鑑別診断
「反射が消えていた患者さんの膝蓋腱反射が、数週間後に3+まで亢進していた」——この所見をどう解釈するかは病態によって正反対の意味を持つ。腱反射が低下する病態の回復期に反射が亢進することは実際にあるが、脊髄ショックの反射復帰とギラン・バレー症候…
むくみ(浮腫)を訴える患者を前にしたとき、原因を効率よく絞り込む最初の一手は「分布と左右差を言語化すること」です。両側対称なら心臓・腎臓・肝臓・甲状腺・低栄養・薬剤といった全身性の原因を、片側なら深部静脈血栓症(DVT)・蜂窩織炎・リンパ浮腫…
急に立ち上がったときの「立ちくらみ」。多くは一時的なもので心配いりませんが、繰り返す・意識を失う場合は、脱水だけでなく薬剤や自律神経の異常が隠れていることがあります。起立性低血圧の国際診断基準と、危険なサインの見分け方を脳神経内科医が解説…
真夏、家族の「様子がおかしい」に気づいたとき——それは熱中症でしょうか、それとも脳卒中やてんかん発作、低血糖でしょうか。実は熱中症の急性期は神経症状が中心で、脳の病気と見分けがつきにくいことが知られています3。2024年には日本救急医学会のガイド…
Mollaret髄膜炎(モラレ髄膜炎)は、発熱・頭痛・項部硬直をきたす無菌性髄膜炎が自然軽快を繰り返す稀な病態で、良性反復性リンパ球性髄膜炎(BRLM)とほぼ同義に用いられます。PCRが普及した現在、その最多原因は単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の再活性…
中枢神経原発血管炎(primary angiitis of the central nervous system:PACNS/primary CNS vasculitis:PCNSV)は、脳・脊髄・髄膜の血管壁に炎症が限局して起こる稀だが治療可能な疾患です。しかし特異的な症状はなく、MRIや髄液は鋭敏でも非特異的で、脳…
「呼びかけても反応が乏しい」「食事も会話もせず、同じ姿勢のまま固まっている」——こうした患者を前に、カタトニア(緊張病, catatonia)を鑑別に挙げられるかどうかで予後は大きく変わります。カタトニアは統合失調症の一亜型と長く考えられてきましたが、…
ネマリンミオパチーは、骨格筋線維内に「ネマリン小体(rod)」と呼ばれる桿状構造を認める先天性ミオパチーの一群です。しかし臨床の現場でこの病名が問題になるのは小児だけではありません。成人で亜急性に進行する近位筋力低下・首下がり・嚥下障害を呈し…
脂肪塞栓症候群(fat embolism syndrome:FES)は、長管骨や骨盤骨折の後に骨髄由来の脂肪が血流に入り込み、肺・脳・皮膚・網膜の微小循環を傷害する病態である。なかでも脳脂肪塞栓(cerebral fat embolism:CFE)は、受傷後 12〜72 時間の意識変容として…
SSRI などの抗うつ薬を服用中に、トラマドール・リネゾリド・メチレンブルー・セレギリンなどが追加された患者で起こるセロトニン症候群。発症の70%は24時間以内に改善する一方、40℃を超える高熱から横紋筋融解症・DIC・腎不全に至り死亡する症例もある。発…
意識障害患者の血圧が高ければ頭蓋内疾患か?池田2002年BMJ論文と最新エビデンスの再検証 意識障害患者の血圧が高ければ頭蓋内疾患か?──池田2002年BMJ論文と最新エビデンスの再検証 救急外来で意識障害患者を診たとき、ベテラン医師が瞬時に「血圧が高いか…