脳神経内科医のリアルなAI活用術 ― 診療・研究会・ブログ・動画、全部AIと一緒にやってます

はじめに ― AIにどっぷり浸かる日々

気がつけば、仕事のあらゆる場面でAIを使うようになっていました。ブログ記事の執筆、動画の制作、学会の座長準備、そして日常の外来診療まで。「AIを使っている」というより、「AIと一緒に仕事をしている」という感覚に近いかもしれません。今回は、一人の神経内科医がどのようにAIを日々の業務に取り入れているか、リアルな現状をご紹介します。

音声入力「Typeless」が全ての起点

まず、AIへの入力手段として欠かせないのが、音声入力アプリ「Typeless」です。キーボードでポチポチ打つのではなく、話しかけるだけでテキスト化してくれるので、特にスマホでは本当に重宝しています。

外来の合間、移動中、ちょっとした思いつきをメモしたいとき――いつでもどこでも、話すだけでAIに指示が出せます。この「音声入力で気軽にAIに聞ける」という環境が、AI活用の頻度を大きく引き上げてくれました。

ブログ記事ができるまで:ChatGPT → Claude の二刀流

当ブログ「医知創造ラボ」の記事制作は、基本的に以下の流れで行っています。

📝 ブログ記事の制作フロー

ChatGPT(Deep Research)で情報収集・文献調査 Claudeでブログ記事として構成・執筆

ChatGPTのDeep Research機能は、あるテーマについて網羅的に情報を集めてくれるので、リサーチの起点として非常に優秀です。そこで得た情報を元に、Claudeで記事としての文章構成と執筆を行います。Claudeは長文の構成力や、医療従事者向けのトーン調整が得意なので、この組み合わせがしっくりきています。

動画制作もAIリレー方式で

最近はYouTubeへの動画投稿も行っていますが、ここでも複数のAIツールをリレー形式で活用しています。

🎬 動画制作フロー

NotebookLM or Claudeでスライド作成 Geminiで音声生成 まじんさんのツールでスライド+音声を動画化 YouTube投稿

スライドの作成にはNotebookLMClaudeを使い分けています。そこにGeminiで生成した音声をのせて、まじんさんのツールで動画としてまとめ上げます。

YouTubeの説明欄の作成は主にGeminiで行っていますが、動画が長くなるとタイムスタンプにエラーが出ることがあります。そんなときはGoogle AI Studioに切り替えて対応しています。こうした「このツールでダメなら別のツールで」という柔軟な切り替えも、複数AIを使いこなす上でのコツかもしれません。

日常診療でのAI活用 ― 患者さんがビックリする瞬間

AIの活用は、学術的な場面だけではありません。日常の外来診療でも大活躍しています。

たとえば、患者さんから専門外の質問をされたとき。「先生、ロキソニンって常温保存でいいんですか?」といった質問に、正直すぐには答えられないこともあります。

「ちょっとAIに聞いてみますね」とTypelessで音声入力。
「ロキソニンの保存方法と期間を教えて」とAIに尋ねると、バシッと正確な回答が返ってくる。
「AIはこう言うてはりますわ」と患者さんにお伝えすると、だいたい皆さんビックリされます。

専門外の質問にもその場で根拠のある回答ができるのは、患者さんの安心感にもつながっていると感じます。もちろん、AIの回答を鵜呑みにするのではなく、医師としての判断を加えた上でお伝えしています。

⚠️ 注意
AIの回答をそのまま医療判断に使うことは推奨しません。AIの回答はあくまで参考情報であり、最終的な判断は医師自身が行う必要があります。

座長・講演準備もAIと二人三脚

最近、座長や講演を依頼される機会が増えてきましたが、ここでもAIをフル活用しています。

特に座長の台本づくりにはClaudeが欠かせません。私のやり方はこんな感じです。

📋 座長準備のAI活用法

講演テーマに関して本質をついた質問をClaudeと一緒に考える
その質問に対して、現状の文献やガイドラインから想定される回答を整理する
質問をしつつ、「それなりの答えはすでに知っている」状態で座長に臨む

座長として大切なのは、場の議論を深めること。演者に鋭い質問を投げかけつつ、その答えの方向性はすでに把握しておく。そうすることで、議論を生産的な方向に導くことができます。この事前準備の質を、AIが大きく底上げしてくれています。

記事の「顔」もAIで ― Geminiでインフォグラフィック制作

当ブログでは、記事ごとに内容全体を一枚の画像で俯瞰できるインフォグラフィックを作成しています。長い記事でも、パッと一枚見れば全体像がつかめる――読者にとっての「記事の顔」のような存在です。

このインフォグラフィックの制作にはGeminiを使っています。記事の構成や要点を入力すると、視覚的に整理された画像を生成してくれます。以前は図解を一から作るのにかなりの時間がかかっていましたが、AIの画像生成を活用することで、制作のハードルが大きく下がりました。

🎨 インフォグラフィック制作フロー

記事の要点を整理 Geminiで画像生成 記事のアイキャッチ・本文内に配置

文章だけでは伝わりにくい全体の流れや関係性を、一枚絵で直感的に伝えられるのは大きなメリットです。毎回の記事に入れることで、ブログ全体の統一感にもつながっています。

おわりに ― 使い分けが肝

現在、私が使い分けているAIツールを整理すると、以下のようになります。

用途 使用ツール 選んでいる理由
音声入力 Typeless スマホでも手軽にAIに指示できる
情報収集・リサーチ ChatGPT(Deep Research) 網羅的な情報収集が得意
記事執筆・台本作成 Claude 長文構成力と文章品質が高い
インフォグラフィック制作 Gemini 記事全体を一枚絵で視覚化
スライド作成 NotebookLM / Claude 内容に応じて使い分け
音声生成 Gemini 自然な音声が生成可能
動画化 まじんさんのツール スライド+音声を簡単に動画化
YouTube説明欄 Gemini / Google AI Studio 長時間動画はAI Studioで対応
日常診療の質問対応 Typeless + AI 音声で即検索、即回答

大切なのは、一つのAIに全てを任せるのではなく、それぞれの得意分野を見極めて使い分けることだと実感しています。ChatGPTはリサーチ、Claudeは文章、Geminiは音声やYouTube周り――こうした「適材適所」の感覚が、AI活用の精度とスピードを大きく左右します。

AIは万能ではありませんが、うまく使えば臨床医の強力なパートナーになります。この記事が、AIを活用してみたいと考えている先生方の参考になれば幸いです。