、Na低下はけいれん閾値を下げ病態を悪化させるため見逃せません。また、脳炎に続発する脳梗塞にも注意します。HSV脳炎では壊死や血管炎性の変化から側副血行不全や血栓が生じ、脳動静脈の閉塞・出血が起こることがあります。脳MRIで拡散強調画像のフォローを行い、新たな急性虚血病変がないか監視します。必要に応じて抗血小板療法や脳血管攣縮への対応を検討します。

後遺症とリハビリ

救命できた患者でも、約50%に何らかの神経後遺症が残るとされます。[25] 特に記憶障害(健忘)が顕著で、短期記憶の定着障害やエピソード記憶の抜け落ちが問題となります。具体的には、新しい出来事をすぐ忘れてしまう、新しい単語を覚えられない、約束の日時を忘れる、といった高次記憶障害です。これは両側内側側頭葉(海馬)のダメージによるKorsakoff様健忘症候群に近い状態で、本人の生活の質に大きく影響します。作業療法や臨床心理士の指導の下、メモリー帳の活用や構成的リハビリテーションで対処します。

人格変化・情動障害もしばしば問題となります。易怒性や意欲低下、うつ症状、不安発作などが現れ、家族のサポートが必要です。必要に応じ精神科支援や抗うつ薬・抗不安薬の処方を検討します。また側頭葉てんかんの後遺により、退院後にてんかん発作が再燃することもあります。特に光刺激や睡眠不足で誘発されやすいため、生活指導を行い、抗てんかん薬は少なくとも半年〜1年は継続します。退院後は定期的に神経内科外来で脳波検査をフォローし、発作が完全に消失・脳波も正常化すれば漸減中止を検討します。

復職や社会復帰については、記憶障害や人格変化の程度によって判断が分かれます。軽度障害であれば職場に理解を求めつつ復帰が可能ですが、重度の記憶障害例では専門施設での高次脳機能障害リハビリプログラム参加を経て、段階的に社会生活へ戻ることを目指します。家族にも症状を理解してもらい、必要なら介護保険サービスや障害者手帳の申請も検討します。

二次性自己免疫性脳炎

HSV脳炎からの再燃には2パターンあります。一つは治療不十分によりHSVが再活性化した場合で、これは極めて稀です。もう一つが近年注目される抗体介在性脳炎の発症です。HSV脳炎罹患後、約20–30%に抗NMDA受容体抗体などを原因とする自己免疫性脳炎が発症すると報告されています。[26] 典型的にはHSV治療でいったん意識清明となった患者が、数週間後に幻覚や興奮、不随意運動の出現とともに再度意識障害を呈します。この場合、髄液PCRは陰性のままで細胞数が再上昇し、MRIで新たな辺縁系病変が増強することがあります。確定には抗NMDA-R抗体等の検出が必要ですが、検査には時間がかかるため、早期からステロイドパルスIVIGを行い治療開始します。その後抗体結果が陽性であれば、リツキシマブ等を追加した自己免疫性脳炎の治療プロトコルへ移行します。HSV脳炎経験者に新たな精神症状や運動異常が出現した場合、この二次性自己免疫性機序を見逃さないことが大切です。

ピットフォール(診療の落とし穴)

