【完全攻略】t-PA(アルテプラーゼ)適応・禁忌の「ロジカルな覚え方」

今回の内容を1枚の図にしました。

t-PAの適応判断は、単なる暗記ではなく「出血リスク vs 治療ベネフィット」の天秤です。丸暗記しようとせず、以下のイメージを持って整理しましょう。

脳卒中ガイドラインの禁忌と慎重投与

1. 大原則(適応の基本)

まずは「スタートライン」に立てるかどうかです。ここは数字が命です。

📋 適応条件(3つの基本)
病名虚血性脳血管障害(脳梗塞)であること。CT/MRIで出血がないことが絶対条件。
時間:発症から4.5時間以内に投与開始可能であること。
年齢:特になし(以前はありましたが、現在は高齢者も慎重投与で可)。
💡 覚え方
「仕事(4.5)の時間だ、t-PA!」

2. 禁忌(絶対にやってはいけない)の覚え方

ここが最重要かつ最難関です。項目が多いので、3つの「ダメな理由」に分類して覚えます。

🧠 グループA:頭がすでに「破綻」している
理由:脳出血を助長、あるいは再出血させるから。

出血の所見/既往

  • 頭蓋内出血(クモ膜下出血含む)の既往がある。
  • 画像で出血がある、または広範な早期虚血所見がある。

脳血管の異常

  • 脳動脈瘤動静脈奇形もやもや病などがある(破れやすい)。

最近のダメージ

  • 1ヶ月以内脳梗塞既往。
  • 3ヶ月以内の重篤な頭部外傷・脳脊髄の手術。
💡 覚え方のコツ
「脳の配管が壊れている、または壊れかけているなら、圧をかけて流してはいけない」
🩸 グループB:全身の血が「止まらない」状態
理由:脳だけでなく、全身どこからでも出血して止まらなくなるから。

血圧が高すぎる

  • 収縮期 > 185 mmHg または 拡張期 > 110 mmHg
  • 降圧薬を用いても下がらない場合は禁忌。

血が固まらない(凝固異常)

  • 血小板 10万/mm³ 以下
  • PT-INR > 1.7ワーファリン服用中など)
  • DOAC(直接阻害型経口抗凝固薬)を服用中(最終内服から4時間〜48時間以内の規定あり)。

出血源がある

  • 消化管出血尿路出血など(21日以内)。
  • 大手術や外傷(14日以内)。
🚨 必須暗記数字
「185/110、10万、1.7」という3つの数字だけは呪文のように唱えて暗記しましょう。
❓ グループC:そもそも「脳梗塞ではない」可能性
理由:別の病気(Stroke Mimics)にt-PAを使っても無意味、あるいは危険だから。

血糖値の異常

  • 血糖値 < 50 mg/dL
  • 低血糖発作脳梗塞と似た症状(片麻痺など)を出すため、まずはブドウ糖投与で除外する必要があります。

低血糖はまず補正

けいれん発作

  • 発症時にけいれんがあった(てんかん発作後の麻痺の可能性)。

3. 慎重投与(リスクはあるが、医師の判断でGo)

ここは「注意信号(黄色)」です。ベネフィットがリスクを上回るなら投与します。

⚠️ 慎重投与の対象
高齢者75歳以上(以前は禁忌に近い扱いでしたが、現在は慎重投与)。
重症度NIHSSスコアが高い(重症=出血リスク高)または低すぎる(軽症=薬のリスクを負う必要がないかも)。目安:NIHSS 26以上はかなり慎重。
血糖値が高すぎる血糖値 > 400 mg/dL(出血リスク増大)。
大きな動脈瘤:未破裂動脈瘤があるが小さい場合など。

4. 現場での「思考フロー」まとめ

以下の順序でチェックすると抜け漏れが防げます。

📋 臨床チェックフロー(クリックして展開)

Timing(時間)

4.5時間以内か?(搬送時間含めギリギリではないか?)

Image(画像)

出血はないか? 広範囲の早期虚血はないか?

History(既往)

「最近の手術」「脳卒中の既往」「抗凝固薬」はないか?

Vitals & Lab(バイタル・採血)

  • BP > 185/110 はないか?
  • BS < 50 はないか?
  • Plt < 10万INR > 1.7 はないか?

まとめ:数字の暗記リスト

項目 基準値(これを超えたら/下回ったらOUT)
時間 4.5 時間 を超える
血圧 185 / 110 mmHg を超える
血糖 50 mg/dL 未満
血小板 10万 /mm³ 以下
INR 1.7 を超える
📋 最終まとめ
この5つの数字と、「脳が壊れているか」「血が止まらないか」という2つの病態イメージを持っておけば、臨床現場でも焦らずにチェックリストを確認できます。