傷病手当金とは? 病気で働けず収入ゼロでも給料の約3分の2が最長1年6か月|条件・金額・申請を医師が解説

病気やケガで会社を長く休むと、その間の生活費が心配になります。でも、会社員など健康保険に加入している人には、傷病手当金(しょうびょうてあてきん)という強い味方があります。働けない間、給料のおよそ3分の2(約67%)が、最長で通算1年6か月支給される公的な制度です。この記事では、傷病手当金の金額の計算・もらえる期間・4つの条件・申請の3ステップまでを、脳神経内科医がやさしく解説します。

結論から言えば、「業務外の病気・ケガで働けず給料が出ないとき、連続3日休んだ後の4日目から、給料の約3分の2が最長通算1年6か月もらえる。対象は会社員などの健康保険加入者で、自営業の国保は原則対象外」です。2022年の改正で支給期間が「通算」に変わった点も知っておくと安心です。

監修:今村久司(脳神経内科専門医)

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傷病手当金のしくみ 給料の約3分の2が最長通算1年6か月 もらえる4つの条件 申請3ステップ 会社員は対象 自営業の国保は原則対象外 インフォグラフィック

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目次

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傷病手当金とは? 働けない間の「給料」の支え

傷病手当金は、会社などの健康保険に加入している人が、病気やケガで働けず、その間の給料が出ないときに、健康保険から支給されるお金です1。生活を支えるための制度で、いわば「働けない間の収入の保険」です。

ポイント:対象は業務外(仕事以外)の病気・ケガです。仕事中や通勤中のケガは、傷病手当金ではなく労災(労働者災害補償保険)という別の制度の対象になります。

いくらもらえる? 給料の約3分の2

1日あたりの金額は、「標準報酬日額」の3分の2です1。標準報酬日額とは、ざっくり言うと「支給開始日以前の直近12か月ほどの給料の平均を、1日分(30分の1)にした額」のこと。つまり、ふだんの給料のおよそ67%が目安になります。

たとえば月給30万円ほどの人なら、1日あたり約6,600円。会社を休んだ日数分が支給され、ひと月まるごと休んだ場合は約20万円が目安です。

いつまで? 最長 通算1年6か月(2022年改正)

支給される期間は、支給開始日から最長で通算1年6か月です1,2。2022年(令和4年)1月の改正で、それまでの「暦の上での1年6か月」から「通算」に変わりました。これにより、途中でいったん復職して傷病手当金が止まっても、復帰していた期間は数えず、同じ病気・ケガで再び休んだときに、通算1年6か月になるまで受け取れます。長く治療と仕事を行き来する人にとって、大きな改善です。

もらえる4つの条件

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たすと支給されます1

  • ① 業務外の病気・ケガの療養のための休業であること
  • ② 働けない(仕事に就くことができない=労務不能)こと
  • ③ 連続して3日間休んだ後の「4日目」から(最初の3日間は「待期」で対象外)
  • ④ 休んだ期間について給料が出ていない(または傷病手当金より少ない)こと

待期の3日間:最初の連続3日間は「待期期間」として支給されません。この3日間は、土日・祝日や有給休暇でもカウントされます。4日目以降の、働けず給料が出ない日が支給対象です。

誰がもらえる?(会社員と自営業の違い)

傷病手当金を受け取れるのは、会社員など、健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入している人です。一方、自営業やフリーランスの人が加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金はありません1(市区町村による任意給付で、多くは支給されません)。自営業の方は、民間の就業不能保険などで備える方法もあります。

申請の3ステップ

申請は、健康保険の「傷病手当金支給申請書」を使い、次の流れで行います1

  1. 医師の証明:主治医に、働けない状態だったこと(労務不能)を申請書に証明してもらう。
  2. 会社(事業主)の証明:勤務先に、休んだ期間や給料の支払い状況を証明してもらう。
  3. 健康保険へ提出:これらをそろえて、加入先(協会けんぽ・健保組合)に申請書を提出する。

申請は休んだ後にまとめて行うことができ、時効は2年です。1か月ごとなど、区切って申請するのが一般的です。

知っておきたい注意点

  • 仕事中・通勤中のケガは労災:傷病手当金ではなく労災保険の対象です。
  • 退職後の継続給付:退職日まで継続して1年以上被保険者であったなど一定の条件を満たせば、退職後も引き続き受け取れる場合があります1
  • 他の給付との調整:同じ病気で障害年金や出産手当金などを受けると、金額が調整されることがあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. パートやアルバイトでももらえますか?
勤務先で健康保険に加入していれば対象になります。加入していない(国民健康保険のみ)場合は原則対象外です。

Q2. 最初の3日間(待期)も有給を使えば対象になりますか?
待期の3日間は支給対象外です。ただし、待期は有給休暇や土日でも成立します。支給は4日目以降の、給料が出ない日が対象です。

Q3. 自営業(国民健康保険)はもらえますか?
原則として国民健康保険に傷病手当金はありません。民間の就業不能保険などでの備えを検討しましょう。

Q4. 退職したらもらえなくなりますか?
一定の条件(退職日まで継続1年以上の加入など)を満たせば、退職後も継続して受け取れる場合があります。加入先にご確認ください。

Q5. いつまでに申請すればよいですか?
時効は2年です。休んだ後にまとめて申請できますが、早めの手続きが安心です。

参考文献

  1. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」 公式
  2. 厚生労働省「健康保険法の一部改正(傷病手当金の支給期間の通算化・令和4年1月施行)」 厚労省

※本記事は一般向けの情報提供であり、個別の手続き・金額の最終判断は加入先の健康保険(協会けんぽ・健保組合)や勤務先にご確認ください。内容は2026年6月時点の情報に基づきます。