HSV脳炎診療で陥りやすい落とし穴をまとめます。

  • 「初期検査陰性で除外」と判断しない:初回髄液検査や画像検査が正常でもHSV脳炎は否定できません。特に発症早期は偽陰性があり得るため、臨床像に矛盾がなければ治療継続し再検査する姿勢が重要です。
  • アシクロビル開始の遅れ:確定診断をつけようと腰椎穿刺や画像待ちで治療が遅れると、予後が著しく悪化します。「疑ったら迷わず治療開始」を徹底します。搬送や紹介の段階でも、紹介元でアシクロビルを投与してから搬送する取り決めを地域内で共有することが望ましいです。
  • 抗菌薬ばかりに囚われる:発熱+意識障害=敗血症性せん妄・菌性髄膜炎と早合点し、抗菌薬だけ投与している間にHSV脳炎治療を逃すケースがあります。抗菌薬治療は大事ですが、ウイルス脳炎も常に念頭に置きます。
  • 腎機能チェック不足:アシクロビル投与量は腎排泄型のためeGFRに応じ調整が必要です(付録表4)。腎機能低下例に常用量を続けると蓄積性の中枢毒性を引き起こします。開始前および投与中の血液検査モニタを怠らないことが重要です。
  • 水分管理の軽視:脳炎患者は発熱・発汗や経口摂取不良で脱水になりがちです。腎前性腎不全によるACV血中濃度上昇にもつながります。輸液や経口補水で適切な水・電解質バランスを保ちます。またSIADHによる低Na血症が潜在するので、ルーチンで電解質を監視します。
  • 非痙攣性発作の見逃し:鎮静していないにもかかわらず昏睡が遷延する場合、脳波上はNCSE(非痙攣性重積)となっていることがあります。焦点の当たる治療(抗ウイルス)だけでなく、脳波検査による見えない発作の評価にも意識を払い、必要時はけいれん重積の治療アルゴリズムに沿って管理します。
  • 感染対策の盲点:HSV脳炎そのものは人から人へ伝染しませんが、意識障害患者のケアでは誤嚥性肺炎や尿路感染など二次感染に注意が必要です。清潔ケア・口腔ケアの徹底、必要最小限の尿道カテ留置など基本的感染対策を怠らないようにします。

日本の保険・実務ポイント

HSV脳炎診療に関連する日本の制度・診療報酬上の留意点をまとめます。

  • 感染症法による届け出:HSV脳炎は「急性脳炎(クロイツフェルト・ヤコブ病及び日本脳炎を除く)」として五類感染症定点把握疾患に指定されています。全ての医師に直ちに届出義務がある1〜4類とは異なり、全国約500カ所の定点病院から発生数が報告される仕組みです。つまり担当医は診断したら最寄り保健所に所定様式で届出を行います(発生動向調査目的であり、患者隔離など措置は不要です)。
  • 医療費助成:HSV脳炎自体には公費負担制度(難病指定等)はありません。ただし重度後遺症が残存し障害者手帳取得となった場合や、てんかん発作が継続する場合には各種障害者年金・補助の対象となり得ます。また高額療養費制度により1か月自己負担額の上限が所得に応じ定められています。アシクロビルは後発薬もあり薬剤費は比較的安価ですが、ICU管理やMRI多数回、リハビリなどで入院費用は高額になることが多く、医療ソーシャルワーカーが患者・家族に制度説明を行うと良いでしょう。
  • チーム医療と他科連携:HSV脳炎診療は神経内科・救急科・集中治療科・感染症科が協働する領域です。初療段階では救急科と神経内科が中心となり、ICU入室後は集中治療科(いない場合は救急科)が生命維持管理を担当します。神経内科医は治療経過の判断や合併症管理に継続的に関与します。必要に応じ脳神経外科(減圧術の判断)や精神科(せん妄対応)、リハビリ科(後遺症リハ)とも連携します。特に重度後遺症が予想される場合、地域包括ケアの視点でリハビリ職・MSW・訪問看護など多職種カンファレンスを行い、退院後を見据えた計画を立てます。
  • 院内感染対策:HSV自体は飛沫・空気感染しませんので、通常は標準予防策(スタンダードプリコーション)のみで対応可能です。ただしHSV-1は唾液中に排出され得るため、口唇ヘルペス発症中の患者の唾液には触れない配慮が必要です。医療従事者は手袋・手指衛生を徹底し、感染性廃棄物(吸引物や血液)も通常の血液・体液と同様の取り扱いを行います。なお患者が新生児の場合(新生児ヘルペス脳炎)は産道感染由来であり、母子ともに産婦人科と連携して適切な感染対策下に治療を進めます。
  • 地域搬送システム:HSV脳炎が疑われた時点で、もし対応力が不十分な小規模病院であれば早期に高次医療機関へ搬送を検討すべきです。搬送に時間を要する場合でも、事前にアシクロビルを投与してから搬送開始します(特に地方では発症から診断治療までの時間短縮が命に直結します)。多くの地域では基幹病院の神経内科医がオンコールで相談を受け付けているため、疑えば積極的に専門医に連絡することが推奨されます。救急隊への依頼時も「ヘルペス脳炎疑いでアシクロビル投与開始」と情報提供することで、受入先に確実に神経内科コンサルトがかかるよう配慮します。

症例ミニバレット

  • 典型例: 65歳男性。2日前から発熱と頭痛が出現し、本日朝から呼びかけに反応しないため救急搬送。体温38.8℃、JCS200、項部硬直陽性。右口角から唾液を流しうわ言を反復。頭部MRIで左海馬のFLAIR高信号と軽度出血を認めた。髄液は単核球300/mm³、蛋白85 mg/dL、糖66 mg/dL。HSV-PCR陽性を確認し、アシクロビル14日間投与。入院1か月後に軽度健忘を残し自宅退院。
  • 免疫不全例: 52歳女性。全身性エリテマトーデス(SLE)でプレドニゾロン20mg/日内服中。発熱なく倦怠感と抑うつ傾向が数日続いた後、自宅で傾眠状態となり救急搬送。髄液所見はリンパ球15/mm³と軽度の炎症所見で、初回HSV-PCR陰性。造影MRIで両側扁桃体にFLAIR高信号を認めHSV脳炎を強く疑いアシクロビル開始[27]。48時間後の髄液再検でHSV-DNA陽性。21日間治療後も注意障害とてんかん発作を残し、リハビリ病院へ転院。
  • 産褥期例: 28歳女性。正常分娩で第一子を出産後7日目に、38℃台の発熱と頭痛が出現。産科病院で産褥熱として経過観察されていたが、第10産褥日に突然けいれん発作を起こし当院神経科紹介。来院時GCS E2V3M5、会話は意味不明で幻視を呈する。髄液はリンパ球120/mm³、蛋白68 mg/dL、HSV-PCR陽性。アシクロビル開始48時間後には見当識が改善。新生児へのHSV感染は確認されず。14日間の治療で無事回復し育児に復帰。後に卵巣腫瘍はなく、自己抗体も陰性だった。

患者・家族への説明用短文

「ヘルペス脳炎は、ヘルペスウイルスが脳に入って起こる重い脳の感染症です。急に意識が悪くなったり発作が起きますが、早期に抗ウイルス薬(アシクロビル)を点滴することで助かる可能性が大きく高まります。治療は2〜3週間ほど入院が必要で、その間は集中治療室でしっかり経過をみます。治療により多くの方は回復しますが、後遺症として記憶力の低下などが残る場合があります。リハビリやお薬でサポートしながら、ご本人が生活に戻れるようお手伝いしていきますので、一緒に頑張っていきましょう。」

チェックリスト(監修用)

  • [ ] 治療開始:HSV脳炎を疑ったら6時間以内にアシクロビル開始できたか。抗菌薬も適宜併用。
  • [ ] 用量確認:アシクロビル10 mg/kg q8h(腎機能に応じ調整)で投与中か。十分な補液を行っているか。
  • [ ] 診断確定:髄液HSV-PCRを施行したか。初回陰性でも、48–72時間後に再検を行ったか。必要なら自己抗体や他ウイルスの検査も送付。
  • [ ] ケア:脳浮腫の有無をチェックし頭位挙上・静脈管理。SIADHによる低Naに注意し水分出納を管理したか。褥瘡・誤嚥・尿路感染の予防策を講じたか。
  • [ ] けいれん対策:痙攣発作があればベンゾジアゼピン投与→抗てんかん薬導入したか。脳波検査で非痙攣性重積の評価を行ったか。発作が続く場合、ICUで鎮静下治療を行ったか。
  • [ ] 併用療法:重篤な脳浮腫・血管炎徴候があればステロイドパルスを検討したか。自己免疫性疑いなら免疫グロブリン療法等を考慮したか。
  • [ ] 治療期間:アシクロビル投与を14〜21日間確保できたか。治療終了前に髄液再検しPCR陰性転化を確認したか。
  • [ ] 後期リハビリ:急性期から早期にリハビリ開始したか。退院前に高次脳機能評価を行い、必要なら専門リハ施設を検討したか。
  • [ ] 退院・フォロー:本人・家族に病状と後遺症について十分説明したか。転帰に応じて障害者手帳や訪問サービス等の情報提供を行ったか。神経内科・精神科外来フォロー体制を整えたか。

主要文献

  1. 日本神経感染症学会ほか. 単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017. 南江堂; 2017.
  2. Granerod J, et al. New estimates of incidence of encephalitis in England. Emerg Infect Dis. 2013;19(9):1455-1462.
  3. Solomon T, et al. Management of suspected viral encephalitis in adults – Association of British Neurologists and British Infection Association National Guidelines. J Infect. 2012;64(4):347-373.
  4. Tunkel AR, et al. The management of encephalitis: clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2008;47(3):303-327.
  5. Mark Ellul, Tom Solomon. Acute encephalitis – diagnosis and management. Clin Med (Lond). 2018;18(2):155-159.
  6. Bradshaw MJ, Venkatesan A. Herpes Simplex Virus-1 encephalitis in adults: pathophysiology, diagnosis and management. Neurotherapeutics. 2016;13(3):493-508.
  7. Marcelis S, et al. Human Herpesvirus-6 Encephalitis. J Belgian Soc Radiol. 2022;106(1):93.
  8. Hodzic E, et al. Steroids for the treatment of viral encephalitis: a systematic literature review and meta-analysis. J Neurol. 2023;270(7):3603-3615.
  9. Herpes Simplex Encephalitis. Encephalitis Society Information [Internet]. (accessed 2025-08-19).
  10. Zovirax (acyclovir) – Prescribing Information. Medscape Reference [Internet]. (accessed 2025-08-19).

更新日: 2025-08-19

付録

表3:検査の感度・特異度と至適タイミング

検査 感度・特異度 最適採取タイミング・留意点
髄液HSV-DNA PCR(定性) 感度95%、特異度99%以上 発症2〜10日目で陽性率最大。治療早期でも有用。陰性でも48h後に再実施。
脳MRI(FLAIR/DWI) 感度90%以上(初回MRI) 発症2–3日以内でも異常検出90%。DWIで初期病変検出。正常でも臨床優先(再撮像検討)。
脳波(EEG) 感度90%以上、特異度およそ70% 発症早期から異常出現。PLEDs出現は~30%。NCSE除外に有用。
髄液HSV抗体価 感度80–90%、特異度90%以上 発症10–14日以降に上昇。PCR陰性・治療後例の補助診断(通常は不要)。
抗NMDA受容体抗体(髄液) 感度・特異度ともに>90% HSV脳炎後2–6週以降に測定(再燃症状時)。結果判明に1–2週。
HHV-6 DNA PCR(髄液) 感度・特異度ともに>95% 移植後2–6週の辺縁系脳炎で送検。結果判明に数日。治療はガンシクロビル/ホスカルネット。

表4:アシクロビル静注の腎機能別投与レジメン

腎機能 (eGFR換算) 推奨投与量と間隔 備考
eGFR > 50 mL/min 10 mg/kgを8時間毎 (q8h) 標準用量。1回1時間かけ静注。
eGFR 25–50 mL/min 10 mg/kgを12時間毎 (q12h) 間隔延長。補液を十分に。
eGFR 10–25 mL/min 10 mg/kgを24時間毎 (q24h) さらに腎機能悪化に注意。
eGFR < 10 mL/min(末期腎不全) 5 mg/kgを24時間毎 (q24h) 用量半減。
血液透析(HD)患者 透析毎に2.5–5 mg/kg投与 透析で50–60%除去。透析終了後に投与。
持続透析(CRRT)患者 10 mg/kgを12–24時間毎 CRRTで一部除去。中毒兆候に注意し調節。
肥満患者(BMI > 30) 実測体重または理想体重で投与計算 必要時、理想体重(IBW)で投与量再評価。

図2:HSV脳炎の治療フローチャート(急性期治療からフォローアップまで)

  A[HSV脳炎疑い] -->|治療開始
抗ウイルス薬/支持療法| B(集中治療管理
アシクロビル14-21日間) B -->|経過良好| C[治療終了] B -->|臨床悪化 or PCR陽性持続| D{治療方針再評価} D -->|治療抵抗性HSVの疑い| E[抗ウイルス薬変更
(ホスカルネット等併用)] D -->|自己免疫性脳炎の疑い| F[免疫療法併用
(ステロイド/IVIG等)] D -->|代替診断確定| G[他疾患治療へ
(抗菌薬等に変更)] C --> H(後遺症評価
リハビリ計画) H -->|高次機能障害| I[リハビリ継続
(作業療法・心理士)] H -->|てんかん発作| J[抗てんかん薬継続
(外来フォロー)] H -->|重度障害| K[地域支援制度
(訪問看護・障害認定)] I --> L[社会復帰支援
(復職相談など)] K --> L J --> L

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